「ENEOSでんき」が発表…KDDIと提携も | 東京IT新聞

「ENEOSでんき」が発表…KDDIと提携も

エンタープライズ 企業動向

 JXエネルギーは14日、家庭用電力「ENEOSでんき」のサービスプランを発表した。15日から先行受付を開始し、4月から販売を開始する。なおJXエネルギーでは、KDDIと電気事業を軸に事業提携する方針。都内で開催された記者説明会で、サービスの詳細説明が行われた。

■「ENEOSでんき」の狙い

 記者説明会の冒頭、JXエネルギー 取締役 常務執行役員リソーシズ&パワーカンパニー・プレジデントの原享氏が登壇してサービスの狙いについて説明した。「これまで石油精製の販売などを通じて、エネルギーを安定供給する企業として、130年に渡り社会に貢献させていただいてきた」と原氏。今春の電力小売全面自由化に際しては、新たに「ENEOSでんき」を提供することで、「より身近な総合エネルギー企業としてのポジションを獲得し、またENEOSブランドの価値を高めて、さらに発展させていきたい」(原氏)という。

 ENEOSでんきのサービス対象エリアは、当面は現在の東京電力管内になる見込み。他社にはない強みとして、原氏は「石油、石炭、天然ガスなど幅広いエネルギーを取り扱うノウハウを蓄積していること、全国にインフラや販売チャンネルを有していることなどを挙げ、「電気事業拡大のポテンシャルは大きい。電気の販売を通じて顧客価値を向上していける」と言葉に力をこめる。発電に関しては、販売向けの専用発電所である川崎天然ガス発電所を所有。「業務用には、すでに安定的に電力の販売を行っている」と、これまでの実績をアピールした。ちなみに2014年度の販売実績は約15億kWhで、家庭用に換算すると約50万世帯に相当するという。

■プランは1種類のみ

 続いて同社 リソーシズ&パワーカンパニー電気事業部長の大村博之氏が登壇し、サービスの詳細を説明した。4月に同社が提供する料金プランは「Aプラン」ひとつ。大村氏は「分かりやすくシンプルに、1種類にした。これに長期割引などの各種割引や、特典を付けていく」と説明した。

 従量料金は三段階になっており、電気使用量の多い家庭ほど大きな価格メリットが得られる仕様。逆に120kWhに満たない場合は、現在の東京電力の従量電灯B/Cと比較して7%高くなる。「三段目の料金を大幅に下げた。東京電力管内の2/3のご家庭に、価格メリットが出る料金設定になっている。お得感ではトップクラスと認識している」と大村氏。

 同社が試算したモデルケースでは、1か月の電気料金の平均が約8,200円の家庭の場合、年間で約4,900円安くなる。同様に1か月の電気料金の平均が約14,100円の家庭なら、年間で約15,000円の節約が可能だという。大村氏は「ENEOSでんきでは、他の商材とセットにしなくても充分にお得が感じられる」と紹介した。

■「ENEOSでんき」ならではの特典

 このほか、ENEOSカードで電気料金を支払うとガソリン・灯油・軽油が安くなったり、ANAカード/ エポスカード/ ビューカードなど提携するクレジットカードで支払うことでポイントが付与されたり、ENEOSでんきの支払い200円につき1ポイントのTポイントが付与されたり、といったENEOSでんきならではの各種特典が用意されている。

 なおJXエネルギーでは電力小売全面自由化を見据え、大手通信事業者のKDDIと事業提携する。BtoC事業において幅広いノウハウを持つKDDIと組み、経営資源やノウハウを活用していくという。大村氏は「お客様にとって安心で便利なサービスを提供していく。電気事業以外でも、両社のリソースを活用して、企業価値の向上に努めていきたい」と抱負を述べた。このほか、デジタル家電専門店「ノジマ」や、商業施設を展開する「マルイ」といった異業種とも提携。店舗においてENEOSでんきの申し込みを可能にするほか、接客の一貫として、ENEOSでんきを紹介するなどの取り組みを行っていくという。

 大村氏は、最後に「JXエネルギーは総合エネルギー企業として、電気に関するあらゆるニーズに応えるべく、これからも安心・信頼の電気を供給していきたい」とまとめた。

■KDDIとの提携メリットは?

 質疑応答には原氏、大村氏に加え、リソーシズ&パワーカンパニー電気事業部長の田中信昭氏が対応した。

--- KDDIとの提携についてメリットは?

