北海道に起業支援の基盤を作る!あの著名札幌企業とIPO弁護士がタッグ | 東京IT新聞

北海道に起業支援の基盤を作る!あの著名札幌企業とIPO弁護士がタッグ

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北海道に起業支援の基盤を作る!あの著名札幌企業とIPO弁護士がタッグ
  • 北海道に起業支援の基盤を作る!あの著名札幌企業とIPO弁護士がタッグ

北海道の起業支援プラットフォームを目指す――。札幌の著名企業とIPO(株式公開)を専門とする弁護士が中心となり、地元の起業家を支援するクラウドファンディングサイトをこのほど立ち上げた。斬新な事業アイデアを実現させる資金調達の仕組みを提供するとともに、IPOまでを見据えた支援体制を構築。道内で起業の好循環を作っていきたい考えだ。

「初音ミク」のクリプトン社“地元に貢献したい”

「初音ミク」を生み出したクリプトン・フューチャー・メディアは今も本社を札幌に置く
 今年(2015年)4月に北海道での起業支援プラットフォームを目指すクラウドファンディングサイト「ACT NOW(アクトナウ)」を立ち上げたのは、札幌市に本社を置くクリプトン・フューチャー・メディア(伊藤博之社長)と赤れんが法律事務所の杉山央(ひさし)弁護士。  クリプトン社はボーカロイド(音声合成)ソフト「初音ミク」を開発した企業として広く知れわたる存在だが、現在も事業活動の中心を札幌に据え、地元でリアルなカフェ店舗を設けるなど、北海道に対する思いは強い。伊藤社長自身も地元に何らかの形で貢献したいとの思いを長年を持ち続けてきたという。  杉山弁護士は北海道の出身。地元のIT起業家団体「札幌ビズカフェ」の事務局長をつとめるほか、札幌と東京に法律事務所を置き、主にベンチャー企業のIPO領域を専門とした弁護士活動を行っている。同氏がクリプトン社の顧問弁護士に就任している縁もあり、共同出資する形で運営会社のACT NOWを設立。杉山弁護士が社長に就いた。

クラウドファンディングを皮切りにIPOまで支援

札幌市内で「赤れんが法律事務所」を構える弁護士でACT NOW社長の杉山氏
 ACT NOWは北海道内で新製品の開発や社会貢献などに取り組む個人や団体、企業がそのアイデアを投稿し、賛同者から1000円から1万円程度の小口出資を募る形をとる一般的なクラウドファンディングサイトだ。現在のところ、地元食材を使った名物食品の開発や、外国語で発信する地域フリーペーパーの刊行、コミュニティカフェの設立といった6つのプロジェクトが公開されている。  ただ、目標はあくまでも地元での起業支援や活性化にある。「クラウドファンディングの運営自体を目的としているわけではなく、この部分での収益化は考えていない」(杉山社長)といい、プロジェクトでの資金調達を達成させた先には、継続的な事業化や起業、IPOまでも見据えた支援体制を築こうとしているのが特徴だ。  「今は出資額に応じて何らかのお礼を返す(クラウドファンディングサイトで一般的な)『購入型』で運営しているが、より大きな資金調達の仕組みとして使える『投資型』や『株式型』も導入していきたい」(同)との展望を持つ。

「次の一歩」へ踏み出しづらい土地柄を変える

クリプトン社と杉山氏が共同出資して開設したクラウドファンディングサイト「ACT NOW」
 もう一つの目標は、北海道内で起業意欲を醸成することだ。  北海道は沖縄県とともに、国の開発予算による公共事業が“落ちてきやすい地”として知られている。また、良好な自然環境を持つ観光地であることから、「黙っていても仕事も観光客も勝手に来てくれる状態」(杉山社長)が長年続いてきた。  「(明治期以降に急速な発展を遂げたうえ、土地が広大なため)各都市間のしがらみがなく“ワン北海道”として一体感があるのは本州にない魅力だが、一方で競争が起きづらいため、次の一歩へ踏み出そうという意欲が湧きづらい土地柄」(同)でもある。  ACT NOWでは、そんな北海道の風潮を変えたいとの思いが強い。「たとえ失敗しても、ちょっとデタラメでもいいので、面白いと感じたアイデアをとりあえず試してほしい。情報発信力を高めて、みなで面白がってみることで必ず何かが生まれる」と杉山社長は力を込める。

地元の経済界と連携深め、メンター探しを手助け

札幌市内にあるACT NOWのオフィスでは道内でのプロジェクト発掘と支援に向けた活動が本格化している
 資金調達や情報発信の手段としてのクラウドファンディングだけでなく、ACT NOWではベンチャー団体や地元経済界との連携も強める。  定期的にイベントを開くなど、リアルの場で“先輩起業家”と人的交流を図れる場を提供することで、起業希望者にはメンター(指導者・助言者)を見つけてもらいたいとの思いがある。  また、家具の全国チェーンに育ったニトリや東証二部の北の達人コーポレーションを輩出した実績を持つ札幌証券取引所にも協力を求め、起業家を育成する勉強会を開く計画も進める。  加えて、かつて人気を誇ったゲーム会社のハドソン(現コナミデジタルエンタテインメント)が発祥の地であったように、札幌周辺にはゲーム開発会社が今も目立っており、この分野を育てていくための研修合宿なども行いたい考えだ。

上場ができそうなレベルの会社は道内に15~16社

札幌証券取引所はニトリや北の達人コーポレーションといった著名企業を輩出した実績がある
 道内ベンチャーの状況について杉山社長は「首都圏からは見えづらいかもしれないが、株式上場ができそうなレベルの地元企業は15~16社ある」と明かす。昨年(2014年)12月に上場したビッグデータ技術開発のサイジニアも北海道大学発のベンチャーだった。  起業における高い潜在力を持っている地だけに、支援体制と情報発信手段を設けることで、今後は継続的な好循環が生み出せる可能性を秘めている。  また、起業家育成プラットフォームを民間主導で作り出そうという動きは、国や行政頼みになりがちな体質の北海道経済から脱却できる契機にもなりうる。  「起業を志す人たちに手本を見せるためにも、自らも早期に地元で上場したい」と杉山社長は目標を語る。北海道の成長エンジンとなるべく離陸したACT NOWの今後に注目だ。
《東京IT新聞 編集部》
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