(箱田雅彦)IT企業はなぜ「宇宙ビジネス」に乗り出すのか | 東京IT新聞

(箱田雅彦)IT企業はなぜ「宇宙ビジネス」に乗り出すのか

ソリューション クラウド

▼マスク氏、ベゾス氏らが相次ぎ“宇宙進出”

 先月(2015年10月)、宇宙ビジネスをテーマとしたカンファレンス「SPACETIDE(スペースタイド)2015」が都内で開かれた。宇宙産業といえば従来は政府主導型のものが多かったが、ここで取り上げられたのは民間企業の取り組みだ。

 米国ではスペースシャトルが担っていた国際宇宙ステーションへの物資輸送を、近年は民間企業の「スペースX」社などが行っている。同社を率いるのは、電気自動車メーカーとして話題の多い米テスラモーターズのCEOも務めるイーロン・マスク氏。同氏はオンライン決済「Paypal(ペイパル)」の前身サービスの創業者としても知られる。

 民間企業による宇宙ビジネスへの参入は、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏によるブルー・オリジン社のロケット開発や、グーグルによる衛星インターネット計画など、IT企業が目立つ。

 過去には民間企業が開発した宇宙機で初めて宇宙に到達した「スペースシップ・ワン」もマイクロソフトの共同創業者であるポール・アレン氏の資金提供によるものであった。

 「ITと宇宙は近い」という認識は既に常識となっている。

▼ネットワークに繋がった人工衛星もIoTの一種

「SPACETIDE」で登壇した内閣府宇宙戦略室長の小宮義則氏は、グーグルが宇宙を「ビッグデータビジネスのひとつのツールとして使おうとしている」と指摘し、こうした流れを「デジタル技術が進歩して、宇宙も組み込むことができるようになってきたということの表れ」であると語った。同氏は「宇宙はビッグデータやIoTの世界と融合している」とも述べている。

 一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「革新的衛星技術実証プログラム」でも、取り組む課題の例として、「衛星間や衛星・地上間のネットワーク(IoT)化」が挙げられており、ITと宇宙のさらなる融合が求められていることがわかる。ネットワークに繋がった人工衛星もまたIoTの一種なのだ。

▼成熟技術は人の意識から消え、体験だけが残る

 人間は技術によって物理的な力や視覚、聴覚など様々な身体能力を拡張してきた。よくできたVR(バーチャルリアリティ)体験を本物と錯覚してしまうように、技術がある一定のレベルに達すると、技術自体は意識から消え、体験のみが残る。

 手元のスマートフォンで調べものをする時にも、うまく動いている間はサーバの存在は意識から消えている。意のままに「使える、使っている」という感覚は、技術の成熟度を測るひとつの指標といえる。人工衛星などもさまざまな場面で日常の生活に意識されずに溶け込んでくるに違いない。気象衛星や通信・放送衛星など、一部はすでにその域に達している。

 ITや宇宙だけでなく、あらゆる分野のテクノロジーの進化はすべて私たちの生活に関係しているのだ。
       ◇
 本連載は今回で終了となります。テクノロジーの進化が自分たちの日々の生活や仕事にどう影響していくのか、それを考えるヒントになることができたのであれば、これに関わる人間のひとりとしてとてもうれしく思います。長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。(ITジャーナリスト 箱田雅彦)
《箱田 雅彦》

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