【新連載:地方×IT】地方に根ざしながら、事業領域を拡大する | 東京IT新聞

【新連載:地方×IT】地方に根ざしながら、事業領域を拡大する

エンタープライズ 経営

ローカルビジネスで生きる。これは地方に暮らす人々にとっては当たり前のことですが、同時に、地方創生とは何かを考える上で重要な要素でもあります。

地方経済が衰退傾向にある中、悩みを抱える事業者への解決策として、首都圏への移転や公的機関による支援が示されがちですが、それらはあくまでもその場しのぎの応急処置でしかありません。今、本質的に必要とされていることは、郷土に根付く人々が生業を通じて生き生きと自立した生活をおくれる仕組みを創りだすことです。

安倍内閣が地方創生を主要政策と位置付けた際に大きな影響を受けたと言われている、増田寛也元総務大臣の『地方消滅』(中公新書)は、「このまま人口減少が進めば896の自治体が消滅しかねない」という刺激的な内容によって話題となりました。事業を成功に導く上で欠かせない要素である市場規模が、とりわけ地方において深刻な状況になっているのです。

また、2月26日に総務省が発表した国勢調査速報によると、日本の人口は前回調査時より0.7%減少しました。これは96年間の国勢調査史上初めてとのことで多数メディアにとりあげられました。しかし、これに関しても比較的人口が流入しやすい首都圏も含めた国単位の話であって、地方都市に焦点を絞るととうの昔に人口減少は始まっており、事態はより深刻な状況となっています。

残念ながら、徐々に、そして着実に地方企業が地場のリアル社会だけで事業を行っていては発展が望みづらい状況となっています。そのため、地方での事業を拡大させるためにはこれまでとは異なる戦略を導入することが必要とされており、多くの地方企業にとってはそれがITの有効活用だと言われています。ITを用いることにより、地方に根ざし、地方ならではの個性を活かしながら、事業領域を劇的に拡大することができるのです。

日本国内にある企業の内、9割が中小企業であり、その内の8割が地方に所在していると言われています。地理的制約と向き合わなくてはいけない地方の企業ほど本来はITをうまく活用すべきなのです。しかし、実情はというと、地方に分散している中小企業の内、自社ホームページを保有し、それを営業活動へ活かせている割合は2割にも満たないとの調査結果があります。これは大企業の状況を大きく下回っています。つまり、本来生き残りをかけて本腰をいれるべき、地方に多く分布する中小企業ほど、実はITの活用が進んでいないのです。その要因は概ね、(1)有効性を実感できない、(2)費用負担が重い、(3)人手が足りない、(4)ITの知識に自信がない、という4点に集約されます。

多くの人が心のどこかで望んでいるような、費用も労力も知識も必要とせずに売上が向上する魔法のような方法があればよいのですが、言うまでもなくそのようなものは存在しません。ただ、多少の自助努力を伴うことによって事業拡大の可能性を高める方法であれば紹介することができます。

いわば地方経済の主役ともいえる中小事業者の方々が、どのようにしたらIT導入の負担を軽減することができるのか、また、事業を成功へと導くためにどのようにITを活用したらいいのか、を本コーナーでは紹介していきたいと思います。


筆者:鈴江純希(すずえ・じゅんき)。株式会社INDETAIL経営企画室長。本社を北海道札幌市に置くINDETAIL(インディテール)は、クラウド、AI、ECなどのサービスを通じて地方の社会的・経済的自立と地域社会との共生の実現を目指すとともに、ローカルベンチャーのロールモ デル構築をビジョンに掲げ、IPOの準備を進めている。
http://www.indetail.co.jp/
《鈴江純希》

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