【新連載:すぐできるウェブ解析】旅行申込件数が3割近く増えたのはなぜ? | 東京IT新聞

【新連載:すぐできるウェブ解析】旅行申込件数が3割近く増えたのはなぜ?

エンタープライズ 経営

今回から、ウェブ解析士協会で連載させていただきます。そもそも「ウェブ解析って何?」という方もいらっしゃると思いますので、今回はすぐに役立つウェブ解析について紹介します。

皆さんに質問です。とある旅行会社がウェブ施策として「あること」をした結果、前年同時期と比較して、ウェブサイトからの旅行申込件数が3割近く増えました。なぜでしょうか?

1. 広告の出稿を増やした
2. 申込フォームを改造した
3. トップページの配置を変えた
4. 旅行情報の掲載を例年より1週間前倒しにした。

正解は「4」。ウェブサイトのページビュー数や訪問者数など大半の指標は前年と変わらないのに、申込みだけ増えたのは、情報の公開時期を1週間前にしただけだったのです。

旅行はゴールディンウィーク、夏休みなど繁忙期があり、そこに向けての獲得が大事です。しかし、旅行会社にとって、ツアー情報の掲載は早ければいいというものではありません。飛行機の旅程や為替などの動きがツアー立案に影響を与えます。ですから、公開時期を早めるというのは勝負手です。

では、なぜそのような勝負手を打てたのでしょうか? ウェブ担当者から依頼を受けたツアー制作チームは何故応じたのでしょうか? それは、ウェブ解析によって、「早くすれば売れる」という確証があったためです。

皆さん、考えてください。何か購入を検討する際にどのような行動をしますか? 「衝動買い」することもありますが、「調査」「比較検討」という段階を経ることが多いと思います。この「調査」「比較検討」段階と実際に売れる日というのはギャップがあります。「今売れていない」からといって売上に影響を与えていないということではなく、「嵐の前の静けさ」があるわけです。その「静けさ=変化の兆し」をウェブ解析で把握してみたら勝負手が見えてきました。

まず、把握する方法は2つ。1つは自社のウェブ解析データを確認し、いつごろからゴールディンウィークや夏休みの旅行情報を探す人が増えるのかを確認すること。2つ目はGoogleトレンドを利用して、自社以外も含めて検索の増減を確認することです。その結果、ゴールデンウィークの旅行は年末年始の休み中、夏休みの旅行はゴールデンウィーク前から探す人が増えていることがわかったのです。

ウェブ解析は「ページビュー」「セッション」などの数や、「直帰率」「離脱率」などの率にフォーカスされがちですが、大切なことはKPIを決め、「比較する」「傾向を把握する」「焦点を絞る」ということです。

今回ご紹介した事例におけるKPIは「調査が始まる時期にどれだけ旅行情報を掲載するか」です。それは季節性の高い検索ワードでの流入の傾向を把握したことにより仮説を導き出し、実施後に前年比較することで正しさを証明するものです。

本コーナーでは毎月、事例を元にした「ウェブ解析のTIPS」をお届けします。

今月のポイント
★ウェブ解析で「兆し」を把握しよう!

筆者プロフィール 小坂淳(こさか・あつし)
株式会社環 代表取締役社長。一般社団法人ウェブ解析士協会 事務局長。2000年に環を当時代表の江尻利章と創業。ウェブ解析コンサルティングやウェブ解析士資格立ち上げ・運営などを行なう。
ウェブ解析士:http://www.web-mining.jp/
《小坂淳》

編集部のおすすめ

特集

page top