スマート「レンジ」登場、家庭内のIoTセキュリティがより重要に | 東京IT新聞

スマート「レンジ」登場、家庭内のIoTセキュリティがより重要に

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数年前、ふと思い立って自宅のオーブンでローストチキンを焼きはじめたところ、焼き上がりまでに5時間もかかってしまったことがある。原因は明らかな経験不足にあった。ちょうど良い焼き加減がわからず、何度もオーブンのドアを開けて確認した結果、その度に内部の温度が下がってしまっていたのだ。なんとか食べられるレベルの出来にはなったものの、それ以来二度とローストチキンを焼くことはなかった。しかし、来年(2016年)発売予定のこの「スマート」オーブンならば、そんな苦労は過去のものになるにちがいない。それがWiFiも内蔵するスマートオーブン「June(ジューン)」だ。

食材を入れると内部のカメラで食材を判別

スマートオーブン「June」のWebサイト。頭脳となるCPUは高性能なNVIDIA(エヌビディア)のクアッドコア。オーブンの常識が変わりそうだ
 スマートオーブンJuneに食材を入れると内部のカメラなどで食材を判別し、適切な調理を行う。ローストチキンなどの場合は、専用の温度計を刺しておくとちょうど良い焼き加減にしてくれる。  内部のカメラはネット経由で手元のスマートフォンでも確認でき、焼き加減の調整も可能だ。  たとえば「焼魚型のクッキー」がきちんとクッキーとして認識されるかどうかなど、気になる点もいくつかあるが、ほかにもいくつかセンサを搭載しているので、なんとかできるのだろう。  1990年代、インターネットの未来を語る際に「将来はトースターもインターネットにつながるようになる」という例が用いられることがあったが、「IoT(Internet of Things=モノのインターネット)という概念の普及と、Juneのようなプロダクトの登場により、そうした世界がいよいよ現実になりつつあると感じられる。

8割のユーザがIoT時代のセキュリティに懸念

「June」はWi-Fiを通じてオーブンの中の状態をスマホから確認できる
 こうした世界が現実味を帯びてくると、家庭内IoTにおけるセキュリティはさらに重要になってくる。  トレンドマイクロが2014年12月に実施した「IoT時代のセキュリティ~プライバシーに関する意識調査2015」でも8割のユーザが懸念を感じているといい、IoT普及に向けて避けられない問題となっている。  IoT機器のコンピューティングパワーは非常に限られている場合も多いため、機器自体にセキュリティ対策を内蔵しにくいケースもある。  これに対して、家庭内や企業内のネットワークをクローズド(閉鎖的)なものとし、外部に接続するポイントで集中的にセキュリティ対策をおこなう方法などがすでに様々な企業によって取り組まれている。

複数のIoTセキュリティサービス混在で問題も

 しかし、管理者によるセキュリティ対策が行いやすい企業と異なり、家庭での対策は一筋縄ではいかない。  同じパソコンに複数のセキュリティソフトをインストールしてしまうのと同じように、同一家庭内に複数のIoTセキュリティサービスや機器が混在することで問題を引き起こす可能性もある。  心ないいたずらによって、ローストチキンが台無しにされる危険性が現実となった今、管理者不在の家庭内IoTを外部の脅威から守ることは、生活そのものを守ることなのかもしれない。
《箱田 雅彦》

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