<ITビジネス法務>「モンスター社員」は試用期間中に見極め対策を | 東京IT新聞

<ITビジネス法務>「モンスター社員」は試用期間中に見極め対策を

エンタープライズ 経営

前回(第26回)の記事では、企業を蝕む「モンスター社員」への対策として効果的な“3ない運動”を紹介し、このうち1番目の「採用しない」ことに関して解説しました。今回は、2つ目の「いきなり正社員にしない」という意味について解説していきましょう。

「正社員」とはどのような存在か

 そもそも「正社員」とは一体何なのでしょうか。正社員という法律用語はないのですが、通常は「期間の定めのない労働契約で採用された社員」のことを呼びます。その逆が「期間の定めのある労働契約」です。  両者の違いですが、期間の定めのない労働契約で採用した社員は、そうでない社員に比べて、解雇がより制限されます。  そのため、モンスター社員を正社員で採用してしまった場合、解雇には大変苦労することになります。

必ず試用期間を設けること

 とはいっても、最近は景気回復で雇用市場が活気づいているので、正社員で採用しないと良い人材が集まりません。  そこで、社員を採用する際には、何の制限も設けずに正社員として採用するのではなく、試用期間を設けた正社員として採用する(期間の定めのない労働契約ではあるが、試用期間満了時に解雇する権利が会社にある)ようにすることをお勧めします。  そして、試用期間中に「モンスター社員かも」と思ったなら、本採用を拒否する(試用期間満了時に解雇する)のです。

見極めるには最低2カ月間が必要

 試用期間の長さに法律上の決まりはありません。ただ、試用期間が1カ月だと、本採用を決めるにあたって、モンスター社員かどうかを見極める時間がありません。  というのは、試用期間が15日以上になる場合は、本採用拒否=試用期間満了時の解雇にあたって30日以上前までに解雇予告を行うか、あるいは解雇予告手当(解雇予告日から解雇日までの日数が30日未満の場合の、下回った日数分の賃金相当額)の支払いが必要になります。  そのため、モンスター社員か否かを見極めるため、1カ月は働きぶりを見た上で、かつ解雇予告手当は支払わずに済ませたい(30日以上前に解雇予告をする)ということになると、試用期間を2カ月として、1カ月が経つまでに見極めることになります。  判断したらその(試用期間満了まで30日以上ある)時点で、本採用拒否=試用期間満了時の解雇の予告をする必要があります。

本採用拒否には合理的理由が必要

 注意しなければいけないのは、本採用を拒否するためには合理的な理由が必要ということです。「解雇」である以上、労働者の権利保護を重視する日本の労働法制下では、そう簡単にできる話ではありません。  そこで、採用時に達成目標を明確に設定し「これが達成できれば本採用するが、クリアできなければ本採用は拒否する」ときちんと伝え、それを書面に残すべきです。  そして、試用期間中に記録をつけてモニタリングするとともに、本採用を拒否するときは、どの目標を達成できなかったのか、きちんと特定して伝え、書面に残すようにしましょう。  これによって、本採用拒否の法的な有効性を高めるとともに、本人にも「これでは仕方ない」と諦めさせるようにするのです。
《藤井 総》

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