【動画PRの成功術】プロに学ぶ成功への5つのプロセス | 東京IT新聞

【動画PRの成功術】プロに学ぶ成功への5つのプロセス

エンタープライズ 経営

【記事のポイント】
▼出演者の人柄による購買への結び付けが、中小企業の数少ない武器
▼動画撮影で最低限配慮すべきは「アングル」と「背景」
▼YouTubeでは動画本数を増やすほどに集客に繋がる


 若者を中心にスマホでの動画の視聴が日常化している。都市部では電車内などの移動中にもウェブ動画が再生され、企業のPR戦略として再び注目を集めているようだ。スマホや市販のデジタルカメラでも動画を撮影できるため、中小企業にとっても比較的に取り組みやすい手法といえるだろう。

 とはいえ、コストをかけずにPRを行うとなると、動画の撮影から編集、公開までを企業自身が行うことになる。一般人でも動画を投稿しているだけに不可能ではないが、ビジネスのクォリティでとなると、その成功には最低限必要となる要素がありそうだ。

 ウェブ動画の制作やコンサルを行うウェブデモ社の代表取締役で、書籍「YouTube 投稿&集客で稼ぐ! コレだけ! 技」を執筆する川崎實智郎によると、動画PRを成功させるためにはいくつかのプロセスがある。それが「動画PRの目的を設定」「動画PRに向いている製品の見極め」「撮影時の構図や背景の決定」「動画の編集・公開方法」の4つだ。

 以降はこれらの具体的な内容を順に紹介する。

■1.動画PRの目的を設定―――――

 中小企業が動画を作る目的として、一番に考えるべきは自社やブランドの知名度を上げること。つまりブランド戦略だ。多くの商品やサービスにおいて、そこに安心感や期待感が無ければ購買に繋がらないが、それを支援するのが動画の最も分かりやすい存在意義となる。

 具体的には美容や宿泊業、法務といった人が関わるサービスが分かりやすい例となる。サービスの提供者が自ら動画に登場することは、ただの文字の紹介を読むよりも、その人となりが何倍も利用者に伝わる。実際に顧客として訪れたときも、まるで一度会ったことがあるかのような安心感を与えられるわけだ。

 こうした人を前に出すプロモーションは大企業には難しく、逆にいえば中小企業が勝負できる数少ない武器と言えるだろう。“この人”が売るもの、薦めるものならば……という視聴者の思いが、そのまま購買意欲へと繋がる。

≫≫≫よくある失敗:自社の商品を動画内で宣伝

ネット上には企業のPR動画が無数に存在しており、ユーザーはそれを反射的にスキップしている。動画で商品を宣伝しても、視聴者を集めたり、実際の購買に繋がるケースは極めて少ない。

「企業が視聴者のことを考えていない典型的な例ですね。例えば、化粧品であれば日焼け対策などの方法を紹介して、最後に自社の商品を案内する。視聴者が求めているのは前者ですから、それが無ければ見られるような動画になりません」(川崎氏)


■2.動画PRに向いている製品の見極め―――――

 Amazonや楽天市場のようなECサイトの普及率を考えると、いわゆるコモディ化しているような商品を、動画からの導線でネット販売するには相当な努力が必要だ。その点では中古や一品モノなど、希少価値のあるものほど動画PRに向いているといえる。写真以上の情報量で商品情報を伝えることができ、薄利多売ではないため問い合わせ件数が少なくても動画制作費を賄える。

 また、動画という媒体との相性もある。店舗や従業員の雰囲気が求められるような飲食、宿泊、サービス業では、サービス内容を撮影することはプロモーションとして有効だ。また、動作や音を確認するという点では、先ほど挙げた一品モノや中古品もその一つといえるだろう。

≫≫≫よくある失敗:ターゲット属性の見誤り

ウェブ動画というと若者向けの印象があるが、実際には世代や性別を問わず、その視聴者は幅広い。自社の商品が若年向けではないからと、動画PRの効果を疑うのは間違いだ。

「アナログな人、ブログも読まないような人が、手っ取り早く情報が分かると動画を見ているケースも意外と多いです。ただ、こういう人は面倒なことを嫌うので、購買につなげるには導線を分かりやすくする必要があります」(川崎氏)

■3.撮影時の構図や背景の決定―――――

 最近の傾向では再生時間は2分程度、長くて5分が目安となる。これ以上長いと視聴者が飽きてしまい、また最初の10~20秒で興味が持てなければ、やはり離脱対象となる。このため、最近ではイントロを使わないのが一般的だ。説明やコメントも、なるべく簡潔になるよう工夫を行いたい。

