<IT坊主の説話>心技体を磨かないとビジネスは上手くいかない | 東京IT新聞

<IT坊主の説話>心技体を磨かないとビジネスは上手くいかない

コンシューマー その他

IT界と仏教界を経験した現役僧侶の“IT坊主”こと牧野豊潤(ほうじゅん)氏がITビジネスで役立つ「説話」を連載。世の中でもっとも新しい業界であるITの世界に、2500年の歴史を持つ仏教の教えは通用するのでしょうか――。今回(第20回)は「一心(いっしん)」という言葉をもとに、心の持ち方を考えていきましょう。

気も心も集中して物事に当たる「一心」

 「一心(いっしん)」は、一般的には“心を一つ”とか、“心を集中させる”などという意味ですが、単独ではあまり使われず、他の言葉と組み合わさって使われます。  代表的なものを下記にあげます。  一心不乱(いっしんふらん):心を一つの事に集中して他の事に気をとられず、自らの信念に基づいて懸命に努力する。  一心同体(いっしんどうたい):複数の人が心を一つにして行動することで、心も体も一つの人間であるかのように強い絆を持つ。  虚仮(こけ)の一心:思慮が浅い者でも信念をもって行なうことにより、目的を達成できたり優れた結果を生み出すことが出来る。(「虚仮の一念」とも言います)  このように、気も心も集中して物事に当たるという様子を表すときに使います。  これが仏教語としての解釈になると単独でも、「他念のない唯一絶対の心のことで、あらゆる事象(現象)の根源としての心」という意味合いになります。  揺るぎない信念を持ち、かつ一致団結してものごとに当たることになれば、これほど心強い事はありません。  何事を行なうにも「心」は原動力です。“必ずできる”“必ず強くなる”などというように、目標や願望を持つことが大切です。  逆に“できるはずがない”“そんな無理なこと”などということばかりを思っていては、結局何も行わずに何の結果も生まれません。  「念ずれば叶う!」の気持ちは行動にも変化を起こさせます。必ず良い方向に向かうことができます。お互いに愚痴(ぐち)ばかりを言って慰めあってばかりしていても始まりません。  努力は必ず報われる――、悔いなく、ポジティブシンキングです。

勝つために重要なのは「心の力」を持ち続けること

 多くのアスリートが、競技で勝つために重要なことは「心の力」を持ち続けることと言います。  身体(からだ)を作り、技を修得したら、最後は「心」で戦うのだそうです。  心が「やるぞ!」と思わなければ、鍛えた(練習した)ことの半分も力が出ない、最後は心が重要で、スポ-ツの世界では“心技体”が整った時が一流の状態とされています。  ビジネスの世界においても、心技体がバランスよく磨きあげられることによって良い結果に結びつきます。ビジネスの要素(エレメント)を「心」「技」「体」に当てはめてみると次のようになります。  :ビジョンを描き、やり遂げる心のことで、志、精神力、使命感、構想(想い、理想)、熱い情熱、社風など。  :キャリアの積み上げが有効で、戦略、戦術、専門知識、専門技術、ビジネススキル、コミュニケ-ションなど。  :日々の努力と訓練及び取り組む姿勢が大切で、健全な組織、取り組み姿勢、能力、行動、体験など。  企業には法人格があり構成員は人です。当然のごとく、ビジョンを描くのも、遂行するのも、スキルを高めるのもすべて人です。  ビジネスのエレメントを整え、適正な企業バランスの舵取りを行い、良い企業文化(風土)の構築が必要です。近年は「ブラック企業」などと言われている企業は、心技体のバランスが確実に崩れているのでしょう。

与えられた人生の試練と考え前向きに受け入れる

 心の中は顔にも態度にも出ます。心が沈んだら声の張りも変わってきます。心の持ち方で周りの雰囲気を良くも悪くもするでしょう。自分の心をどう使うか、モチベーションをどう保つか、ビジョンを描くのも、やり抜くのも全て心のありよう次第です。  心が基本で、ここから何事も始まります。社会生活でもビジネス上でも様々な壁や障害に遭遇します。  壁や障害に突き当たった時どのように克服するか、自分に負けない信念も大切です。  与えられた人生の試練と思い前向きに受け入れ、諦めない気持ち(心)を持つことも大事。試練を克服する度に精神力が磨かれます。周りの人はよく見ているものです。信頼されるようになると相談されることも出てきて人としての幅も広がります。  こういったことの積み重ねが人の心を強固にもしてくれます。「継続は力なり」という言葉があります。これは継続することで「経験」が蓄積され、やがてそれが力になるという意味です。また、  「成功とは成功するまでやり続けることで、失敗とは成功するまで遣り続けないことだ」。  これは、パナソニック創業者の松下幸之助さんの言葉です。  いずれも、諦めないでやりぬく気持ち(心)が大切ということを教えてくれています。高い目標を持つほど様々な壁や障害に遭遇しますが、高いバーを乗り越えての達成感や満足感はさらに高いステージの世界を見させてもくれます。  心の熱い情熱がレベル(技術:キャリア)をさらに積み上げてくれると共に、強い心は健康な身体をつくります。

ヒューマンスキルの活用で組織を活性化する

 「職場や周りを明るい雰囲気にする」「求心力がある。強いリーダシップがある」といった部分は人に備わった潜在能力(心)によるところが多分にあります。  これは重要なスキル(人間力)で、座学による勉強(教育)だけでは身に付きにくい部分があります。  物事に対して熱い情熱を注げられる人は、そのエネルギーが周りに良い影響力を与え、人も組織も活性化します。  技術的スキルや身体的スキルについては、教育や訓練・反復などによりレベルアップを行なうことができるとともに、達成度の評価(測定など)が論理的に可能なものが多くあります。  一方で心的スキルの場合は、個人の資質によるところが大きく、かつ非論理の範疇(はんちゅう)のことが多いため、評価も抽象的又は感覚的なことになる場合が圧倒的です。  こういったスキルを身に付けさせようと外部研修に頼る企業がありますが、外部に依存する前に重要なことは企業(組織)として資質のある人をいかに見出すかということ。企業内努力がポイントです。  ヒューマンスキルの上手な活用で組織を活性化しましょう。人は宝です。合掌
《牧野豊潤(まきの・ほうじゅん)》

特集

page top