「音楽×ネット」の第二幕、定額制の聴き放題サービスは激戦模様 | 東京IT新聞

「音楽×ネット」の第二幕、定額制の聴き放題サービスは激戦模様

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「音楽×ネット」の第二幕、定額制の聴き放題サービスは激戦模様
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サイバーエージェントとエイベックス・グループ・ホールディングスが5月27日から共同運営しているストリーミングによる定額音楽配信サービス「AWA(アワ)」。LINEも先月(6月)11日に「LINE MUSIC」で既に参入しており、米アップルも同種のサービスを日本で開始した。激戦模様の“音楽聴き放題”サービスは、「音楽×ネット」としてはダウンロード方式に続く第二幕とも言える。音楽流通に革命的な変化は起きるだろうか。

サイバー・藤田社長が自ら登壇する意気込み

6月11日に開始した「LINE MUSIC」(上)と同30日開始の「Apple Music‎」
 CM放送開始前日の先月(6月)29日、東京・台場のホテルで開いた発表会に、サイバーエージェントの藤田晋社長は、エイベックスの松浦勝人社長とともに登壇した。藤田社長が決算説明会以外で、会社を代表して公の場に登場することはきわめて少ない。  最近では、昨年前半のアメーバブログ10周年キャンペーンがらみのイベント以来で1年以上前のことだ。それだけに、この新事業にかける同社長の意気込みが伝わってくる。  藤田社長はAWA運営会社の社長に就き、エイベックスの松浦社長は会長となった。  サイバーエージェントは今年(2015年)4月、「海外に通用するクリエイティブな会社を目指す」(藤田社長)方針を明らかにした。強固な経営体制で、両社は海外進出も視野に入れている。

ソーシャルメディア介し楽曲がヒットする可能性

いち早く5月27日にスタートした「AWA」
 AWAには今月10日時点で、国内外23社の音楽レーベルが参加している。現時点で聴ける曲数は明らかにしていないが、2015年末までに500万曲にする計画だという。利用料は月額360円のライトプランと月額1080円のプレミアムプランを用意し、利用開始から3カ月間は無料とする。このあたりの規模感はLINEなどと同じだ。  既にアプリのダウンロード数は100万を突破し、1日あたりの楽曲視聴回数は500万回以上に達しているという。お気に入りの曲をまとめたプレイリストを作成して公開することができる。著名人のプレイリストを利用することも可能だ。  AWAでは、ソーシャルメディアを介して特定の楽曲がヒットする可能性が飛躍的に高まる。

「音楽×ネット」をうたった15年前の光景

 今回の発表会では、壇上にプロデューサーら音楽関係者も並び「AWA発のヒット曲が出るといいですね」などと話した。  その光景は15年前のあるベンチャーの上場パーティーを思い起こさせる。東証マザーズに上場したリキッドオーディオ・ジャパンだ。  楽曲の売り方がCDからネットに革命的に変化する――それがリキッド社の謳い文句だった。残念ながら、同社の場合は、不祥事により事業をほとんど開始しないまま株式市場から追われ、裁判沙汰にもなった。  リキッド社や同業のしかばねの上に、米アップルによるiTunesの成功があったといえる。

曲ごとのダウンロード販売では変わらなかった

AWAの発表会には小室哲哉氏(左2人目)など著名音楽プロデューサーらも参加した
 当時、盛んに議論されたのは「レコード会社や流通業界が不当に大きく得ているマージンや過剰なプロモーション費用を減らし、作詞・作曲家やアーティストの取り分を増やすことができるのではないか」との仮説だった。「レコード会社に頼らなくてもアーティストがヒットをとばすことができるようになるのではないか」とも思われた。ただ、曲ごとの販売ではそこまでの変化は起きなかった。  現在、当時と異なるのはソーシャルメディアの発達がある。聴き放題サービスであれば、シェアされた楽曲を聴くことも容易となる。プロモーション費用は大幅に縮減できるはずだ。また、音楽業界に比べ、IT業界の発言力も音楽業界に負けないものになっている。  米国の大物歌手として知られるテイラー・スウィフトさんは、米アップルに対して「無料期間中にアーティストに楽曲の使用料金を支払わない方針はおかしい」と噛みつき話題になった。  しかし、本来議論すべきはアーティストとレコード会社との関係性ではないか。聴き放題サービスは、今度こそ、音楽業界に革命を起こせるだろうか。 【写真上】発表会で握手するサイバーエージェントの藤田社長(左)とエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦社長
《鈴江 貴》
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