【マイナンバー】中小企業の直前対策…いかに収集するか | 東京IT新聞

【マイナンバー】中小企業の直前対策…いかに収集するか

コンシューマー 産業のIT化

■マイナンバー収集時の4つのポイント
 10月からスタートしたマイナンバー制度。前回まで、マイナンバー制度の基礎知識を中心に、一般企業がなすべき具体的な手順や注意点、対応策としてのソリューションなどについて簡単に触れた。第3回目は、HANJO HANJOの読者である中小企業の皆さんが「マイナンバーをいかに効率的、かつ安全に収集するか?」という観点から、いくつかの手法を紹介していこう。

 この記事が掲載される頃には、ちょうどマイナンバーの通知カードが届き始めているかもしれない。そろそろ本腰でマイナンバー対策を考えなければいけない時期に来ている。もう必要な社内規定の整備は整っただろうか? ベンダーなどが用意するテンプレートなどで対応済の企業も多いだろう。従業員にマイナンバー通知カードが届いたら、企業側はマイナンバーの収集を開始する必要があるが、その際に押さえるべきポイントは以下の4つだ【写真1】。

1.マイナンバーの収集対象者を確認

 企業側でマイナンバーの収集を行う際には、従業員はもちろん、その扶養家族のマイナンバーも必要になる。また業種によっては、契約社員やパート・アルバイトなどを多く雇用しているケースもあるだろう。そのほか顧問弁護者や税理士、翻訳、ライター、デザイナーなどの外注先からも、マイナンバーを集めなければならない。たとえ事業規模が小さくても、業種によっては大量のマイナンバーを集めるケースも想定されるので、できるだけ効率の良い収集方法が望まれる。

2.利用目的の特定と明示

 マイナンバーを集める前に、企業側は法律の範囲内で利用目的を特定し、それを明示する必要がある。現行の法律では、マイナンバーの提供は「税と社会保障」に関する特定の目的に限られている。それ以外では使えないため、利用目的を明示した「マイナンバーに関するお願い」といった文を社員に出して、本件を周知徹底させておく。

3.具体的なマイナンバー収集方法の決定

 マイナンバー収集方法は、ここで一番肝になる部分だ。考えられる主な方法は「紙媒体での収集」「メールでの収集」「クラウド利用による収集」「収集代行サービスでの収集」があるだろう。業種・業態、事業者の規模や従業員の雇用形態によって、ベストな方法が変わってくる。詳細については後述する。

4.本人確認方法の決定

 事業者がマイナンバーを収集する際には、取得者に本人確認が義務づけられている。本人確認を行う際には、マイナンバーが正しいかどうか番号確認が必要だが、もう1つ重要な点は、手続きをする者が本当に本人かどうかという身元確認だ。これは他人へのなりすましを防止するために行う。現段階でマイナンバーを収集する際には、番号確認のための通知カード、またはマイナンバー付きの住民票に加え、本人確認のために必要な写真付きの身分証明書、たとえば運転免許所やパスポートの提示が必要だ(来年1月以降に発行されるマイナンバーカードの場合は、マイナンバーと身元の確認が一度にできる)。

■コストと効率性で選ぶ、マイナンバー収集法
 ここからは、今回のデーマであるマイナンバーの効率的な収集法について触れたい。前節でご紹介したように、主な収集方法には「紙媒体での取集」「メールでの収集」「クラウド利用による収集」「収集代行サービスでの収集」がある【写真2】。これらのうち、30名以下の企業では「紙媒体での取集」や「メールでの収集」で十分に対応できるだろう。それ以上の人数、特に100名を超える規模の場合はクラウドで収集したほうが、あとあとの運用もラクになりそうだ。

1.紙媒体での収集

30名以下の企業では、まだ社内のIT化が進んでいないケースも多い。人事給与など業務パッケージも未導入で、Excelや紙ベースで処理を行っている場合もあるだろう。特に紙ベースで日常業務を行っている企業では、普段からの業務フローを変えずに、マイナンバー対応の影響も対策費用も最小限にとどめたいところだろう。

