添乗員アプリ「TRIPAN(トリパン)」、自由旅行を安全に楽しむ解決策に | 東京IT新聞

添乗員アプリ「TRIPAN(トリパン)」、自由旅行を安全に楽しむ解決策に

コンシューマー サービス

近年、訪日外国人の増加に伴い政策として「観光立国」を掲げる日本。国策としても、ビジネスとしても注目が集まる観光事業にITを駆使し、イノベーションを起こそうというのが旅行ガイドアプリ「TRIPAN(トリパン)」だ。

運営するOrange(オレンジ)株式会社(東京都港区)の代表取締役CEOである甲斐考太郎氏と代表取締役COO(最高執行責任者)の佐藤永武氏に話を聞いた。

▼チャット感覚で現地ガイドに質問できるアプリ

近年、各旅行会社が提供する旅行プランは多岐に渡り、国内外を問わずバラエティ豊かな旅が楽しめる。とくに、時間配分や行き先、ホテルを自ら決める自由旅行の需要は高まっている。一方で、土地勘のない海外での旅行は不安がつきもの。「安全な自由旅行を楽しみたい」──そんなニーズを叶えるのがガイドアプリ「TRIPAN(トリパン)」だ。

同アプリは、旅行中のユーザが専用アプリを通じて、現地に精通したガイドに質問し、その回答が10分以内に返ってくるという内容だ。

「チャット感覚でガイドとやりとりができ『バンコクで迷子になった』『この付近でオススメのレストランは?』などの個人的な質問に答えることが可能です。本人にピッタリな情報を提供できるのが強みです」(甲斐CEO)。

また、旅行先で起きるさまざまなトラブルにもガイドが丁寧に対応してくれるという。

「トリパンを使ってイタリアを旅行していた利用者から『妻の歯が痛んだ』という質問が来たのは驚きましたね。担当のガイドが現地の歯医者を調べて『歯を抜かないでくれ』といった内容のイタリア語をその方に教えて事なきを得ました。このとき、ガイドがトラブルを解決したことで、サービスの必要性を感じました」(佐藤COO)。

今年10月現在、トリパンは東南アジアとヨーロッパを中心に世界10カ国に対応している。利用者からは「精神的な保険になった」という声が寄せられ、満足度は90%以上だという。高評価の秘密は、トリパンにとってもっとも重要な存在であるガイドにある。

▼高いスキルを持ったガイドたちが旅をサポート

ガイドはトリパンの一番の資産と彼らが語るように、ガイドの募集条件は「現地に1年以上居住経験」「添乗員経験がある」などのスキルを要する。なかには20年以上の添乗員経験をもつベテランガイドもいるという。

「スカイプ(Skype)や電話で面接し『ガイドを任せても大丈夫』と感じた方にのみお願いしています。自分の旅行経験から、もっとも理想的な旅はその国に住んでいる友人に現地をアテンド(付き添って世話をしてもらう)してもらうこと、との結論に至り、トリパンを可能なかぎりその状態に近づけるためにも、ガイドの採用にはとても気を使っています」(甲斐CEO)。

“現地のことは、現地の人に”を、コンセプトに掲げる彼らならではのこだわりだ。

「若い世代は添乗員付きのツアーを選ばない傾向にあります。しかし、添乗員がいることで得られる安心感など、お金以上の価値を見いだすことができれば、もっと利用も増えるはずです。そこで、自由旅行と添乗員付きツアーの長所を取り込んだトリパンを使っていただき、将来的にリアルな添乗員の利用率アップにつながれば、と考えています」(同)。

▼両代表の出会いは取引先の「先輩」「後輩」

プライベートでも旅行好き、という2人が出会ったのは2009年。テレビ宮崎に勤務していた甲斐さんの取引先が博報堂DYメディアパートナーズに勤める佐藤さんだった。両氏とも旅行もITもまったく関係ない職についていた。

その後、佐藤COOは外資系の保険会社へと転職。一方、甲斐CEOは会社に勤務しながら、ある計画を立てていた。

「私はもともと旅が大好きだったので、いつか旅行で事業をしたいと考えていました。そこで、社内ベンチャーの立ち上げを試みたんですが、私の実力不足もあり叶いませんでした」(甲斐CEO)。

甲斐CEOは「起業するしかない」と、意志を固め独立。同氏のようにローカルテレビ局からの起業は、業界でも珍しい。

▼今もガイドブック頼りの世界だからこそチャンス

「彼(甲斐CEO)がテレビ局を辞めた頃に、ちょうど会う機会があり、起業の構想を聞きました。旅行業界は『Airbnb(エアビーアンドビー=個人宅などを宿泊場所として貸し出すサービス)』のように革新的なサービスが生まれている一方で、ガイドブック頼りのアナログな旅をしている人がたくさんいる。そこにチャンスがある、という彼の明確なビジネスアイデアに納得し、一緒に起業を志しました」(佐藤COO)。

ビジネスパートナーとして、新たな道を歩くこととなった2人は12年に運営会社のOrangeを設立。ワンルームマンションの一室からのスタートだった。

「当時からITベンチャーを標榜していながら、ITの知識がまったくなかったんですよ。最初の数カ月は自分たちで勉強してみたんですけど、このままじゃ10年かかってしまう!と感じ、エンジニアを雇うことにしました」(甲斐CEO)。

その後、エンジニアの獲得や資金調達に奔走した二人。設立から3年が経った現在は、志を同じくした6人の従業員とともに旅行業界に新風を吹き込んでいる。

▼旅を通じて「他者を認め合える社会を」

今後は、サービス内容の充実やガイド体制の整備に尽力していく予定だという。

「具体的にはガイドを介してタクシーを呼ぶ代行機能の実装や、訪日外国人向けの多言語展開も視野に入れています。トリパン自体が今までになかったサービスなので、可能性を感じてくださる提携先が多いのは本当にありがたい。我々としては、さまざまなサービスや企業とつながっていき、業界全体がよくなっていけばいいな、という想いがあります」(佐藤COO)。

トリパンによって旅行業界の向上を目指す彼らが、このサービスにかける想いはどこにあるのか。

「私が理想とする“他者を認め合える社会”を実現したいと考えています。自身の旅行経験がきっかけなのですが、その土地に行き、現地の人と話すことで他者を認め、価値観が変わるような経験をたくさんしました。他者やその国の文化を認めることは、ひいては世界平和につながるはず。そのためのツールとして、私たちのサービスを利用してほしいのです」(甲斐CEO)。

手のひらサイズの小さな添乗員、トリパン。彼らと一緒に旅をする世界は、新しい発見に満ちているに違いない。
《大貫 未来》

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