 なお、撮影時には部屋を明るく、クリアで十分な音量を拾えるように配慮するのは基本だが、それ以外には背景にも注意が必要。社内で撮影するにも、なるべく生活感を出さないよう注意したい。伝統工芸品であれば工房を背景にするなど、そのプロフェッショナル性が出ればなお良いだろう。

 さらに、人物が登場する場合には、画面横全体を3分割して、左右どちらかの1/3の位置に顔が来るようにアングルを決める。下から見上げるようなアングルは、顔がゆがんだり、偉そうに見えてしまうため避けるべき。正面からカメラ目線で撮影することで、視聴者は自分に語りかけられているように感じられる。

 後はファッションやアートなど、キャラクターが立ちやすいケースをのぞいては、基本的に朗らかな表情や話し方を意識すること。途中でつかえたり、自信が無さそうな話し方は、ブランドイメージを傷つけるので、ある程度の台本は用意しておきたい。

≫≫≫よくある失敗:コメントの辻褄が合っていない

動画で複数のテーマを紹介しようとすると、説明の不足や混同などで、情報の辻褄が合わないことがある。ネガティブな視聴者コメント、情報の信頼性を損ねる原因となるので、なるべくテーマは単一に絞るべきだろう。

「内容を簡潔にするためにも、1つの話題に対して、1つの動画を撮影するというのが基本です。動画の視聴者数を増やすためにも、紹介したい話題が2つあるなら、動画は2つに分けて作るべきでしょう」(川崎氏)


■4.動画の編集・公開方法―――――

 動画を編集する際には、まず冒頭にテロップでタイトルを入れること。これは再生してすぐに動画の内容を伝えることで、視聴者の離脱を防ぐことに繋がる。その他、途中でコメントやキーワードを文字で表示することもあるが、これはどちらかというと視聴者を飽きさせない演出としての意味合いが多い。

 なお、動画のPRで特に重要なのが、最後に問い合わせ先のオファーを入れることだ。公式ページのリンクを埋め込むだけでなく、必ず電話番号を記載しておきたい。ウェブデモで行った実験によると、これで実際の問い合わせ件数が5倍近く変わったという。

 そして、動画は定期的に公開し、一定量のアーカイブを作ることが最大のPRとなる。定期的に公開すればファンの視聴が習慣づくが、散発的では更新が終わってしまったものと見なされる恐れがある。ブログやSNSの記事と同じで、まずは週に1本を更新。月に1本の問い合わせが来る動画を100本作れば、それは安定した集客ツールとして機能する。

 なお、動画の公開先にはYouTubeを利用すべきだろう。これは単純に利用者数の多いメディアということもあるが、その仕組みが動画PRに向いていることも大きい。動画の再生画面では右に関連動画が表示されるが、ここには同じ投稿者や関連する動画が並ぶため、複数の動画を作ること自体が導線を増やすことになる。

 また、YouTubeではタイトルと説明文がSEOの対象となるので、ここに流行りのキーワードを入れることが、検索率を上げるための重要なポイントとなる。その上でクリック数を上げるには、プレビューに気を配ること。一番分かりやすいのは、動画内のタイトル画面を設定することだ。これで検索画面や再生画面の関連動画などで、動画の内容が一目で分かりやすくなる。

 その他、動画の再生数を増やすには、やはり宣伝が必要だが、中小企業にとってはコストの面で具体的な施策が難しい。なので、まずは身内や取引先などを利用して、少しでも拡散の範囲を広げること。最初は数人にしか見られないかもしれないが、むしろ彼らこそ強力なインフルエンサーになる可能性を秘めている。ツイッターやフェイスブックにも動画を埋め込んで、少しでも拡散を狙っていきたい。

≫≫≫よくある失敗:1本の動画でPR効果を判断する

動画のPRは複数掲載することでの相乗効果や、ファン定着の効果が大きい。動画1本で成果を上げることは稀なので、定期的な公開を続けた上で、視聴者数や購買数の変化を確認したい。

「動画PRの成果を見るには、半年ぐらいは週1回の公開を続けてほしいですね。早い場合には2週間程度で問い合わせが入りますし、過去に投稿した動画を見ての連絡が定期的に来ることもあります」(川崎氏)


※川崎實智郎氏の崎の表記は正しくは異字体

【動画PRの成功術:1】プロに学ぶ成功への5つのプロセス

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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