<佐賀県武雄市>小1にプログラミング教育、異例の先進研究で成果 | 東京IT新聞

<佐賀県武雄市>小1にプログラミング教育、異例の先進研究で成果

コンシューマー 産業のIT化

昨年(2014年)秋から佐賀県武雄(たけお)市で行われている小学校低学年を対象としたプログラミング教育が順調に進んでいる。同市とディー・エヌ・エー(DeNA)、東洋大学の三者が共同で取り組んできたもので、「公立小学校の1学年全員を対象に実施したケースはおそらく全国でも例がない」(東洋大学の松原聡副学長)という先進的な実証研究だ。

iPadの日本発売直後に小学校へ導入した武雄市

佐賀県武雄市は県西部の長崎県に近い場所に位置する人口5万人弱の自治体、市の公式ページの中心コンテンツをFacebookページに移したことでも知られる
 武雄市はiPadが日本で発売された直後の2010年には既に40台を小学校へ導入しており、その後も範囲を拡大。今年度までに市内の全公立小中学校の児童や生徒全員に一台のタブレット端末を配布する。これまでに学習支援システムや電子黒板を活用した授業を実戦するなど、教育のIT化に積極的な自治体として知られている。  その一貫として、実験的に行われたのがプログラミング教育だ。現在、義務教育に正規の授業として導入しようという議論が活発となっているが、武雄市では小学校低学年を対象にいち早く実践している。  今回の実証研究では、同市内の公立小学校1校で1年生全員となる39名を対象に昨年(2014年)10月から今年2月まで、全8回にわたってプログラミングに関する授業が行われた。

「あっという間に理解」DeNAの最高技術責任者が驚く

DeNAの川崎取締役、右は東洋大の松原副学長(6月9日、都内で)
 タブレット用のアプリはDeNAが提供したほか、同社の最高技術責任者である川崎修平取締役が自ら教壇に立って児童を指導。ゲームやアニメーション制作に取り組んだ。  まだ6~7歳の年齢である小学1年生に教えることになるため、当初は端末の操作や内容の理解面で不安があったという川崎取締役だが、「児童はあっという間に理解していた」と驚く。  また、学校教育法に基づく授業ではないため、“課外授業”という形で正規授業を終えた後の放課後を使って行われたが「最後まで集中していた」(同)という。  児童自身がキャラクターやストーリーを創り、それを全員の前で発表することをゴールとした授業内容だったが、川崎取締役は「最後に完成した作品を見た時は感動さえ覚えた」と明かす。「プログラミングの楽しさを伝えるという当初の目論見は達成できた」と手ごたえをつかんだ様子だ。児童のアンケートでも98%が「楽しかった」と回答している。  同市の浦郷究(きわむ)教育長は「最後は児童全員の作品がホールで発表されることもあり、いきいきとしていた。(ここにいたるまでの)ステップが見事だった」と振り返る。

今年度は規模を拡大、現場の教員が教える形に

武雄市の小松市長、これまで同市のIT化を先導してきた樋渡(ひわたし)啓祐前市長の後継者として市長選に出馬し、今年(2015年)1月に当選したばかりの38歳
 同市ではこの結果をうけ、今年度も実施を決定。昨年度受講した39名の2年生児童を対象に引き続き取り組んでいくだけでなく、他校の1年生45名に対しても2学期以降にプログラミング学習の機会を提供する計画だ。  今年度は川崎取締役が直接教えることはせず、昨年度のノウハウをもとに、同取締役らからの助言を受けながら現場の教員が担当する形になるという。  このプログラミング教育を含め、同市の教育現場にITを活用してきた先進的な取り組みについては、検証を担当した東洋大学現代社会総合研究所から今月(6月)に詳細な報告書が出されている。  小松政(ただし)市長は「教育のIT化は文部科学省からも期待されており、武雄市のみならず全国に教育現場にとっても報告書は価値がある」と話す。今後、低学年からのプログラミング学習の必要性を議論するうえでも大きな指針となりそうだ。 【写真上】2014年6月25日に武雄市とDeNA、東洋大学の三者が発表したニュースリリースより
《東京IT新聞 編集部》

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