毎日新聞が有料電子版、紙より価格抑え先行する日経と朝日を追う | 東京IT新聞

毎日新聞が有料電子版、紙より価格抑え先行する日経と朝日を追う

エンタープライズ 市場動向

毎日新聞社が有料の電子版「デジタル毎日」を今月(6月)1日にスタートした。全国紙による本格的な有料電子版としては日本経済新聞や朝日新聞に続く3社目で、紙版の月間購読料4037円(税込、朝夕刊セット)と比べ、電子版は税込3456円と500円ほど安く設定。電子版で先行する2社を追う構えだ。

月額3500円弱で全記事&紙面イメージの閲覧OK

2015年6月1日にスタートした毎日新聞の電子版「デジタル毎日」
 毎日新聞社は一昨年(2013年)12月に当時の電子版「毎日jp」を大幅に刷新しており、無料公開記事を減らし、紙版の購読者や無料会員のみが読める「毎日新聞」へと転換を図っていた。  無料会員は閲覧できる記事本数などに制限を設けており、これまですべての記事が読めるのは紙版購読者を対象した「愛読者会員」のみだったが、6月からは紙版の購読有無に関わらず申し込める有料会員制度を設けたうえで、「デジタル毎日」という名にリニューアルを図ったものだ。  新たなデジタル毎日は、月額税込3456円の有料会員に申し込んだ場合、電子版に公開されている記事のすべてを読むことができるほか、全国の朝夕刊や地方版、日曜版などの紙面イメージをパソコンやタブレット上から閲覧も可能。過去5年分の記事データベースも利用できる。  このほか、タブレット端末がセットになった「デジタル毎日タブレットセット」も新設。中国HUAWEI(ファーウェイ)製の端末代金と毎月7GBまでのデータ通信料金を合わせて月額同5378円とした。  従来の紙版読者が追加料金なく電子版の記事や紙面イメージが閲覧できる愛読者会員に加え、今回から月額同540円を追加する「愛読者プレミア会員」も新設。紙版の購読者は500円超の追加料金で、有料電子版の会員と同様の機能を使えるようにしている。

大手新聞の「電子版」は無料と有料の会員制度で運営

2011年5月に開始した「朝日新聞デジタル」、最近は各社とも有料会員向けに紙面イメージをそのまま閲覧できるサービスを拡充させる傾向にある
 大手新聞社の電子版は、無料と有料版の会員制度を設けて運営されてきた。  2010年3月にいち早く開設した日経新聞では、これまでに260万の会員を集め、うち15%にあたる約40万人が有料版の読者とされる。  翌11年5月には、一般紙としては初めて朝日新聞が有料版の「朝日新聞デジタル」を開設。現在のところ220万超の会員数を集め、有料版読者は20万人超にのぼるとみられる。  新聞社にとっては無料会員であっても、閲覧者のメールアドレスや属性などの登録情報が取得できるため、メールマガジン発行や読者に合ったピンポイントの広告を配信するなどしてマネタイズ(収益化)が行いやすくなるのがメリットだ。

「紙版」の読者に気を使った価格設定は変わらず?

毎日新聞はタブレット端末と有料会員をセットにした商品も新設した
 一方、日本の大手新聞社は、世界でも珍しい戸別宅配網を築き、全国一律価格の再販制度によって守られたなかでビジネスを展開してきた。電子版に舵を切ることは、従来の事業モデルを崩しかねない。そのため、紙の印刷代や配布費用がかからない電子版であっても紙版の読者と同水準の価格体系をとるなど模索を続けてきた。  毎日新聞は紙版の発行部数が約330万部で業界3位。710万部で2位の朝日新聞に水をあけられている。今回開始したデジタル版では、朝日新聞デジタル有料版の月額税込3800円より300円ほど料金を抑えており、電子版にかける意気込みを垣間見せる。  なお、全国紙では産経新聞社が2005年ごろからパソコンやタブレット向けに有料配信を行っており、紙のモデルにとどまらない先進的な試みを積極的に行ってきた。  業界最大手の読売新聞社は現在のところ、紙版購読者向けの「読売新聞プレミアム」のみを展開しており、その動向が注目される。 【関連記事1】紙の新聞は減るばかり Web展開で模索が続く大手新聞社は生き残れるのか(2013年12月13日) 【関連記事2】電子版から5年、日経のあくなき野望が新聞界のあり方変える可能性(2015年5月19日)
《東京IT新聞 編集部》

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