「車を自分で運転?バカバカしい」自動走行車を礼賛する声が | 東京IT新聞

「車を自分で運転?バカバカしい」自動走行車を礼賛する声が

コンシューマー 産業のIT化

技術の先端を追う仕事をしていても、あまりの技術の進化の速さ、価値観の変化の速さにびっくりすることがある。ほんの数年前に米グーグルが自動走行車の研究を最初に知ったとき「なんとSF的な」と感じたのを覚えている。その後メディアで取り上げられるようになったが「雨の日は走れない」「センサの感度が悪い」など、否定的な報道が多かった。なのに最近読んだ英文の記事「Google's Cute Cars And The Ugly End Of Driving」では「自動走行車は安全で、近い将来、すべての自動車は自動走行車になる。自分で車を運転したいという考え方なんて“クソくらえ”だ」という論調にまでなっていた。

車を自分で運転したいとの思いは「わがままな趣味」

米バズフィードニュース(BuzzFeed News)のサンフランシスコ支局長であるMat Honan氏による2015年10月1日発表の記事「Google's Cute Cars And The Ugly End Of Driving」

 車を自分で運転したいという思いは「わがままな趣味」として糾弾されるようになってきている。

 短期間でものすごい価値観の変化が起こっているわけだ。

 確かに法整備や社会インフラなど、まだ解決されていない課題は山積みとなっている。  大きな自動車産業を抱える日本にとっては、今後の時代の進み方次第で経済的に大きなインバクトを受ける可能性がある大きな問題だ。  自動車産業に殴り込みをかけようとしているのは米テスラ・モーターズやグーグルだけではない。最近では米アップルも自動走行車の開発を始めたもようだ。

自動運転の方が安全、いずれ運転手は不要に

プリファード・ネットワークス(Preferred Networks)がYouTubeに公開している自動走行車のデモ動画
 だが、今後どのような展開になるかは細かく予測はできないものの、いずれ全ての自動車は運転手不要となるのは間違いないだろう。  そう私が確信したのは、人工知能ベンチャーのプリファード・ネットワークス(Preferred Networks)がYouTubeに公開している自動走行車のデモ動画を見たときだ。  256個のセンサを搭載したレーシングカーのコンピュータシミュレーションで、レーシングーカーが安全に速く走行するスキルを次々と学習。最後は渋谷のスクランブル交差点で人が行き交うように、信号のない交差点を大量のレーシングカーが衝突せずに走り抜けられるようになる。もちろん実機でも実証できている。  自動運転の方が安全――。米バズフィードニュース(BuzzFeed News)のサンフランシスコ支局長であるMat Honan氏は、グーグルの自動走行車に乗って、同じことを実感したのだという。

周辺のセンサ情報をすべて考慮して走る

 「自動走行車には人間に見えないものが見える」と同氏は言う。前方に障害物が何もないのに、自動走行車が減速し始めた。しばらくすると路上に駐車してあった車の間から一人の男性が現れた。その男性が飛び出す可能性を考慮して減速したらしい。  自動走行車は自車搭載のセンサだけではなく、他車搭載のセンサや信号機のセンサなど、周辺のセンサ情報をすべて考慮できるわけだ。  自動走行車の時代になれば、スマートフォンアプリでいつでも自動走行車を呼べ出せるようになり、車を所有する人が少なくなる。渋滞は解消され、交通事故は激変する。大気汚染も減少する。  一方で「自分で車を運転するという楽しみが奪われる」という声がある。そうした意見に対し同氏は「車が大好き?そんなのクソくらえだ」と激しく反論する(実際にはより下品な表現が使われている)。  「毎年交通事故で死ぬ120万人の命よりも、車を自分で運転したいという欲求のほうが大事だと言うのか」。  確かにこの意見に反論できる人はいないだろう。ほんの数年前に夢のSF物語だと思ったことが、あっという間に現実になる。技術で社会は大きく変わる。それに従って価値観も変わらざるを得ない。新しい時代に対処できる柔軟な思考を持ち続けることの大切さを実感する今日このごろである。
《湯川 鶴章》

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