リクルートが世界的権威とタッグ、人工知能研究者の本気度を探る | 東京IT新聞

リクルートが世界的権威とタッグ、人工知能研究者の本気度を探る

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リクルートが世界的権威とタッグ、人工知能研究者の本気度を探る
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【ITジャーナリスト・湯川鶴章による連載92回目】リクルートのサイトに掲載する動画インタビューを撮影するため2度ほど米国へ出張してきた。これまでに話を聞いたのは、同社アドバイザーに就任した5人の世界的な人工知能研究者のうち4人。インタビューの合間の雑談時に彼らの本音を探ってみたのだが、リクルートとの取り組みに彼らは意外にも本気だった。(前回記事:「リクルートが人工知能に本腰、米の世界的権威と何を目指すのか」

4人のうち3人は前向き姿勢で引き受ける

 リクルートのアドバイザーを引き受けた理由には、もちろん各人で温度差があって「頼まれたから応じただけ」という研究者もいた。  しかし、今回話を聞いた4人のうち3人は非常に前向きで、なかでもトピックモデルという人工知能の研究分野では第一人者である米プリンストン大学のデイビッド・ブライ教授は、「見逃すことのできないチャンスだと思った」と熱く語ってくれた。  同教授は、文章中のトピックをコンピュータが自動的に把握する技術の研究に10年以上の歳月を費やしてきた。その技術はかなりのレベルにまで達しているのだが、これ以上精度を向上させるには、ユーザの行動データが必要だと考えていたところだった。

コンテンツとユーザの行動データが欲しい

デイビッド・ブライ教授の紹介ページ
 この場合の行動データとは、その文書を読んでユーザがどのような行動を起こしたのかというデータだ。  Webページを読んで広告をクリックしたのかどうか、この本を読んだ人は次にどのような本を読んだのか――このようなデータを解析することで、文書の中身をよりよく把握できるし、それが分かればユーザの行動をよりよく予測できるようにもなる。  研究を先に進めるためには、コンテンツとそれに関するユーザの行動データの両方の組み合わせが欲しい、ブライ教授はそう考えていたのだという。そこにリクルートからのオファーがあった。そうしたデータを多数持っている企業は、世界的に見ても珍しい。同教授はリクルートからの申し出に飛びついた。  同教授は、教え子のベンチャー企業のアドバイザーを勤めたことはあるが、リクルートのような大手企業のアドバイザーになるのは初めてだという。

米人材マッチングサイトの仕組みを開発した経験も

トム・ミッチェル教授の紹介ページ
 一方、世界で初めて機械学習学部を創設したカーネギーメロン大学のトム・ミッチェル教授も、リクルートのオファーに飛びついた一人だ。  同教授は、米国の人材マッチングサイトの仕組みを開発した経験もあり、人材ビジネスと教育は、彼が最も情熱を注いでいる分野だという。  ミッチェル教授は、ユーザの各種データを統合して一人ひとりのスキルレベルやキャリア志向などを把握できるようになれば、「そのときどき人生のステージに合った適切なキャリアアドバイスや社会人教育アドバイスを与えることのできる人工知能を開発できるはず」と考えている。  そして、多種多様なデータがあれば、レコメンデーションやマッチングサービスの精度が向上し、必要とされている人材を必要としている企業に的確に送り込む仕組みが完成するだろうと常々思っていたという。  そのためには、個々人の属性を正確に把握するための多種多様なデータが大量に必要になる。そうした多種多様なデータを持っている企業は、世界的に見てもそう多くないと話す。  確かにリクルートは、人材ビジネスやレストランガイド、住宅情報、結婚、美容、学びなど、多様なデータを大量に持っている。  「多種多様な膨大なデータの中からパターンを見つけるのは人工知能にしかできないし、人工知能が最も得意とするタスク。この領域に自分の開発してきた技術を使ってみたいと思った」とミッチェル教授はリクルートと組んだ理由を語ってくれた。

“宝の持ち腐れ”から“宝の山”に変えられるか

 多種多様なデータを統合できていない――。  これまで業界関係者の間でよく耳にしたリクルートへの批判の1つだ。知り合いのあるベンチャー企業経営者は「無駄に多くのデータを持っており、宝の持ち腐れだ」と笑っていた。  ところが“宝の持ち腐れ”と見られていたデータが、ここにきて人工知能の急速な進化を受け、“宝の山”に変わるかもしれない。うまくいけばこれまでにないようなレコメンデーションやマッチングのサービスを、世界に先駆けて構築できるかもしれない。リクルートにとって大きなチャンスが到来したわけだ。  もちろん宝の山に変えることは簡単なことではない。成功するかどうか、この時点では分からない。しかし簡単ではない挑戦だからこそ、世界的研究者がその挑戦に加わってきたのだと思う。  トップレベルの研究者は、その挑戦が困難であればあるほど、そのプロジェクトに本気になるものだ。リクルートと世界的人工知能研究者の挑戦は始まったばかり。どのような身を結ぶのか見守っていきたい。 【関連記事】人工知能に関する記事の一覧
《湯川 鶴章》

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