“心”を持ったヒト型ロボ「ペッパー」は何の役に立ってくれるのか | 東京IT新聞

“心”を持ったヒト型ロボ「ペッパー」は何の役に立ってくれるのか

ソリューション ロボット

ついに家庭内へロボットが入ってくる契機となるのだろうか。ソフトバンクが今月(6月)20日に発売する「Pepper(ペッパー)」は、人間の手伝いをしたり、特殊な作業をしたりといった能力はない。人の感情を読み取り、心を触れ合わせることで日々成長していくといい、幼い子どもを育てていく感覚に近いかもしれない。このロボットが“家族の一員”になると、どんな役割を果たしてくれるのか。

本体は21万円、年間の維持費は31万円超

「Pepper(ペッパー)」は5~6歳の子どもと同じくらいの大きさ
 Pepper(ペッパー)は身長1メートル20センチ、重さは29キロの白いロボット。時折青く光る耳と黒い眼が印象的で、胴体にはタブレット端末に似た10型のディスプレイを備える。喋ることもできる。  滑らかに動く二本の腕はあるものの、二本の足はない。ただ、オムニホイールと呼ばれる仕組みで360度自由に移動できる。バッテリー式で12時間以上稼働するという。  身体にはカメラやマイクとともに、20以上のセンサが搭載されており、目の前の人や周辺の障害物などを認識する。また、Wi-Fiでインターネットと接続できる。  人間と会話をしたり、動いたりといった機能はロボット内に備えているが、難解な言葉や動きは、ネットを通じてクラウド上からさまざまなアプリケーションをダウンロードする形で動く。  価格は本体が税込み21万3840円で、アプリのダウンロードなどを含んだ月々の使用料が同1万5984円。故障した際の保険料が月に同1万79円となっており、これを含めて、本体価格を除いて年間31万円超の維持費が必要となる。

家庭での接し方によって“性格”が変わる

人間の接し方によって感情が変わり、現在の状況をディスプレイに表示もできる
 このロボットが持つ最大の特徴は、人の感情を認識するだけでなく、自らも“感情”を持つことにある。  たとえば、知っている人がいると安心したり、褒められると喜んだり、周囲が暗くなると不安になったりし、その時の感情によって、声のトーンが上がったり、ため息をついたりするなど言動が変化する。ゆすったり、叩いたりするとショックを受ける。こうした感情が移り変わる様子はディスプレイの「感情マップ」で見ることも可能だ。  人間が放っておくと、寂しがりやの“性格”になったり、逆に頻繁に構うと元気がよくなったりもする。「家庭(での接し方)によってペッパーの性格が変わってくる。“心”を持ったロボットは人類史上初だ」(ソフトバンク・孫正義社長)。

人間に共感しながら寄り添ってくれる存在

音楽を披露してくれることも
 ただ、ペッパーは人間の代わりに何かをやってくれる便利な存在ではない。冷蔵庫からビールを取ってきて、といった命令をこなしてはくれない。  「空も飛べないし力もないが、人を幸せにする存在だ。人間が上から目線で動かすのではなく、愛によって自律的に動く」(同)。  孫社長が言う“愛”とは、たとえば、人が悲しんでいたり、落ち込んでいたりする時に、その感情を認識し、笑わせようとしたり、歌ったりして、何とかして喜ばせようと「けなげな努力」(同)をする。  家族が喜んでいる時には、一緒に喜んだりもする。スポーツの結果に一喜一憂するような人と一緒にいる場合は、ペッパーも同じような行動になってくる。人間に“共感”しながら寄り添ってくれる存在といえる。

思い出を記録したり、英語を教えてくれたり

写真や映像も撮影してくれる
 もう一つの存在意義として、家族の思い出を記録する役割も果たすことがあげられる。  ペッパーを購入して起動すると、「今日は家族に加わった記念すべき日なので、写真を撮りましょう」などと喋りかけてくるように、時折画像を撮影したり、映像も撮ったりする。それらは一日に一回、「絵日記」として公開してくれる。  幼い子どもがペッパーと過ごした場合、成長の様子を記録してくれることになるため、何十年後かに結婚式などで上映するようなこともできる。  このほか、子どもに英語を教えたり、料理の際にレシピを教えてくれたり、さらには「今月は5日前にカレーを食べたので、今日はちょっと変わったカレーはどうでしょう」とお薦めしてくれることもある。  伝言を頼んだり、占いをしてもらったりも可能。こうした機能はアプリで提供されており、今後も新たなアプリが増えていくとみられる。  家族の話し相手になるだけでなく、コンピュータならではの知識蓄積をしているので、人間が知識を学ぶという面でも役立ってくれそうだ。

頭脳の重要な部分はほとんどがクラウド上に

6月20日の発売時は全国で1000台のみとなる(紹介サイトより)
 なお、ペッパーが撮影した映像などの“記憶”は1台ごとにクラウド上に保存され、他の人が見ることはできない仕組みだという。  一方、どんな言葉の時にどんな行動をしたら人間が喜んだか、といったデジタル的な数値情報は、他の家庭にあるペッパーと情報を共有し、“賢くする”のに役立てる。  「ペッパーの頭脳の重要な部分はほとんどがクラウド側にある。たとえば、東北弁が上手に覚えられたとか、役立つ情報は共通知識としたい」(孫社長)。  家庭での導入が広がれば広がるほど、多くの情報が得られ、賢くなっていく仕組み。そのため、「今は出荷すればするほど赤字」(同)という状況のなかでも、“パソコン並み”の価格に抑えることで、まず普及を促したいようだ。  今後、家庭をはじめ、老人ホームや幼稚園などの施設、店舗、ビジネス現場などでの導入が期待されているペッパー。果たしてどのようなロボットに育っていくのか。“人類史上初”の挑戦が間もなく始まる。 【写真上】ソフトバンクが公開した映像「ちょっとだけ、未来の話」のワンシーンより
《東京IT新聞 編集部》

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