原氏:幅広い顧客網を持つKDDIさんの利用者の方々に訴求できるのが大きなメリット。先方には、私どものノウハウがお役に立つのではないか。内容については、細部について検討中なのでコメントは差し控えさせてもらいたい。相互にメリットのある提携になるよう、検討している。

--- 顧客獲得目標は?電気の使用量が予想を上回った場合、電源の確保は?

原氏:(遅くとも3年以内には)家庭用50万件を達成したい。電力が足りなくなった場合、当面は市場からの調達になる。業務用とバランスよく売っていく。将来的には鹿島の電源も立ち上がるので、電源も増えると認識している。

--- 発電施設、電源種別の割合は?

原氏:現状の発電能力は、石油由来の電力卸事業で83万kW、電力小売事業用は鹿島に新設している10万kWを含めると76万kW。このうち主力は川崎天然ガス発電の41万kW。このほかバイオマスが約3万、水力が3,000、それ以外が石油かコークスという内訳。グループとしては風力が3,500、メガソーラーが3月までに完成のものを含めると35,000kWとなっている。

--- 首都圏以外への展開は?

原氏:まずは東京電力の管内でやってみる。ただ、全国の特約店の要望があるのは事実。まずは管内でやってみて、地方は今後検討していく。

--- 分かりやすさを強調しているが、その理由は?

大村氏:消費者の方々から、メニューが複雑だと分からないという声があった。そこで今回は1種類に絞った。各社の動き、お客様のご要望などを踏まえて、増やすことも考えている。

--- ターゲットとなる年齢層、家族構成は?

大村氏:5~6人の世帯、2世帯住宅などは電気の使用量が大きい。しかし300~350kWhあたりが平均的な電気使用量で、お客様の数も圧倒的に多い。私どもは、そのあたりの皆様を大事にしていきたいと思っている。

--- 東京電力では、電気使用量の大きな家庭に利益が出るプランを展開する。ENEOSでんきが、300~350kWhをターゲットにする狙いは。

大村氏:どの属性のお客様を含めるかの議論があった。本来なら、すべてのお客様をターゲットにしていきたい。しかし発電コストや経費などを加味すると、メリットが出せるのが180kWhあたりからのお客様だった。

原氏:我々としては、ブランドのイメージを高めたいという目標がある。サービスステーションに来ていただくお客さんを増やしたい。グループメリットの最大化のため、幅広いお客様に訴求できる設定にした。

--- 東京電力、東京ガスと比較した場合について、詳しく知りたい。
(会場では、ここで新たなスライドが紹介される)

田中氏:A社は東京電力、B社は東京ガス。3パターンで例示させていただいた。他社さんでは別の商材とセットにすることで安さを実現しているが、その割引を含まなければ、どのプランにおいてもENEOSでんきがメリットを提供できている。

--- 他社よりもお得感を出せた理由は?燃料費調整額について、原油価格が上がると採算は厳しくなる?

原氏:他社さんの値付けの仕方が分からないので何とも言えないが、なかには様子見している会社さんもあるのではないか。私どもとしては、まだENEOSの知名度が高いとは思っていない。そのためスタートダッシュが肝心。そこで最初から、いま提供できるベストの価格をご提示させていただいた。発電所についても競争力のある電源を持っている。会社の組織もスリムにして、なんとか競争力を保っていきたい。

 また原氏、大村氏は囲み取材にも対応した。

--- 他社から電源を調達する場合もあり得る?

原氏:電力の安定供給をモットーにしている。基本的には自前の電源でまかないたいが、発電所が立ち上がるまでタイムラグがある。またシーズンによっては、足りない時期もあるかも知れない。そのときはアライアンス先など含めて調達を検討したい。エネルギー供給会社としての信頼感を大事にしていく。

--- KDDIの携帯電話とのセット割も考えている?

大村氏:それはKDDIさんが検討すること。時期なども、KDDIさんに聞かないと分からない。先方が取り扱うサービスの名称がENEOSでんきになるのか、auでんきになるのかも現時点では分からない。

--- 価格競争になった場合は、対抗して下げる?

原氏:ある程度、対応しなければならないかと思っている。より競争力のある電源を持ち、会社のスリム化なども進める。原子力発電所が稼働すると市場の電気料金が下がる可能性がある。それを織り込んで考える。

大村氏:価格競争になると、共倒れする危険が出てくる。それは他社さんも認識しているはず。そのため、サービスに付加価値を付けることで解決する流れになるのではないか。

家庭用電力「ENEOSでんき」が発表……50万件の顧客獲得を目指す

《近藤謙太郎》

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