生徒全員が授業に積極参加…小学校でデジタル顕微鏡を活用した理科実験 | 東京IT新聞

生徒全員が授業に積極参加…小学校でデジタル顕微鏡を活用した理科実験

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 最新のデジタル顕微鏡を使い、小学生たちが火山灰の結晶を観察。さらに結晶の写真データをiPad経由で先生の大型テレビに転送して発表を行う。そんな先進的な理科の公開授業が、10月に狛江市の小学校で行われた。これは、東京都教育委員会が大学や企業と連携し、理科や算数などの楽しさや有用性を生徒に伝える「理数授業特別プログラム」のひとつだ。

◆小学6年生が最新の顕微鏡で火山灰を観察

 今回、デジタル顕微鏡による理科の授業を体験したのは、狛江市立狛江第五小学校の6年生。授業では、小学6年生の理科単元「大地のつくりと変化」の一環として、「火山灰を観察し、記録しよう」というテーマで、実際に火山灰を顕微鏡で観察した。

 生徒は4人ずつの班を組み、各班に1台ずつデジタル顕微鏡とiPadが用意された。授業に使われたのは、内田洋行から2014年7月に発売された最新のモニター付きのデジタル生物顕微鏡「D-EL3N」。総合倍率400倍で、7インチのタッチパネル液晶を搭載しており、HDMI接続や、Wi-Fi経由でパソコンやスマートフォン、タブレットなどと連携や表示が可能になっている。また、モニターやタブレットの画面から、表示している対象物をその場で撮影が可能だ。D-ELシリーズは、すでに都内の31校が導入し、実際の授業などで活用している。

◆画面を見ながら活発に意見交換

 まずは、乳鉢に用意された霧島の火山灰を水で洗って不純物をとりのぞき、薬さじにとって顕微鏡に乗せる。初めて見るデジタル顕微鏡に、生徒たちは興味津々。慎重な手つきで、顕微鏡のモニターを見ながらピントを調整していく。

 顕微鏡を操作していない生徒も、同時にiPadで画面を見ながら「あ、ちょっとずれた」「もう少し左じゃない?」と、班内で声を掛け合っていた。これまでの理科実験では、班の作業でも交互にレンズをのぞき込む必要があったが、iPadの大きな画面に転送することで、班全員が席を動かずとも結晶の様子をリアルタイムで観察することができる。

 生徒たちはピントがあった結晶写真を次々に撮影していく。あわせて、資料として配布された鉱物の結晶写真と見比べて、火山灰に含まれる成分を観察した。

 最後に、班ごとに撮影した結晶写真からベストショットを決め、観察した結果を報告するのだが、このベストショットの選定が授業の中でもっとも議論が活発になった。iPadに保存された写真を1枚ずつ見ながら、グループ内で意見を交換。各班が選んだ1枚をiPadから教壇に設置された大型テレビに転送する。送られたベストショットは2台のテレビ画面に4分割され、8班すべての写真を一度にチェックすることが可能だ。

 生徒たちが選んだベストショットは、いずれも傑作ぞろい。発表では、「色と形が違う火山灰の特徴がよく出ている写真を選んだ」「きれいな長石とかんらん石との相性がよかった」「真ん中の長石の透明さと白さがよく表現できた」といった、小学生ならではの意見が飛び出した。


◆生徒全員が授業に積極的になっていた

 授業が終わったあと、生徒たちに感想を聞いてみたところ、「iPadの画面にうつるから、みんなで見られるのがいい」「もっと全教科でiPadを使ってほしい!」といった意見が多く、好評だった。タブレットやスマートフォンの使用状況を聞いてみると、ゲームなどで日常的に使っている生徒が多く、授業で使用したiPadも慣れたようすで操作していた。

 今回の公開授業について、担任の和泉先生にも話を伺った。

--デジタル顕微鏡を使った授業で、手ごたえは感じましたか?

和泉先生:すごく感じましたね。理科実験では、ひとりの得意な生徒だけが操作し、ほかの生徒は見ているだけになってしまいがちですが、今回はみんなで観察し意見を出し合えるのが大きかったです。特に、女子が積極的に参加していたのが印象的でした。自分で写真を撮って選ぶという楽しみも大きかったと思います。今回の発表は決して理科的なコメントでないものもありましたが、「きれい」や「バランスよく並んでいる」といった楽しみから入るのもよいと思います。

--ふだんの授業でも、iPadを活用しているのでしょうか。

和泉先生:体育の授業でマット運動や跳び箱を撮影してフォームをチェックしたり、学芸会の劇を動画撮影しみんなで見たり、計算アプリを入れたりして活用しています。教師側が使い方をマスターし、準備ができれば、もっと活用していきたいと思います。

 内田洋行では、デジタル顕微鏡以外でも、ICTを活用した“未来の教室(フューチャークラスルーム)”を展開しており、教員向けにはICT利活用のための教員研修プログラムを提供している。デジタル世代の生徒たちにとって親和性の高いデジタル教育機材やタブレットなどを上手に取り入れていくことで、これからのアクティブラーニングへの実用性も期待される。
《相川いずみ》

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