子育て中の在宅ワーカー、最大の悩みをワークシェアで解決した女性社長 | 東京IT新聞

子育て中の在宅ワーカー、最大の悩みをワークシェアで解決した女性社長

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在宅ワーカーによる事務代行を請け負う有限会社YPP(東京中央区、五味渕のり子社長=4月13日に株式会社化)の取り組みが注目を集めている。仕事を一人だけに任せるのではなく、複数人のチーム体制で業務をシェアすることにより、子育てや介護中であっても安心して働ける体制を構築。その結果、作業効率が上がり、案件の幅も広がって処理能力が高まったためだ。企業とのマッチングサービスにとどまらず、ワークシェアの仕組みを取り入れることで、在宅ワーカーという形での社会進出や復帰を強力にバックアップしている。

理念は「一人でも多くの人に、仕事の喜びを」

在宅ワーカーによる事務作業を受託している有限会社YPPのWebサイト
 YPPは「一人でも多くの人に、仕事の喜びを」という企業理念を掲げ、育児や介護によってフルタイムでの就業が困難な人たちの就労支援に取り組む。2005年に五味渕のり子代表が創業したベンチャーだ。  社名は「YOUR PARTNER&PLANNER」の頭文字をとった。「あなたのパートナーとなり、あなたのチームのよいプレーヤーとして働きます」という意味を込めたという。  五味渕代表が出産後、仕事仲間から事務作業を手伝ってほしいと依頼されたたことを契機に、企業の経理や総務、雑用などの業務を請け負う事務代行業をスタートさせた。  立ち上げ当初は取引先企業に訪問して行う業務が多かったが、業務請負を希望する登録者のなかに在宅で勤務したいとの声が思った以上に多かったことから、2009年から本格的に在宅による業務代行受注を開始した。  現在では訪問での依頼案件であっても、在宅可能と思われる業務内容は在宅に切り替えるなど、積極的に在宅ワークを増やしている。それは同社ならではの仕組みが業務に好影響を与えるためだ。

仕事を担当する誰もが安心して働ける環境づくり

登録者募集のページでは、「子育て、介護、療養その他、フルタイムでは働けない方でも、働ける社会を目指しています」との目標が掲げられている
 同社の特徴は、複数メンバーによるチーム体制で業務を請け負うことにより、仕事を担当する誰もが安心して働ける環境づくりを行っていることにある。  このワークシェアの仕組みは、五味渕代表自身の経験から生まれている。  「子どもを保育園に預けて働いていた頃、“ここぞ!”という大事なときに子どもが熱を出して仕事を休んだり、保育園から呼び出されたりすることが多く、仕事の約束を守れないことがあった」と振り返る。  たびたび頻発する予測不可能な事態に頭を悩ませ、「自分以外の誰かと仕事を分け合うことで、何かあったときも補填できる仕組みがほしい」と考えた末、仕事を2名体制でシェアすることにした。これにより、仕事に対する不安がなくなり、心の余裕や安心が生まれたという。

子育て中の女性をターゲットに就労希望者を募る

 仕事をシェアすることで、育児との両立もしやすくなった。たとえば子どもの学校行事などに心おきなく参加できるようになったのもそのひとつだ。  「子育て中は“自分にしかできない仕事”よりも(ある一定の能力があれば)他の人が代用できる仕事を望む女性が他にもいるはず」との思いで、子育て中の女性をターゲットに就労希望者を募ってきた。  実際に応募してくる登録者は育児期の女性に限らず、病気療養中や介護中の人も多いという。  「少しでもいい、何か仕事をしたい」というニーズが、主婦だけでなく幅広い層にあることに気づいた瞬間だった。ワークシェア体制を整え、業務ごとのチームワークを磨くことで多種多様な人材が能力を発揮できる環境作りを心がけてきた。

メンバー全員が業務を学ぶと、効率化につながる

 「ひとつの業務を一人で担当すると、業務内容を覚えた段階でそこから先は単調な作業となる。でも複数人で業務をシェアすると、メンバー全員が業務を学べて、さらに業務の効率化を図ることができる。これが大きなメリット」と五味渕代表は語る。  さまざまな分野の様々な業務を担当することで、メンバーはお金を稼ぎながら勉強する機会を持てる。それがモチベーションの向上にも役立っているという。

社会に役立っているという実感を得てほしい

 育児や介護など何らかの理由があってフルタイムでは働けないとしても、仕事をしたいと希望している人がいる。一方で、社員を一人を雇うほどではないほどの仕事を担当してくれるスタッフを必要としている会社も存在する。  「この両者をつなぐことで、一人でも多くの人に仕事の喜びを届けたい。たとえ収入は少なくても、仕事をすることで家計の助けになったり、社会に役立っているという実感が得られれば、人は生き生きとするし、暮らしも心も豊かになる」と五味渕代表は力を込める。  今後ますます増える在宅ワーク市場のなかで、ワークシェアという強みでさらなる拡大を目指す。
《渡部郁子》

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