ゲーム会社のDeNA、なぜ自動車関連事業にまで参入するのか? | 東京IT新聞

ゲーム会社のDeNA、なぜ自動車関連事業にまで参入するのか?

コンシューマー 産業のIT化

ディー・エヌ・エー(DeNA)が自動車関連事業に本格的に参入する。ゲームのノウハウを生かした使いやすいスマートフォン(スマホ)用カーナビアプリを開発したほか、ベンチャーのZMP(東京都文京区、谷口恒社長)と提携して自動運転技術の実用化に取り組む。多角化への取り組みという点ではグリーやミクシィなど他のスマホゲーム会社に先行しているが、新規事業への参入が相次いでいる背景には、国内ゲーム市場での収益が伸び悩むなか、新しい成長機会を探したい思いがあるようだ。

自動運転のZMPと新会社「ロボットタクシー」

DeNAとZMPによる「ロボットタクシー」事業の構想図
 「自動車はサービスになる」。先月(5月)28日に開いた記者発表会で、事業を統括する中島宏DeNA執行役員は強調した。自動運転のような技術進化のほか、カーシェアリングやウーバー(Uber)のようなスマホ連携など、自動車を取り巻く環境は激変している。  従来のように、買って自分で運転するという単純なものではなくなった。そこに、DeNAのような“外様”が参入する余地があると判断したようだ。  事業開始にあたって、自動運転技術で実績のあるZMPと、共同出資で新会社、ロボットタクシー(東京都渋谷区)を設立した。資本金は7億円で出資比率はDeNAが66.6%、ZMPが33.4%。中島氏が社長、ZMPの谷口社長が会長に就任した。  「2020年のオリンピックまでには、自動運転のタクシーが街中を走っているようにしたい」と意気込んだ。

ゲーム開発の知見生かしたカーナビ投入の意図

ゲーム開発の知見を生かして開発したカーナビサービス「ナビロー」
 事業を成長させるため、他社も巻き込む考えだ。「必要に応じて自動車メーカーからの出資も受け入れる。この会社を上場させることも選択肢だ」という。今回の提携は「中島さんの熱意に打たれた」(谷口氏)ために成立したという。社名にはDeNAが入っておらず、会見にはDeNAの守安功会長の姿はなかった。中島氏の野心も見受けられた。  発表会で説明されたもう一つの新規事業はカーナビだ。  「通信機能を生かして、情報を更新していつも最新のコンテンツを提供できる」。  事業を担当する新会社DeNAロケーションズの津島越朗社長はこう強調した。ゲーム開発の知見を生かして開発したカーナビサービス「ナビロー」は、六角形のタイルが蜂の巣状に並ぶ画面構成になっている。地図上の上下関係や情報相互の関係が直感的に分かるという。サクサクと反応し、軽快だ。  アプリは無料で、上乗せサービスで課金する計画。さらに、「交通関連だけでなく、飲食店など地域の情報も伝える」という。  社名には「自動車」という言葉がなく、「場所」にこだわったサービスを目指すことがうかがい知れる。自動車を突破口に、「食べログ」などのサービスを切り崩す考えだ。

落ち込む業績、ネット関連の新規事業に活路

DeNAはゲーム事業を主力に据えながらも、あらゆる領域に参入している(「2014年度 決算説明会資料」より)
 「DeNAはゲーム会社ではない。インターネット企業だ」。  創業者の南場智子氏はこれまで、ことあるごとにそう話してきた。実際、同社の祖業はネットオークションであり、その後、主力事業としては、アバターの販売、ゲームのアイテム課金へとシフトしてきた。  一方で、旅行会社を買収したり、決済会社をメガバンクと共同出資で作ったりするなど、外部の力も生かして多角化している。最近では、南場氏の肝いりで遺伝子検査の会社を作ったり、守安社長主導でキュレーション関連ベンチャーを買収したり、無料マンガを提供したりするなど、将来の収益源を育てるため、「中長期を見据え、成長領域に積極的に投資する」(守安社長)方針だ。  DeNAの業績は落ち込んでいる。2015年3月期の売上高は前期比21%減の1424億円、営業利益は53%減の247億円となった。ピークだった2013年3月期の3分の1以下でもある。  自動車事業参入を発表した決算説明会の翌日5月13日、同社株の売買高は前日の3倍になり、1000万株を超えた。ただ、株価はそれほど上がらなかった。  投資家の関心は高いが、成否について見極めかねているとったところか。果たして自動車は収益の柱になれるだろうか。 【写真上】共同出資会社の設立を発表した中島DeNA執行役員(左)と谷口ZMP社長
《鈴江 貴》

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