ウェアラブルの本命は腕時計、「スマートウォッチ」は浸透なるか | 東京IT新聞

ウェアラブルの本命は腕時計、「スマートウォッチ」は浸透なるか

プロダクト ウェアラブル

身体につけるウェアラブル端末の開発が進むなか、現在のところ本命視されているのが腕時計型の「スマートウォッチ」だ。先月、米アップルが「Apple Watch」を発売し、NTTドコモからは子ども向けの端末が投入されるなど、ラインナップが充実。今年最大の注目IT製品となる可能性も高まっている。

モノだけでなく人間自体もネットにつながる

 「IoT(アイオーティー=Internet of Things)」というキーワードがIT界で流行しているように、すべての〝モノ〟をインターネットにつなげようという時代を迎えている。車や家電など、既に気が付かないうちにネット接続されているモノは少なくない。  さらには、人間自体もネットとつなげようとして開発されているのが、身体に装着する形のウェアラブル端末だ。  米グーグルが開発したメガネ型の「グーグルグラス」をはじめ、米ナイキの腕に巻く「フューエルバンド」など、装着する身体の場所をめぐって模索が続いてきたが、現在のところ「腕」が一歩抜きん出た。  ファッションの観点からも、特に違和感を持たずに腕に巻き付けられるのが腕時計。ここにコンピュータを埋め込んだのがスマートウォッチと呼ばれる端末だ。

時計型端末はソニーやサムスンが開発先行

ソニーが2011年6月に発売したスマホ連携の「LiveView」はスマートウォッチの原型のようなアクセサリだった
 スマートウォッチは、2011年にソニーがその原型となる製品を発売。その後、米国ではクラウドファンディングを使って開発を進める「Pebble」(ペブル=日本未発売)が話題となり、13年になると韓国サムスンから「Galaxy Gear(ギャラクシーギア)」が世界的に投入された。  以後、”新しいモノ好き”の人々を中心に広まってきた。  それからも無数の企業から新製品が開発されており、年々進化を遂げてはきたものの、充電池の容量不足などもあり、まだ一般層が興味を持つレベルにまでは達していなかった。  ただ、長年発売が噂されていた米アップルによるApple Watchが先月になってようやく登場したことで、今年は一般層にまで広がるとの期待が高まる。

腕に付けてスマートフォンを補完する存在

 現在のところ、スマートウォッチはスマートフォン(スマホ)を補完する端末という位置付けだ。小さな画面という制約もあり、一台で何でもできるコンピュータにはなってはいない。  主にスマホとWi-Fiなどの無線通信で接続し、電話着信やメールなどのメッセージ受信を知らせたり、天気予報などの情報を表示したり、声によってWeb検索が行えたりといったことができる。  時計上からの音声通話やスマホを操作することも可能。スマホ同様に独自の専用アプリをダウンロードしたり、「おサイフケータイ」的な電子決済サービスもこれから普及しそうだ。  今月NTTドコモが発売した「ドコッチ」のように携帯電話回線に直結し、GPS機能で子どもの見守りに使おうというコンセプトの機種も出ている。

両手が自由になり、身体情報も収集できる

曲面ディスプレイの採用などもあり、近年はデザインも洗練されてきた(サムスンの「Gear S」)
 スマートウォッチをコンピュータとして見た場合、機能面に目新しさは少ない。  最大の強みは、利用時は必ず手に持つスマホと比べ、「腕時計」なので常時身に付けていられる点にある。  各種センサを搭載していることで、歩いたり走ったりした距離や心拍数といった人間の健康状況をはじめ、周りの気温状況などをリアルタイムで把握して蓄積することが可能だ。  両手が自由になるという特性を生かし、スマホでは実現できなかったような発想のアプリが登場する可能性も高い。  蓄積した「ビッグデータ」を活用した新たなビジネスも今後生まれそうだ。

デザイン進化で高級腕時計の市場へ浸食も

Apple Watchには高級モデル「Apple Watch Edition」もある
 スマートウォッチが登場した当初は、単にスマホを超小型化してベルトを付けただけのような雰囲気の製品が目立ったが、その後は技術進化によってデザイン面も洗練されてきた。  「Apple Watch」が高級腕時計を意識した200万円以上もする18金製モデルを発売したように、ファッションアイテムとしての腕時計市場を奪う可能性もある。  そのためか、世界的な腕時計メーカーがスマートウォッチ市場に参入する動きも見せている。

国内での本格普及は2~3年後か

 矢野経済研究所の調査によると、昨年度は国内だけで154万台のスマートウォッチが出荷され、2年後の2017年度には720万台まで伸びると予測されている。  現在、スマホの年間出荷台数が約2800万台規模であることを考えると、日本国内での本格的な普及は2~3年先となりそう。ただ、製品の進化や新たな活用法の流行によっては短期間で爆発的に浸透することも考えられる。 【写真上】「Apple Watch」のサイトより
《東京IT新聞 編集部》

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