<IT活用で営業を強く>最終回:営業におけるマネジメントとは? | 東京IT新聞

<IT活用で営業を強く>最終回:営業におけるマネジメントとは?

エンタープライズ 経営

<IT活用で営業を強く>最終回:営業におけるマネジメントとは?
  • <IT活用で営業を強く>最終回:営業におけるマネジメントとは?

IT業界での長年の勤務を経て営業コンサルタントとして独立した筆者。ITツールを使って「営業」を強くする方法を、これまでの経験から伝授した全12回連載の最終回。営業ITツールの導入に失敗するのはなぜなのか、どうしたら成功するのかから始まり、具体的に、ビジョンの策定や顧客ターゲットを選定、そして日々のオペレーションについて語ってきました。今回は営業ITツールを使った定例ミーティングについて説明します。

リーダーの役割と定例ミーティングの意義

 第9回では、営業オペレーションの4要素を紹介しました。今回は4要素の最後となる「(4)定例ミーティング」について説明します。  営業の定例ミーティングを嫌がる営業パーソンがいます。売れていない人は、全員の前で責められ、つるし上げられるのが嫌なようです。逆に売れている人は、「そんな暇があったら客先に行きたい」と言います。  そうだとしたら、これはリーダーがその役割をはたしていないのだと考えます。リーダーの役割はたった1つ、「チーム全員の力を合わせて、目標を達成すること」です。  日々の管理業務や重大場面での顧客との折衝、部下の育成など、仕事はたくさんありますが、これらは役割を果たすための手段です。  人格やリーダーシップなど人間的な力も重要です。しかし、人格者がすばらしいリーダーになれるとは限りません。リーダーとしての役割を果たす努力を続けていくうちに、人格が磨かれるというのが本当のところだと思います。  定例ミーティングも、全員が力を合わせて、個々の目標を達成しつつ、チーム全体の目標を達成する場であるべきです。そうなっていれば、メンバーは喜んで参加するようになります。

1人につき10分程度かけて対策を考えていく

 定例ミーティングには、朝礼・週次会議・月次会議など種類があります。どの会議で何をするかについて、細かく書くことに、あまり意味はないと考えます。チームの事情に応じて、定例的に以下のことを実施してください。  前回紹介した営業帳票の中で、定例ミーティングで主に使用する帳票は「ヨミ表」と「プロセス管理シート」になります。日報と顧客管理シートは、各自持参して参考にする形がいいでしょう。  ヨミ表とは、下図のようなシートです。4半期、1カ月など、貴社の業態に合わせて期間は区切ってください。メンバー1人につき1枚用意して、定例ミーティングに臨みます。 
※出典:『「売れ!」といわずに30日で「売れる営業チーム」をつくる法』庄司充著(大和出版)

 実績は、すでに成約した金額です。図では、あと90万円の契約が必要です。

 「A」「B」「C」のランク分けは多くのチームで採用していますが、もし、Aだった会社がBに落ちるようなことがあれば、いい加減な運用だと思ってください。  良いやり方は、第9回<リンク>で紹介した、営業プロセスに沿って決めることです。たとえば、すでにクロージングにかかっているのならA、提案・見積を出しているのならB、情報収集が終わり次回のアポがとれているのならCとします。それ以外は「ネタ」に入れます。  ヨミ表を見ながら、1人10分ずつぐらいの時間をかけて、全員で対策を練っていきます。上図では、Bランクまでを確実に成約すれば目標を達成できます。そこで、Bランクまでに挙がっている顧客の顧客管理シートを見て対策を考えます。

成績が悪いメンバーをどうするべきか?

 なかには、明らかに成績が悪いメンバーもいます。  そのような場合は、プロセス管理シートを見ながら全員で対策を考えます。プロセス管理シートは、メンバーが毎日挙げて来る日報の数字を拾って、リーダーがとりまとめます。 
※:出典:前掲書

 上図の例であれば、A君の契約件数が目標に達成していません。その原因を見ると、アポの獲得数が少ないことが分かります。

 A君はアポ取りをさぼっているわけでなく、目標数より多く電話をしています。全員がアポ取りの目標を下回っているのであれば、目標自体を見直すべきですが、B君は電話件数は目標をはるかに下回るのにアポ獲得数は目標を上回っています。よって、A君はアポ取りが苦手なのだと断定できます。断定できるのも、データを取っているからです。  上図のような場合に取るべき対策は、B君がどういうアポ取りのトークをしているかを説明してもらい、全員でシェアすることです。これにより、チーム全体のアポ取り率が上がり、全体での成約件数がさらに増えるでしょう。A君の個人目標も高い確率で達成されるでしょう。  このようなミーティングでは、誰も損する人はいません。逆に得をするし、チームとしての一体感も高まります。ミーティングに参加したくないというメンバーはいなくなるはずです。

最初は表計算ソフトで、要望が出たらITツールを

 「データに基づいた営業マネジメントの威力は分かったが、これなら表計算ソフトに打ち込んで、会議は印刷物でやればいいじゃないか」と思われたかもしれません。  おっしゃる通りです。最初は、表計算ソフトでかまいません。まず、ミーティングを活性化してください。しかし、そのうち日報は商談が終わったらすぐに入力したい、メンバーが入力したデータを自動的に集計したい、顧客管理シートを他の用途にも活用したい――など様々な要望が出て来ます。営業ITツールは、こうなってから導入すればいいのです。  ツールで業務を変えるのではなく、業務で必要だからツールを導入する。これが本来の姿のはずです。私が、営業ITツールの導入に失敗したのは、本末転倒していたからだったのです。

12回にわたる連載のおわりに

 ちょうど1年間、12回にわたって営業ITツールの導入について考えてきました。そのほとんどが準備にあたる部分でした。営業ITツールに限らず、業務システムの導入に成功するには準備が9割だと思います。そして、準備のほうが圧倒的に難しいのです。  この連載では、営業チーム強化コンサルタント・庄司充さんの知見を大いに利用させていただきました。彼は、困難な準備の部分を100%成功させてきた人です。営業ITツールの導入に成功したいと考える営業リーダーは、一度相談してみてはいかがでしょうか。  では、1年間のお付き合いありがとうございました。また、お目にかかれたらと存じます。
《森川 滋之》
page top