【VRと中小企業】VRが即戦力になる中小企業の現場とは | 東京IT新聞

【VRと中小企業】VRが即戦力になる中小企業の現場とは

エンタープライズ 経営

【記事のポイント】
▼設計の洗練や人材育成には、VRのシミュレーターが有効
▼ハードルの低さで狙い目なのが、VR空間への映像のパノラマ表示


■シミュレーターとしてのVRの利便性

「話題が先行しているエンターテイメントも、20年における予測ではVRに占めるシェアは30%に過ぎません。つまり残りの70%はゲーム以外での利用になるわけです」

 これは、今回取材を行ったうちの一人、DVERSE CEOの沼倉正吾氏によるコメントだ。では、残りの70%とは、一体どのような用途になるのだろう? 現状の応用範囲を考えると、やはり真っ先に思い浮かぶのがシミュレーターとしての利用法だ。

 例えば、建設や製造業であれば、3D CADなどで作られた設計図を、ソフトを使ってそのままVRコンテンツに変換できる。近年では3Dプリンターによる試作射出が進んでいるが、その簡易版といった立ち位置になるだろう。作ってみると初めてわかる、モノの形やバランス。それを事前に肌感覚で体験できるのは、制作段階におけるクォリティ向上の貴重な機会となる。

 さらに、モノづくりにおいてはVRならではのメリットもある。建設であれば施工現場を、工場であれば生産ラインを丸ごとVR空間に再現できるため、作業の効率化や安全対策の施策を事前に検討できることだ。何かの組み立て作業をするにしても、そこに手が入るのか、体勢はキツくないかを実物大で確認できる。実体のないデータなので、生産ラインの機械に頭を突き入れて、その裏側を覗き見するのも容易だ。

 このような応用が進んでいるのが、医療や教育といった分野だ。現場に行かなくても、部材を消費せずに、指導者が離れた場所にいても、事前の訓練が行える。投影された仮想現実を実際に触って動かせるようになるには、コントローラーの成熟を待たないといけないが、その規格策定も進んでいるようだ。実現すれば究極の訓練シミュレーターになる。


■観光業や不動産で進むVRプロモーション

 一方で不動産や観光といった、プロモーションとしてのVRの使い方もある。16年5月に発刊された旅行ガイド『じゃらん家族旅行2016』には、メガネのように装着する「にゃらんスコープ」が付属。スマホを装着することで、収録された22か所の観光・宿泊施設を360度のパノラマで視聴できた。7月20日から開催された展示会「インバウンド・ジャパン2016」でも、VRで観光地を案内するような展示がいくつか紹介されている。

 このように、パノラマの画像や映像をVRで表示するという取り組みは、すでに一般にも広まりつつある。15年11月にはYouTubeがVR視聴に対応。これを利用して日本初のバーチャル内覧をうたうVR賃貸サイトも登場した。

 パノラマ表示する画像や映像は、市販の360度カメラで撮影できる。それだけに、3D CADデータを持たないような事業者でも、コンテンツの制作は比較的に容易だ。スマホをスコープ状に装着するVRビューワーを提供している「ハコスコ」では、公式サイトで360度動画を公開。その多くは一般のユーザーが投稿している。

■多くの業界人が注目したVRの“操作性”

 今回、取材を進める中で、複数の識者が示唆していたVRの重要な特性がある。それが“利用者の習熟を求めない操作性”だ。パノラマ映像を楽しむだけなら、首や身体の向きを動かすだけ。VR空間を移動する際にも、歩いたり、覗き込むなど、身体の動きに映像がリンクするような仕組みが主流になるといわれている。

 この利用者に対する敷居の低さは、VRの普及を進める大きな武器になるだろう。子供からお年寄りまで、VRは年齢性別を問わない共通のツールになる可能性を秘めている。

【VRと中小企業:5】VRが即戦力になる中小企業の現場とは

《HANJO HANJO編集部》

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