日本の低い生産性と少子高齢化に対策、生き残る術は「働き方」の変革 | 東京IT新聞

日本の低い生産性と少子高齢化に対策、生き残る術は「働き方」の変革

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従来の勤務形態をあらためたり、ITを活用した新しい働き方を実戦したりする「ワークスタイル変革」の動きが盛んになっている。少子高齢社会を迎える日本で企業が生き残るには、多様なワークスタイルを取り入れることが不可欠となってきた。また、働く側にとっても長期雇用が危うくなるなか、働き方を変えることで、自らの能力を生かして雇用や収入を確保する手段となりうる。

世界でも低い日本の労働生産性

 企業におけるワークスタイル変革では、長時間残業を削減するため朝型の勤務形態に変えたり、在宅やオフィス外での勤務を認めたりする動きが目立つ。

 企業側としては、生産性を高めて業務の効率化を図りたいとの思いがある。日本の労働生産性は、OECD(経済協力開発機構)に加盟する34カ国中21位という低い位置とどまり、平均値さえも下回る。日々長く働いているのに、その成果が表れていないのが我が国のビジネス界だ。

中心社員の「介護離職」が増加

40代以上の“介護離職”が国全体で大きな問題となってきた(厚労省サイト

 加えて、少子高齢化による人材不足に対応するには、出産や子育て、介護といった社外の事情を抱えた人材を引き留める必要にも迫られている。

 会社の中心的な存在である40歳代以上の社員による“介護離職”は今後も右肩上がりで増加するとみられる。

 出産や子育てを機に退職するケースが未だ多い女性社員への対応も急務となる。

“なんとなく残業”は害悪

 業務の効率化と人材流失の防止という2つの課題を解決するうえで、有効な手段とされているのが従来の働き方を変えることだ。

 毎日朝9時に出勤し、夕方6時に終業となるものの、なんとなく数時間の残業をしても仕事は終わっていない――。そんな勤務形態が常態化していては、生産性が上がるどころか、介護や子育てを抱えた社員への対応も難しくなる。

 企業にとっては残業代の負担が増加するうえ、貴重な人材の流失まで招きかねない。

無駄な時間を削り効率的に

 一定の時間内でこれまで通りの成果も出してもらうためには、社員の通勤や移動、無駄な残業といった成果に結びつきづらい時間を削減し、短時間で効率的に仕事を処理できる環境を作ることが第一歩となる。

 それが自宅や近隣オフィスなどで勤務する「テレワーク」や、スマートフォン(スマホ)とタブレット端末などのモバイル機器を効率的に活用する「モバイルワーク」といった新たな仕組みを取り入れることだ。

いつでもどこでも業務の環境

国だけでなく自治体が助成金を設けるケースもある(東京都サイト

 テレワークやモバイルワークは、IT機器やクラウドサービスなどを活用して“いつでもどこでも”仕事を行える環境を築くことが主眼。会社に出社したり、業務で移動したりする時間を減らすことができる。

 これまでは仕事が行いづらかった時間を有効活用することで、一定の時間内で効率的に業務を処理し、残った時間を子育てや介護、余暇として活用してもらうことが可能となる。

 国もテレワークの普及には力を入れており、企業への助成金などの支援策を拡充させ、浸透を図る。

 今年は「テレワーク、在宅勤務を導入する企業が増加し、かつ各企業における利用割合も高まり、『ニューワークスタイル元年』になる」(IDC Japan)との予測も出ている。

個人もクラウドソーシングで仕事

3月に都内で開かれたイベントではクラウドソーシングを活用してさまざまな働き方を実現させている“フリーランサー”が全国から集まった

 一方、いつでもどこでも仕事ができるITインフラが整備され、個人でも活用が容易となっていくなかで、働く側にとってもワークスタイルを変えようという動きが広がってきた。

 その1つが「クラウドソーシング」のサービスを活用することだ。

 終身どころか中長期的な雇用確保さえ危く、ストレス負担も大きい企業に所属することだけが幸せな働き方ではない、との考え方が背景にある。

 また、企業に所属しながらも休日などに副業を持つ“セーフティネット”として活用するケースも目立つ。

会社員はバランスがとりづらい

 「お金より、好きな場所で好きな人と一緒に好きな仕事をしたい」「会社員では仕事とプライベートのバランスを取ることが難しい。子どもと一緒に過ごす時間は先送りできない」。

 先月26日に都内で開かれたクラウドソーシング大手・ランサーズによるイベントでは、企業に所属せず仕事を行っている“フリーランサー”からこんな声が聞かれた。

 インターネット上だけで仕事のやり取りが完結するクラウドソーシングでは、住む場所も働く時間も拘束されることはないため、子育てや介護との両立もしやすい。

 仕事を受けるか否かは自らが選べるため、会社のように不条理な命令や、人間関係などによるストレスも少ない。業務だけに集中できる環境が得られる。

ハワイに住みながら働くことも

 なかには、長年の夢だったというハワイへ家族で移住し、クラウドソーシングで企業からWeb関連の業務を受託して生活してきた経験を持つフリーランサーもいる。

 働く側の意識変化と合わせるように、クラウドソーシング市場は急速に拡大しており、矢野経済研究所によると今年度は610億円まで成長。2年後の17度には1474億円規模にまで達する見通しとなっている。 

 働くということのあり方があらためて定義されつつあるなか、従来の価値観による画一的な勤務形態に縛られていることは、企業にも個人にとっても得策でないことは間違いない。

《東京IT新聞 編集部》

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