クラウドソーシングで「フリーランスの島」を目指す奄美大島の挑戦 | 東京IT新聞

クラウドソーシングで「フリーランスの島」を目指す奄美大島の挑戦

エンタープライズ 行政

奄美大島をフリーランスの島に――。鹿児島県奄美市(朝山毅市長)はこのほど、クラウドソーシングのランサーズ(東京都渋谷区、秋好陽介社長)と提携し「フリーランスが最も働きやすい島化計画」の取り組みを始めた。2020年までに200名のフリーランスを島内で育成することに加え、50名以上の移住者を呼び込みたい考えだ。良好な自然環境を持つものの、本土と比べ雇用を確保しづらい南海の離島だけに、ITを活用した雇用創出の試みは注目を集めそうだ。

鹿児島だけど沖縄文化圏、奄美の中心地

鹿児島県・奄美市のWebサイト

 奄美大島は、鹿児島県内ではあるものの、沖縄との中間に位置する琉球文化圏内。亜熱帯の温かい気候と自然が自慢で、世界自然遺産への登録も目指している。

 有人島が8つある奄美諸島の中心となる奄美大島・名瀬(なぜ)を擁するのが人口4万5000人弱の奄美市だ。

 東京や大阪からの航空便が数多く就航する主要都市ではあるが、鹿児島や沖縄の経済圏からは離れており、島内に大規模な産業もないことから、全国的に高い失業率に悩む島としても知られていた。  そのため、同市では本土との距離の遠さを克服しやすいIT関連産業に着目。農業や観光ともに振興の柱に据えている。ITを使った振興策として着目したのがクラウドソーシングだった。

ネット環境とパソコンさえあれば仕事が可能

クラウドソーシング大手のランサーズ
 クラウドソーシングは、企業などが発注する業務を個人がインターネットとパソコンを使って請け負う仕組み。主にIT関連のプログラミングやデザイン、書類作成などといった作業を行う。  オフィスへの出社や作業の現場に赴く必要がないため、首都圏や大都市に居住していなくてもネット環境とパソコンさえあれば仕事を受注して収入を得ることが可能だ。  仕事を発注する側は首都圏企業が多く、受注するフリーランス側は地方都市に居住しているケースが目立っており、地方都市の活性化や雇用を担う仕組みとして近年は大きな注目を浴びている。  クラウドソーシング大手のランサーズは2008年創業のパイオニア的な存在。「時間と場所にとらわれない新しい働き方をつくる」ことをビジョンに掲げ、急成長している。

「フリーランスが最も働きやすい島化計画」を始動

奄美市では移住に関するガイドブックも作成している
 奄美市の「フリーランスが最も働きやすい島化計画」では、市役所内に支援窓口を立ち上げたり、各種講座を開いたりする。あわせて、市内にコ・ワーキングスペース(自由に使える作業や交流スペース)開設やネット環境の整備も行う。任意団体として「奄美市フリーランス協会(仮称)」を設立する計画もある。  一方、首都圏などで活躍していたITエンジニアがUターンやIターンで奄美大島へ移り住むケースも増えてきたことから、U・Iターン者の住宅探しなどの支援も行うことで、移住者をさらに増やしたい考えだ。  ランサーズは「フリーランスの働き方入門」「クラウドでの受注のしかた」といった講座開催を通じて仕事受注や実践のノウハウを提供するほか、奄美市のフリーランスへ実際に仕事を紹介したり、取り組みを全国へ紹介したりする役割を担っていく。  日本には人の住む離島が400以上存在するが、その多くが高齢化や過疎に悩んでいる。ITを使うことで距離の壁を克服し、仕事が得られるクラウドソーシングが雇用の救世主となりうる可能性もある。奄美市が打ち出した取り組みの行方は、離島経済の未来を占うことにもなりそうだ。 【関連記事】「ITで地方創生」関連の記事はこちら/「クラウドソーシング」関連の記事はこちら
《東京IT新聞 編集部》

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