“渋谷の大家”東急がベンチャー支援に乗り出した理由はヒカリエ | 東京IT新聞

“渋谷の大家”東急がベンチャー支援に乗り出した理由はヒカリエ

エンタープライズ ベンチャー/スタートアップ

東京・渋谷の“大家”的な存在である東京急行(東急)電鉄がベンチャー支援に乗り出す。沿線にある鉄道関係や商業施設などを活用したテストマーケティングなど、リアルを持つ強みを生かした支援が特徴だ。高収入の世帯や外国人も多く、多様なビジネスの展開が期待できる。“真打”の登場で「ビットバレー」が日本のシリコンバレーとして、ますますベンチャーを生み育てることになりそうだ。

設立5年以内を対象に「交通」「不動産」などで

東急沿線には渋谷だけでなく、楽天が本社移転を予定する二子玉川もある
 東急電鉄がこのほど始めるのは「東急アクセラレートプログラム」(TAP)。  「東急線沿線の生活利便性を高める新規事業を創出することと、渋谷を中心とした東急線沿線において、ベンチャー企業の持続的な成長を支えるエコシステムを構築すること」を目的に実施するという。設立からおおむね5年以内のベンチャーが対象だ。  7月から主として「交通」「不動産」「生活サービス」の事業領域を中心に、BtoC、BtoBtoCのサービスやプロダクトを募集する。11月の最終審査を経て、12月から支援を開始する。東急賞(賞金109万円)や、渋谷賞(同42万8000円)などの副賞もある。  同プログラムの運営では、ベンチャーキャピタルのIMJインベストメントパートナーズ(東京・渋谷)と共同で取り組む。同社は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京・渋谷)のグループ会社。CCC向けにアクセラレートプログラムを実施し、大企業とベンチャーの協業で成功事例を輩出している。  CCCはまた、東急の営業地域である渋谷にレンタル店「TSUTAYA」の旗艦店を持ち、代官山には「蔦屋書店」、二子玉川では「蔦屋家電」など、生活者密着型の新しい店舗を開いている。地域への深い理解があることにも期待しているとみられる。

DeNAやLINEが「ヒカリエ」にやってきたのが契機

2012年4月にオープンした「渋谷ヒカリエ」は16階までは商業関連施設だが、その上の34階まではオフィスフロアとなり、DeNAやLINE、mediba、KDDIの新規ビジネス部門などが入居している
 ベンチャー企業の中心地と言えるほど、ベンチャーが集積している渋谷。これまで東急もベンチャーと交流してきたように思えるが、実はそれほどでもない。  1990年代末から盛り上がったベンチャーのムーブメント「ビットバレー」にも「『うまく関われなかった』という残念な思いがある」と東急のある関係者はそうもらす。  ベンチャーとの関わりについて積極姿勢に転換したのは、2012年4月に大型複合施設「渋谷ヒカリエ」を渋谷駅前にオープンさせてからだという。  「ディー・エヌ・エーやLINEといった有力ベンチャーが入居したほか、イベントが開催できるようになったことも大きい」(東急関係者)。  まちづくりにおいて、ベンチャーの重要性を認識した東急は、二子玉川への楽天の誘致にも成功した。関係するベンチャーで移転を検討しているところもあるようだ。

2010年から二子玉川で実証実験を続けた東急

同プログラム推進役の一人、東急電鉄TAP運営統括の加藤由将氏
 東急のベンチャー支援は、昨今のブームにのっかったものではない。CCCや楽天といった他企業と「クリエイティブシティコンソーシアム」という組織を立ち上げ、二子玉川を舞台に2010年から議論やさまざまな試みを続けてきた。  その延長線上で、「新規事業を生み出すためにベンチャーとの協業に取り組んでいる」と、同社都市創造本部開発事業部の事業計画部課長補佐で本プロジェクトの運営統括を務める加藤由将氏はそう説明する。  シリコンバレーの中核であるスタンフォード大学は、大陸横断鉄道のひとつを開設した鉄道王、リーランド・スタンフォードが若くして亡くなった息子のために設立したという。鉄道関係者の思考がシリコンバレーの形成になんらかの影響を与えたという指摘はある。  また、シリコンバレーが現在のような発展を遂げるに当たって、80年代にまちづくりに取り組んだスマートバレー公社の存在があったことも知られている。東急電鉄には、まちづくりの視点からベンチャーを育成する役割が期待される。 【写真上】「東急アクセラレートプログラム」(TAP)のWebサイト
《鈴江 貴》

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