<ITビジネス法務>「モンスター社員」には社内に居場所がないことを理解させる必要 | 東京IT新聞

<ITビジネス法務>「モンスター社員」には社内に居場所がないことを理解させる必要

エンタープライズ 経営

本連載の前々回記事では企業を蝕む「モンスター社員」への対策として効果的な“3ない運動”のうち、1番目の「採用しない」について説明し、前回は2番目の「いきなり正社員にしない」という点を紹介しました。今回(第28回)は最後の「いきなり解雇しない」について解説します。

「解雇」とはどういうことか?

 そもそも、解雇がどのような手続きなのかをざっくり言うと「会社が社員を一方的に辞めさせる手続き」です。一方的であるという点が、社員がその自由意志に基づいて辞める手続きである退職との違いです。  解雇は主に「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」という3種類があります。  普通解雇とは、社員が十分な労働を提供できない場合に行い、懲戒解雇は社員が企業の秩序を乱した場合のもの。整理解雇は、会社の業績が悪化した場合に行う解雇です。一口に「解雇」といっても、有効要件や法的効果は種類ごとに違いがあります。

モンスター社員は「普通解雇」に

 モンスター社員を解雇する場合は、普通解雇と懲戒解雇のどちらを選択することになるのでしょうか。  この点、懲戒解雇は退職金が支給されなかったり、再就職の足かせになるなど、社員に与える不利益の程度が非常に多く、有効性が認められるための要件が極めて厳しい手続きです。そのため、現実的には普通解雇を選択することになります。  ただ、普通解雇についても(社員を一方的に辞めさせる)解雇である以上、やはり要件は厳しくなっています。  周りに迷惑をかけるモンスター社員だからといって、いきなり普通解雇をしたとしても、裁判ではまず間違いなく無効になります。

本来は自主退職してもらうのが一番

 そこで最初に目指すのは、自主的に退職してもらうことです。退職届を自分から提出させれば、後から不当解雇だと主張しにくくなくなります。  そのためには、当人にどういう問題があるのか、そのせいで会社がどういう迷惑を被っているのかについて繰り返し指導し、会社に自分の居場所がないことを理解させる必要があります。  その際に、本人の上司に任せるのではなく、社長が前面に立つ必要があります。一社員にモンスター社員の対応を任せるのは、荷が重すぎます。

「懲戒処分」を積み重ねる

 これだけやっても自主的に退職しない場合は、懲戒処分を積み重ねることが必要です。解雇は法律上、問題ある社員に対する最終手段とされています。手を尽くしたがそれでもダメだという場合に、初めて有効になります。  問題行動には、軽い懲戒処分からスタートして、段階的に重くしていきます。面倒でも、毎回きちんと書面に残す必要があります。  これをやっておけば、最終的に解雇を行い、その後に解雇無効の裁判を起こされても、解雇に向けてきちんとプロセスを踏んでいる、と主張できます。

一番大事なのは採用しないこと

 これまでモンスター社員の「3ない運動」を解説してきましたが、一番重要なのは、1番目の「採用しない」です。少ない人数で業務をこなさないといけない中小企業で、モンスター社員を一人でも採用すれば、会社はガタガタになってしまいます。危ないと思ったら採用しない、これは鉄則です。  私が相談を受けてきたトラブルでは、人員不足で会社が回らないなかで、ちょっと危ないかなと思いながらも、その社員を採用してしまった場合がほとんどなのです。
《藤井 総》

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