<ITビジネス法務>そもそもSLAに不満がある場合はどうするか | 東京IT新聞

<ITビジネス法務>そもそもSLAに不満がある場合はどうするか

エンタープライズ 経営

これまでクラウドサービスで障害が発生した場合に、事業者側がどのような責任を負うのかを解説をしてきました。前回は、SLA(サービスレベルアグリーメント)で規定した色々な項目についての保証に違反(保証数値への未達成)した場合、クラウド事業者がどんな責任を負うのかを紹介しました。今回はユーザとして、事業者が定めたSLAに不満がある場合、どう対応すればいいのか、また逆に、事業者として、ユーザからSLAの内容に突っ込まれた場合にどう対応すればいいのかを解説します。

通常、変更させることは難しい

 ユーザからクラウド事業者に対し、SLAの内容の変更を申し入れることは、普通は難しいことです。  クラウドサービスは、全ユーザに一律に同じ水準で同じ内容のサービスを提供することによって、コストを下げられる(低額の料金設定ができる)という特性があるため、事業者としては、個別のユーザごとに希望を聞いていられない、との事情があります。  ユーザとしてクラウドサービスを導入するにあたっては、必ずしも自分が希望する通りのサービスが提供されるわけではない(そういう「わがまま」を言いたいなら、高い費用を払って、希望通りの仕様のシステムをスクラッチで開発してもらうしかない)という点を念頭に置く必要があります。  そのうえで、SLAの内容を精査し、リスクとコストのバランスから妥協できるところで、クラウドサービスを選定することになります。

変更要望はひとまず出してみる

 とはいってもクラウド事業者は、必ずしも最大限保証できる範囲でSLAの内容を定めているわけではなく、ある程度バッファを設けた内容にしている面もあります(予期せぬ事態がちょっとでも起きてしまうと、途端にSLA違反になってしまうため)。  また、クラウド事業者がビジネス判断でリスクを取る取引をする場合もあります。  そのため、ユーザが(料金をたくさん払ってくれるような)大口の顧客であったり、(導入事例として紹介できれば宣伝になる)有名企業であった場合は、事業者としても、リスクを取ってでも取引を結びたいと考え、個別の「覚書」を締結するなどして、そのユーザに限って、バッファの範囲内で、あるいは、それを超えてSLAの内容を変更してくれるケースも珍しくはありません。  ユーザの立場に立つときは、とりあえず、交渉するだけならタダですので、SLAの内容を変更する覚書を締結するよう、申し入れてみればいいのではないかと思います。  逆に、クラウド事業者の立場に立つときは、基本的には上で挙げたような理由を並べて変更を拒否しつつ、リスクを取れる範囲で、変更に応じるのがいいのでないでしょうか。

困ったときは専門家に相談

 計5回にわたるシリーズで、SLAに関してひと通り理解できたでしょうか。  きちんとしたSLAを定めているクラウド事業者は、まだあまり多くはありませんが、SLAの重要性は、これからますます高まっていきます。ユーザからも、SLAの提示を求められる機会が増えてくることは間違いありません。  今のうちから、SLAの作成に取り掛かっておいたほうがいいでしょう。作成で悩んだときは、専門家に相談しましょう。  【関連記事1】SLA違反でもベンダが責任を負わない理由(2015年4月23日) 【関連記事2】大手クラウドサービスは障害発生時にどう対応するか(2015年3月30日) 【関連記事3】クラウドサービスで障害発生時のクラウドベンダの責任とは(2015年1月23日)
《藤井 総》

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