期待のメタップス株が低迷、ネット・ITベンチャーのIPOに暗雲 | 東京IT新聞

期待のメタップス株が低迷、ネット・ITベンチャーのIPOに暗雲

エンタープライズ 経営

ネット・ITベンチャーの新規上場に暗雲が垂れこめてきた。先月(8月)28日に東証マザーズへ、まさに“鳴り物入り”で株式新規上場(IPO)したネット広告関連のメタップスの株価は大幅に崩れた。美容・健康サイト運営のリッチメディアと、恋愛マッチングアプリのネットマーケティングの2社が相次いで新規上場を取りやめる“事件”もあった。今月は写真・動画の販売仲介のピクスタや電子雑誌出版のブランジスタも上場を予定しているが、すんなりといくのか。それとも台風シーズンに突入してしまうのか。

43億調達と竹中平蔵氏の就任で期待集めたメタップス

8月28日に上場したメタップスのWebサイト
 メタップスは「スマートフォン向けアプリにおける広告運用コンサルティングサービスおよびEC事業向けオンライン決済サービスの提供」を手がけている。  ベンチャー業界では以前からの注目企業であり、今年はじめには43億円を調達し、元金融担当大臣だった竹中平蔵氏がアドバイザーに就任するなどしたことから、株式市場でもIPO時には人気化するとの期待があった。  しかし、実際の結果は期待を大きく裏切るものだった。8月28日についた初値は、公募・売り出し価格(公開価格3300円)を8%下回る3040円であり、終値は2割以上低い2601円となった。  当日の上場会見で、メタップスの佐藤航陽社長は「波乱のマーケットだった」と話したが、この日に限っては日経平均株価は560円強上昇していた。

株価低迷は一企業の問題ではないとの見方も

上場が延期となったネットマーケティングのWebサイト
 ある中堅証券のアナリストは「そもそもベンチャー株は全体の動きに逆行して値上がりする勢いが求められる。全体の株価のせいにするのはやや情けない」と手厳しい。  この点は佐藤社長も心得ているようで、会見では業績の黒字転換見通しを示した。メタップスの2015年8月期連結決算は営業損益が推定3億3500万円の赤字だが「来期以降の黒字化に自信を持っている」。売上高についても「今期(15年8月期)並み(前期比78%増)の成長率を数年間維持できる」と前のめりだ。  株価はその後も軟調で今月4日には一時2070円まで売られる場面もあった。ただ、メタップスの株価低迷は、一企業の問題ではないとの見方も浮上している。  メタップス上場前日の8月27日には、恋愛マッチングアプリ「Omiai(オミアイ)」のネットマーケティングが、9月16日に予定していた東証マザーズへの新規上場を延期すると発表した。  会社側が、「事業環境の変化が業績に与える影響を確認する」ため、延期を申し入れたということになっている。「特定企業との取引で、2016年6月期の業績見通しが未達になる可能性が生じた」という。いずれは「上場手続きを再開したい」との立場だ。

今年期待されたIPO数100社は達成できるのか

9月17日に上場を予定するブランジスタは電子雑誌事業を展開する
 一方、リッチメディアは8月6日、同月10日の上場直前に取り消しとなった。会社側は2015年6月期の業績未達を理由としているが、「内部統制の有効性に関する問題があった」との指摘もある。  昨年12月に上場したソーシャルゲームのgumi(グミ)が、上場直後に業績予想を大幅に下方修正したことで、IPO銘柄への信頼は大きく揺らいでいる。  これから上場が決まっているブランジスタは、ベンチャー業界の兄貴分的な立ち居振る舞いで知られる近藤太香巳(たかみ)氏が社長を務めるネクシィーズの子会社であり、楽天と幻冬舎が出資している。その意味で期待は高い。  100社とも言われた今年のIPO社数だが、その見通しは達成されるだろうか。 【写真上】東京証券取引所が発行している「新規上場ガイドブック・マザーズ編」  【関連記事】 「目標は電子界のリクルート」電子雑誌を次々創刊 紙にない独自モデルとは(2014年2月24日)

 

《鈴江 貴》

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