<ITビジネス法務>フリーランスと源泉徴収(2)、クラウドソーシングではどうなる? | 東京IT新聞

<ITビジネス法務>フリーランスと源泉徴収(2)、クラウドソーシングではどうなる?

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▼複雑な源泉徴収制度

これまで2回にわたって、IT業界での源泉徴収制度について解説してきましたが、「随分複雑だな」と感じたかと思います。

実際、発注先のフリーランスが源泉徴収のことを分からずに、控除していない請求書を送ってきて、発注者もそれに気づかず、請求書の金額をそのまま支払ってしまうことも少なくありません。その場合、発注者はどうすべきでしょうか。

▼発注者は納付義務を免れない

結論からいえば、報酬を支払う=源泉徴収を行う義務のある発注者は、源泉徴収を行わずに報酬を支払ってしまったとしても、源泉徴収分の税額を納付する義務を免れません。つまり、源泉徴収分の税額を回収するのは、発注者の責任となるのです。

そのため、源泉徴収を行わずに報酬を支払ってしまった場合は、フリーランスに対し、源泉徴収分の税額を交付するよう求めるか、あるいは、次回取引の際に、前回の源泉徴収分の税額も差し引く(相殺処理をする)必要があります。

これは、フリーランスとの関係が良好であったり、継続的に発注をしているのであれば、特に問題はありません。ですが、“喧嘩別れ”のような形になって契約が終わってしまった場合は、源泉徴収分の税額の回収が難しくなってしまいます。そのため、フリーランスに発注をする場合は、注意する必要があります。

▼クラウドソーシングでの源泉徴収

そして、この源泉徴収の問題は、今流行の「クラウドソーシング」を利用する場合は、特に注意が必要です。

クラウドソーシングでは、発注者と受注者が“一期一会”の関係になることが多いため、発注者が報酬を支払わないリスクがあり、その対策として、「エスクロー」の仕組みが採用されていることが多くあります。

エスクローとは、発注者が中立的な立場に立つエスクローサービサー(クラウドソーシングの場合は運営会社)に対し、まず先に報酬を支払います。それを受注者が確認できた時点で、発注者に対して納入を行い、それをサービサーが確認できた時点で、受注者に対し、発注者から支払われた報酬を引き渡す――という仕組みです。

発注者としては、納入が行われなければ、サービサーから報酬を返還してもらえますし、受注者としても、納入を行いさえすれば、サービサーから報酬を引き渡してもらえるので、双方安心して契約遂行ができます。

▼源泉徴収を行うのは誰なのか?

では、クラウドソーシングを利用してフリーランス相手に発注する場合、このエスクローとの関係で、誰が源泉徴収を行うのでしょうか。

それはあくまでも発注者です。というのは、基本的に運営会社は、発注者と受注者が直接契約をする場(マッチングの機会)を提供するだけ、とのスタンスです。つまり、受注者に対して(法的な意味で)報酬を支払う立場にあるのは、あくまでも発注者なのです。

運営会社は、エスクローサービスとして、発注者が(法的な意味で)受注者に支払う報酬を運営会社に支払ってもらい、それを受注者に引き渡しているだけです。

次回、この問題についてさらに詳しく解説をします。
《藤井 総》

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