 そこで紙による収集と管理がベーシックな対策として考えられる。その場合は、従業員などの対象者にマイナンバーを確認できる書類(通知カードなど)と、身元を確認できる書類のコピー(パスポートなど)をとって、会社に持ってきてもらう。そして本人確認を行ったうえで、マイナンバーを管理台帳などに書き込んでいく。管理に便利なマイナンバー収集フォーマットも市販品として販売されているので利用してみるとよいだろう(例:日本法令の「マイナンバー取得・保管セット」)。

2.メールによる収集

 上記のような通知カードやパスポートを自宅などでスキャンしたり、スマートフォンのカメラで撮影し、それをメールに添付して、企業の担当者に送る方法だ。たとえスキャナーを持っていなくても、スマートフォンならば所有している方も多いだろう。その意味では、本社以外に営業所や店舗などが多くある企業の場合に、お手軽で便利な方法だ。

 だが個人でカメラ撮影を行うため、場合によっては撮影がうまくいかないことも考えられる。また特に注意したいのが、セキュリティ関係の問題だ。誤って管理者以外に送信してしまわないように、くれぐれも注意したい。可能であれば、安全のために添付ファイルをパスワードで保護しておいたほうがよいだろう。送信時のデータやメールについても、しっかりと削除しておく必要がある(メールを受理した管理者側も同様に注意したい)。

3.クラウド利用による収集

 従業員がPCやスマートフォンなどから入力したデータを、クラウドのサーバストレージにアップロードする方法だ。セキュリティが強固なデータセンターで管理されるため、情報漏えいの心配もない。こちらの方法は、管理者の手を煩わせず、ダイレクトにマイナンバーを収集でき、その後のデータ運用の記録もログとしてしっかり記録されるため、あとあとの管理が容易になるというメリットがある。本社以外に営業所や店舗などが多くある企業や、従業員が100名以上いる企業の場合には便利な方法といえるだろう。

 マイナンバー収集のクラウドサービスは、若干のITリテラシーが求められるが、なかには一人あたり数千円からというお手頃料金のサービスも登場している(例:NTT東日本の「マイナンバー対策セット」や、クラウドワークスの「マイナンバーワークス」など)。これを機会に社内のIT化を進めようと検討している企業であれば、かなり有効な選択になるだろう。なお会計ソフトウェアなどのパッケージを利用している場合でも、付随のサービスとしてクラウドサービスを利用できるケースもある(例:弥生の「弥生ドライブ」)。すでにパッケージを導入している企業は利用可能かどうか確かめてみるとよいだろう。

4.代行サービスでの収集

 この方法は、前述のような「紙媒体」「メール」「クラウド」を用いて、マイナンバーの収集を代行するサービスを活用する方法だ。パートやアルバイトなど、数多くの非正規雇用の従業員を抱える企業が短期間にアウトソーシングする方法として有効だ。また、ストレージ系のクラウドサービスと連動し、番号収集もみならず、管理や保管まで一元的なサービスをサポートするケースも多い。

 ただし、外部の代行サービスに収集など、一部の業務を委託する際には注意すべき点もある。特定個人情報は、一般的な個人情報と比べて、さらに慎重な取り扱いが求められる。そのため委託元の企業は、委託先だけでなく、再委託、再々委託先まで、自社の安全管理措置と同レベルの対策が行われるように、委託先の監督が義務付けられている【写真3】。つまり従来の間接的な監督ではいけないということだ。また再委託先・再々委託先についても、委託元の承認が必要だ。

 以上、マイナンバーの収集に関する4つの方法を雑観してみた。マイナンバーの収集は、制度への対応の第一関門だ。どの方法がベストなのかという点は、各企業の業務や企業規模、ポリシー、作業のかかり具合、コストなどによって変わってくるだろう。それぞれのメリットを見極めたうえで、ぜひ自社にべストなソリューションを選んでいただきたい。次回は、士業者向けの対策について説明する予定だ。

まだ間に合う! 中小企業のマイナンバー直前対策(3)……いかに収集するか

《井上猛雄》

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