社員が別会社でインターン「大人の武者修行」…成果は? | 東京IT新聞

社員が別会社でインターン「大人の武者修行」…成果は?

エンタープライズ 経営

 インターンシップは、学生が企業に短期間受け入れてもらい、就職前に仕事を体験することをおもに言う。仕事の内容の一端を把握できるのはもちろん、学生が社会人としての自覚を持ち、就職への意識を高める機会にもなる。これを学生ではなく社会人で実施するのが、サービス産業生産性協議会(SPRING)の主催する「大人の武者修行」だ。

 その仕組みは、社員を武者修行者として送り出したい企業と、武者修行者を受け入れる企業をSPRINGがマッチングさせるというもの。受け入れ企業は、「ハイ・サービス日本300選」や「おもてなし経営企業選」に選出されたり、「日本経営品質賞」を受賞したりした企業で、武者修行者にとっては学ぶことが多い。いわば大人のインターンシップとして、中小企業の次世代リーダーを養うのが狙いだ。

 では、実際にどのようなことが学べるのか。SPRINGは2015年度の「大人の武者修行」の成果報告会を15日に開催。修了証書が授与されたあと、武者修行者によるスピーチでは次のような報告がなされた。

 福島県の古紙回収・リサイクル事業者、株式会社こんのに所属し、北海道の十勝バスに受け入れてもらった武者修行者は、十勝バスの組織改革と、部下のやる気を引き出し育成するリーダーの振る舞い、成功の原則、常識と習慣をテーマに武者修行したと報告。

 「中でも一番感じたのは、良い習慣や行動は意識的な施策をもって習慣化させているという印象でした。各自が意識的に行っていることや気づきをローテーションで発表する機会があり、それによって行動指針を共有化されていました。日頃、無意識に行っていることに意識を向けさせる働きと、責任感を高めるという点で効果的だと感じました」と話した。

 また、十勝バスでは沿線住民を訪ねて声を聞き、利便性を高めるヒントを探る個別訪問を実施しているが、「こうした業界でも異例の取り組みは弊社にとっても大いに参考になり、我々の業界でも新しい市場価値を見出すうえで有効な手段だと感じました」と、得るものが多かったようすだ。



 福岡県の福祉・医療機器製造販売会社、有薗製作所に所属し、ビルメンテンス・清掃事業を展開する高知県の四国管財に受け入れてもらった武者修行者は、四国管財で「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」が徹底されていること、人材教育がきちんとされていることをテーマに武者修行。

 「貴重にも立ち会わせていただいた採用面接の場で、会社のルールを就職希望者にきちんと伝えていること、採用後も社長や常務による研修をきちんと行っていることに気づきました。どういう会社であるかをしっかりと理解した上で働いてもらうように徹底されていたことに驚きました。弊社でもこうした取り組みを徹底させていきたいと感じました」と話し、次のように続けた。

 「四国管財で仕事にとりかかる際、常務から“失敗してこい”と言われましたが、ここから、失敗した後にフォローし合うことの大切さを学びしました。弊社ではフォローが十分とは言えず、若い芽が摘み取られてしまうようなケースがあり、フォローできる体制を整えようと感じました。これは全社的に一気に取り組むのではなく、まずは部門単位で小さくスタートし、じわじわと社内に浸透させていったほうが良いと考えました」。

 武者修行者からの報告スピーチが終了すると、7~8人ごとに5つのグループにわかれて「武者修行での“学び”をどのように生かすか」というテーマのグループワークを実施。「情報共有」「部下育成に上司が“して見せる”こと」「率先垂範」「マニュアル整備」など、ワールドカフェ形式で各自が武者修行で“学んだこと”やそこで得た“アイデア”を出し合って意見交換。各グループが“生かし方”をまとめて発表した。

 その後、受け入れ企業の代表者が講評。福岡県にある食肉・洋惣菜の卸販売会社、橋本食品の女性社員を武者修行者として受け入れた、福岡県の女性建築デザインチーム、ゼムケンサービスの代表者は、「武者修行者は期間中、弊社のさまざまな面で気づきを得られたようですが、それは逆に、弊社にはいろいろな良いところがあるのだと、弊社にとっても良い気づきとなりました」と、受け入れ側にも大きなメリットがあると話した。

 今回の成果報告会では、SPRINGで部長を務める野沢清氏が冒頭で次のように話した。

 「『大人の武者修行』を修了された方に2つのことをお願いしたい。まず1つは、修行で経験し、得たものを自社で生かしてほしいということ。受け入れ企業はどこも優良企業ですので、自社の至らない点ばかりが目についたかもしれません。それを改善することも重要ですが、一方では自社の優れている点にも気づき、それを生かすことも大事。それが独自性となり、付加価値の高まりや生産性の向上につながるはずです。

 もう1つは、武者修行の修了後も、受け入れ企業との交流を続けてほしい。『大人の武者修行』は14年度から始まりましたが、修行修了後も会社同士で交流を続け、武者修行者以外にもその効果が広がっているようです。これを点に終わらせることなく、面にして広がっていけばと思っています」。

 経済産業省補助事業である「大人の武者修行」は16年度も実施を予定している。こうしたプログラムを利用し、企業力を高めたい。

社員が異業種の別会社へインターン、「大人の武者修行」の成果とは

《加藤/H14》

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