<IT坊主の説話>アイコンタクトが苦手なのは日本人古来のDNAか? | 東京IT新聞

<IT坊主の説話>アイコンタクトが苦手なのは日本人古来のDNAか?

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IT界と仏教界を経験した現役僧侶の“IT坊主”こと牧野豊潤(ほうじゅん)氏がITビジネスで役立つ「説話」を連載。世の中でもっとも新しい業界であるITの世界に、2500年の歴史を持つ仏教の教えは通用するのでしょうか――。今回(第19回)はアイコンタクトに関する仏教語を紹介しながら、その重要性を考えていきましょう。

言葉では表現できない“ことば”を発する

 運動会の開催時期といえば「秋でしょ!」というのは昔の話です。  暑い時期に運動会の練習を行うことは熱中症の問題があり、加えて秋は行事が多く、受験も近づいてくる時期でもあることから、春に運動会を行う学校が増えています。  運動会や発表会などで我が子の活躍をビデオカメラなどで撮る親の姿は現代では一般的。子供たちも親の前ではがんばります。  この場合、かけっこでゴールしたとき真っ先に子供の目線はどこに行くかといいますと、おそらく、親の顔(眼)でしょう。しかし、親の顔を見ようとしたら、レンズだった、という場合の子供の表情はどうでしょうか。  無機質なレンズでは返事(コンタクト)をしてくれません。素の顔で我が子とのアイコンタクトは微笑ましいスキンシップです。目で合図(目配せなど)を送って意思の疎通を図ることは、声を出さずにコミュニケーションする最も基本的な手段の一つとされています。  また、スポーツの競技によっては、相手の目を睨みつけて威嚇したり、自らの気持ちを高揚・奮起させるため睨み合ったりする強い意識を持ったコンタクト(眼力による戦い)でもあります。「眼は心の窓」とか「眼は口ほどにものを言う」ということわざのように、眼は使い方によっては、言葉では表現できない“ことば”を発したり、気持ちを伝えたり(コンタクト)することができます。

仏教でもアイコンタクトの重要性を教える

 仏教にはこれらの状況を表したものに、「眼施(がんせ)」や「和顔悦色施(わげんえつじきせ)」という言葉があります。いずれも「無財の七施」というお釈迦様が説かれた教えの一つです。  眼施は優しい眼差(まなざ)しで人に接することです。温かい心は、眼を通して相手に伝わります。人は優しい眼で見つめられると安心した気持ちになります。見守られているという安心感が生まれます。多くを語る必要はありません。想い、見つめ、見守ることです。  和顔悦色施は、和顔施(わげんせ)ともいい、和やかで穏やかな顔(眼)で接することです。笑顔は相手との距離を近づけます。敵意がないと感じ、落ち着いて接することができます。近づけばお互いにより多くを知ることになります。和やかな笑顔を見ると幸せな気持ちになり、周りにも笑顔が広がります。  きちんと相手を見て接することが礼儀です。お互いの眼を通してコミュニケーションを取ることが大切です。これが「無言の所作」の一つでアイコンタクトです、と説いています。

「身分の高い人の目を見ることは無礼」の過去が影響?

 「話をするとき余り相手の眼を見ない」「会議やプレゼンなどで相手を見ず淡々と説明する」「見つめられると話しづらいからキチンと話せない」「会社の玄関などで知り合いに出くわしても目線をやや下に向けてすれ違う場合がある」など、思い当たるか、周りにこういう人はいませんか。  これらの態度は相手によっては失礼に感じ、不誠実な態度で無視されたなど、不快感を覚える場合もあります。何かやましいことがあるのではと受け取られたり、プレゼンなどの場面では、説得力や信憑性に欠け信頼度も低い内容ではないかなどと勘違いさせることにもなります。  結果、適当にあしらわれることになるかもしれません。日本人は会話をするとき身振り手振り(ジェスチャー)が少なく、表情にも乏しい。特にアイコンタクトが苦手だと言われています。それはなぜなのでしょうか。  これには諸説あるようで、そうかなと思えるものに、「封建時代(鎌倉時代から明治維新までの武家政治の時代)という長い期間において、身分の高い人の目を見ることは大変無礼な作法とされ、時代によって時には死に値することもあり、潜在的に相手の目を見れないDNAが刷り込まれていった(洗脳されてきた)文化の影響がある」との説があります。  だから「日本人は苦手なんです」といっても始まりません。社会も文化も激しく進展し、急速で、めまぐるしく変化する昨今、国際社会から置いてきぼりをされないようするにはどうすべきでしょうか。

ビジネスや社会生活を円滑に進めるための手段です

 ビジネスに限らず、「相手が話しているときは相手を見る、自分が話すときも相手を見て話す」ということは基本です。  皆さんご存知のとおり、見る位置は「相手の両目と鼻を結ぶ三角地帯」ですが、同じ部位を長い時間見続けるのは失礼になりますので適度に目をそらします。  相手が複数の場合は満遍なく、かつ時々は一人ひとり(人数にもよりますのでできる範囲で)とアイコンタクトを取ります。  この時の身体の向きはさりげなく相手に正対するようにします。プレゼンの場合には予め主導権を持っている人は誰かを掴んでおいて、ポイントでのアイコンタクトは大きな効果があります。  「こんなことは重々承知だ」と思われる方もおいででしょうが、いざ実践できているかとなるといかがでしょう。  アイコンタクトは、立ち振る舞いや動作なども含めた非言語コミュニケーションの一つで、上手く使えば相手に好印象を与えます。ビジネスや社会生活を円滑に進めるための手段として、適度なジェスチャーも交えて自然に活用できるようにしたいものです。  技術教育を優先して行ってきた企業も、これらを含めたヒューマン教育の重要性に気が付いて実践しているところが多くあります。  また、アイコンタクトは「話をちゃんと聞いていますよ。興味ありますよ」などを知らせるサインでもあります。世界から威圧負けしないよう、“目ぢから”も養い、「目で物申せる日本人」と言われたいものです。合掌
《牧野豊潤(まきの・ほうじゅん)》

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