角川ドワンゴが沖縄でインターネット高校を設立する思惑とは | 東京IT新聞

角川ドワンゴが沖縄でインターネット高校を設立する思惑とは

コンシューマー 産業のIT化

角川ドワンゴが沖縄でインターネット高校を設立する思惑とは
  • 角川ドワンゴが沖縄でインターネット高校を設立する思惑とは

KADOKAWA・DWANGOは来春、インターネットを使った通信制高校を沖縄県に開校する。デジタルネイティブ時代の子供たちを対象に、これまで提供していた“エンターテイメント性”や“IT技術”のノウハウを活用した「ネットの新しい高校」を設立する。主力サービス「ニコニコ動画」のユーザの一定数を占めるとみられる「『ひきこもり』に学びの機会を提供する」(川上量生社長)計画だ。川上社長は先月(6月)23日に会長から社長になったばかり。最初に打ち出した前向きな計画だけに、高校設立への思いは強いとみられる。

「『ニコ生』などの経験を生かしている」

記者会見には角川歴彦取締役相談役(左)も参加した
 KADOKAWA・DWANGOは現在、双方向学習WEBサービスを開発中。講義内容の理解を促進する仕組みを組み込むため、「『ニコ生』などの経験を生かしている」(川上社長)と話す。  高校をつくるにあたっては、社内からの提案があったという。昨年(2014年)12月に専門学校運営のバンタンを買収したことも伏線だったようだ。  多くのインターネット高校と同じように、時間や場所を問わない動画学習や、双方向性をそなえた学習プラットフォームを提供する。社会で即戦力となる授業として、IT教育のほか、有名ライトノベル作家やゲームクリエイター、デザイナー、経営者などのプロフェッショナル人材による課外授業も行う計画だ。

文科大臣補佐官の鈴木寛氏が役職か

ITを生かした学校運営に自信を見せる
 一方で、行政への手続きも進めている。すでに3月、沖縄県に対して「学校設置等に係る計画書」を提出し、「単位制による通信制(広域)の高等学校」として審査を受けている。学校名や校長などの情報は、審査中ということで明らかにしていない。ただ、相当の“大物”が招聘される公算が高い。  記者会見の冒頭で流されたビデオでは、東京大学教授で慶應義塾大学の鈴木寛教授がこのプロジェクトに賛同する旨のメッセージが流された。  鈴木教授は民主党の参議院議員だったが、前回選挙で落選。今は自民党政権下で文部科学大臣補佐官を務めており、教育のスペシャリストだ。  一方で、前回選挙で楽天の三木谷浩史会長兼社長が新経済連盟をあげて応援したことからわかるように、インターネット業界にも信奉者は多い。鈴木教授が名誉校長あるいは名誉理事長的なポストに就く可能性は十分ありそうだ。

学園祭は「ニコニコ超会議」などと連動?

 このニュース地元ではすでに知られた話題だった。  沖縄県の新聞「琉球新報」によると、「2012年3月に統廃合で廃校になった、うるま市与那城の伊計島にある旧伊計小中学校を拠点にし、1年目は全国から5000人の生徒を募集する計画」とし、「市企画課によると、16年4月の開校を目指し、市と地元自治会との覚書締結の手続きを進めている」と今年3月7日に報じている。  この報道にもあるように、生徒は全国で学ぶことができるが、短期間のスクーリングで沖縄を訪問することになる。学園祭は「『ニコニコ超会議』などと連動することも検討に値する」(川上社長)という。

「ニコ動」ユーザの不登校問題に贖罪の思いも

Webサイトでは動画やメッセージが公開されている
 1990年代の初めに6万人台だった小・中学校世代の不登校児童は1990年代後半に12万人超まで増加したという。その後も増加し、高水準が続いている。  ネット業界には不登校児が発生する責任はないかもしれないが、現実問題として「ニコ動利用者のかなりの部分が不登校だ」(川上社長)という。  今回、会見の言葉の端々から感じられたのは一種の“贖罪”ともいえる気持ちだった。立ち直るきっかけを与えたいということのようだ。  残念なのは、新高校の卒業生を採用する意向を示さなかったことだ。川上社長は質問に答え、「かならずしもそういうわけではない」とかわしていた。ここは嘘でも「採用したいような人材を育てたい」と言う気概を見せてほしかった。 【写真上】いつものように笑顔で会見する川上社長
《鈴江 貴》
page top