<ITビジネス法務>フリーランスと源泉徴収、IT業務の多くは徴収の対象外に | 東京IT新聞

<ITビジネス法務>フリーランスと源泉徴収、IT業務の多くは徴収の対象外に

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前回(連載第29回)でご紹介した「源泉徴収制度」について最初におさらいです。源泉徴収とは、給与・報酬などを支払う者が、支払に際して、(給与・報酬などを受け取る本人が納税義務を負う)所得税などを差し引いておいて、別途まとめて(本人の代わりに)納付する制度です。

フリーランスに支払う報酬は、所得税法第204条1項1号~8号に定められた「原稿」「デザイン」など8種類の業務に関する報酬である場合に、源泉徴収の対象になります。今回はIT業界の業務に絞ったお話をしていきましょう。

▼IT業界の場合はどうか

 それでは、IT業界でフリーランスに発注をする場合に、どういう業務の報酬であれば源泉徴収の対象になって、どういう業務の報酬だと対象にならないのでしょうか。

 実は、IT業界で発生する典型的な業務の多くについては、報酬が源泉徴収の対象になりません。

 具体的には「要件定義」「設計」「プログラミング」「ディレクション」「コーディング」「テスト」などに関する報酬です。これらの業務は、所得税法第204条1項1号~8号に定められた8種類の業務に該当しません。

 逆に言うと、IT業界でこの8種類の業務に該当するものといえば、(1)フリーライターに支払う原稿の報酬、(2)フリーカメラマンに支払う写真の報酬、(3)フリーデザイナーに支払うデザインの報酬、(4)フリーエンジニアが開発した(その人が著作権を有する)プログラムの使用料――くらいでしょう。

 たとえばフリーエンジニアに、著作権を買い取る形態で、Webサイト制作を発注した場合、原稿と写真は発注者が用意したとなると、フリーエンジニアに支払う報酬のうち、源泉徴収の対象になるのは、デザインの報酬分だけになるのですね(原稿と写真は、発注者が用意しているので、これに関しては報酬が発生しないからです)。

 源泉徴収の対象となる業務の報酬は、かなりややこしくなっていますので、フリーランスに発注をする場合は、この点十分に注意してください。

▼源泉徴収の計算方法

 源泉徴収は、どうやって計算すればいいのでしょうか。

 まず、報酬の支払総額が100万円以下(100万円ちょうども含みます)の場合は、支払総額に10.21%を乗じた金額が源泉徴収の金額になります。なぜ10.21%という中途半端な金額かというと、所得税額が10%で、東日本大震災の復興特別所得税額が0.21%になっているからです。

 一方、支払総額が100万円を超える場合、まず100万円分については10.21%を乗じて(10万2100円)、それを超える金額については20.42%を乗じて(所得税額と復興特別所得税額が2倍になります)、その2つを合算した金額が、源泉徴収の金額になります。

 支払総額が100万円を超える場合は、10万2100円+(支払総額100万円)×20.42%と計算すれば分かりやすいでしょう。

▼納付の流れ

 納付の流れですが、原則として報酬が支払われた月の翌月10日までに、最寄りの金融機関または管轄の税務署に納付することになります(半年分まとめて納付できる特例もあります)。

 なお、期限までに納付をしなかった場合には、不納付加算税や延滞税などを負担する可能性がありますので、注意してください。不納付加算税は、原則として納付税額の10%になります!
《藤井 総》

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