TSUTAYAとフリービットが格安スマホ始動、提携の裏にCCCの危機感 | 東京IT新聞

TSUTAYAとフリービットが格安スマホ始動、提携の裏にCCCの危機感

プロダクト モバイル

ビデオレンタルショップや書店の「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と格安スマホで先駆者的存在のフリービットが今月(5月)から、MVNO(設備などを持たない仮想の移動体通信事業者)によるスマートフォン(スマホ)サービスに乗り出す。両者が出資する「トーンモバイル」でサービスを構築し、TSUTAYA店舗で販売する。CCC系のTポイントカードともポイント加算や支払いへの利用などで連携する。高齢者や子供など初心者層を突破口にシェア確保を狙う計画だ。

今年2月にCCCがフリービット本体に29億超を出資

旧「freebit mobile(フリービット・モバイル)」のサイトは4月30日からCCC色を色濃く打ち出す「トーンモバイル」に一新された
 先月(4月)30日に開いた記者会見で、フリービット会長でトーンモバイルの社長をつとめる石田宏樹氏が明らかにした。  この日お披露目した新端末は「TONE(トーン)」。端末をはじめ、提供するアプリや顧客サポートなどを、トーンモバイルが一気通貫で開発・運営することで、サービスの質を高くできるという。  フリービットが従来扱っていた端末の使い勝手を維持しつつ、さらに、音楽配信などCCCのサービスがスムーズに使えるようにした。  フリービットとCCCは今年2月に資本業務提携を発表している。3月にはCCCグループがフリービット本体に29億3700万円を出資した。増資後の出資比率は13.31%。トーンモバイルはその提携に基づき、フリービットのモバイル事業会社フリービットモバイルから商号変更した会社だ。  CCC側はトーンモバイルにも出資し、出資比率は49%になっている。従来手がけていた「フリービットモバイル」名義によるMVNOサービスは「将来的には統合する」(石田氏)方針だ。

出遅れたネットとスマホ関連で“先兵”の役割

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のWebサイト
 CCCがフリービットにのめり込むのはなぜか。  運営するTSUTAYAはレンタルCD・ビデオの大手で店舗数は国内外に1400店以上ある。しかし、音楽や映画の鑑賞は近年、動画配信サービスの「hulu(フールー)」に代表されるように、パソコンやタブレット、スマホなどを通じたオンデマンド形式のネット視聴に移る傾向がある。  CCCはネット関連サービスでは出遅れが目立っている。昨年、グループで運営するサービスを「T-SITE」に集約し、反転攻勢に出たが、大きな成果は出ていない。スマホ向けサービスはさらに出遅れている。  「TONE」は、そうした状況を打開する先兵としての役割を期待されている。フリービットとの提携は、CCC側から持ちかけたと言われている。  期待の大きさは今年4月1日付で石田氏をCCC本体の取締役CIOに任命したことからもうかがえる。新経営体制のなかでは、CEOの増田宗昭、COOの副社長に次ぐ3番手という位置付けだ。

多数の店舗を持つCCCとの提携は渡りに船

TSUTAYAの店頭で販売販売できるのは強みとなりそうだ
 フリービットにとってもメリットは大きい。スマホ初心者を中心とした販売戦略をとる場合、リアル店舗での販売は欠かせないからだ。  しかし、同社の店舗はわずか4カ所。石田社長は「2~3年後に100万回線を目指す」と公約しており、実現にあたり、多数の店舗を持つCCCとの提携は渡りに船だった。  スマホの普及率が5割を超えるなか、利用料金が割安なMVNOの人気が盛り上がっている。  小売りチェーンなど異業種からの参入も加速している。また、総務省は今年5月以降、携帯電話大手にSIMロックの解除を義務付ける。電話会社を乗り換えやすくなり、MVNOにとっては追い風だ。激動のスマートフォン市場で、フリービット・CCC連合は勝ち抜けるだろうか。 【写真上】記者発表するフリービット会長でトーンモバイル社長の石田宏樹氏 【参考記事】月額2100円!驚愕の低価格を打ち出したフリービット、キャリア参入の勝算は(2013年11月19日)
《鈴江 貴》

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