【動画PRの成功術】6万人のファンを集めた“町の時計店” | 東京IT新聞

【動画PRの成功術】6万人のファンを集めた“町の時計店”

エンタープライズ 経営

【記事のポイント】
▼最初から効果を求めず、新作動画を定期的にアップする
▼取り扱っている商品の“専門家”として、そこにある疑問を解決するような動画をつくるる
▼動画への導線は会社、スタッフなど全員のSNSを使って確保する


■最大6万アクセス! 町の時計店のハウツー動画「日曜日勉強会」

 自分のお店の知名度を高めたい。そのために動画を導入したいという店主は少なくないだろう。でもどうすればいいのか、そして効果はあるのだろうか……。そんな疑問から、なかなか導入に踏み切れない人も多い。

 高知県高知市にある正美堂時計店は、最新の腕時計販売ほか、懐中時計の販売修理などを行なっているいわゆる“町の時計店”。しかし、YouTubeに投稿している「日曜日勉強会」という時計に関するノウハウを教えてくれる動画が、約3日間で1000以上、多いものでは6万近い閲覧数を誇っている。これまでに投稿された動画は、全部で150本あまり。「機械式とクオーツではどっちが長持ちするか?」など、すべて時計に関するハウツーやノウハウを教えている。

 実際に動画を観てみると、出演者は店のスタッフのみ。ただ語りも流暢だし、音楽やスーパー(文字入れ)も入って完成度は高い。

「いえいえ、私も最初はカメラに向かってどう話していいかわからなかったし、何度も撮り直したりしてたいへんでした。何回もやっていくうちに、ある程度しゃべれるようになったのです」

 そう話す正美堂時計店 合田圭四郎専務は、「日曜日勉強会」でMCや解説役をしている出演者でもある。同動画の公開を開始して約5年。現在はファンも多く、閲覧数も多いが、「動画をやって手ごたえを感じたのは、開始して1年くらい経ってからでしょうか。それまではアクセス数も少なく、反応もあまりなくて、『効果あるのかな』と疑問でした」という。

 動画によるプロモーションは、効果はすぐに出るものではない。そして1本の動画で効果が出るものでもない。「日曜日勉強会」は、その名のとおりほぼ毎週日曜日に1本新作動画を追加している。こうした地道な活動の結果、多くのファンを獲得できるようになったのである。

■商品についての「素朴な疑問」を動画で解説

 では、コンテンツの中身はどう決めていったらいいのだろうか。動画をつくろうと思っても、どんなものをつくったらいいかというのは大きなハードルとなる。

「最初はスタッフ向けの技術講座でした。僕たちも含め、時計に関する疑問を皆で勉強していたものを撮影したのです。それを今度は公開してみようということになって、動画を定期的につくるようになりました」


 そう、テーマは自分の取り扱っている商品についての「素朴な疑問」だったのである。これはどんな商品でも当てはまるもので、衣料でも食材でも雑貨でも、取り扱っているということは、そのジャンルに“一般の人よりも詳しい”ということになる。そんな自分の知っていることを題材に動画をつくればいいのだ。

 正美堂時計店の場合、自分たちの疑問と消費者たちの疑問が一致した部分があった。だから動画を続けて公開していくうちに、人気コンテンツとなったといえる。

「人気が出てくると、『時計のこういったところを知りたい』といった質問も寄せられるようになった」と合田さんはいう。こういう閲覧者からの声をフィードバックすることでよりユーザーにコミットしたコンテンツを製作できる。まさに正のスパイラルだ。

■TwitterやFacebookで「導線」を確保する

 さて、実際につくった動画だが、編集も大きなハードルになる。ただ正美堂時計店の場合もスタッフに“少し詳しい人”がいた。動画製作の専門家がいたわけではない。私も経験あるが、動画編集ソフトも簡単な操作で動画を作成できるようになっており、ちょっと勉強すれば“誰でも”できるようになる。

 そして肝心な点であるが、その動画への導線も重要だ。

「動画を公開すると、ホームページ、そしてわれわれスタッフのTwitterやインスタグラム、Facebookなどで宣伝します」

 つまり、ネット社会に網の目のように張り巡らせたSNSを活用したことが、今の人気を呼び込んでいる。この導線の確立も、一朝一夕でできるものではない。地道にフォロワーや「友達」を増やしていき、自分の投稿が多くの人の目に留まるようにするには、やはり時間がかかる。しかし動画プロモーションには重要な要素だ。

■誰でも人気コンテンツはつくれる! ただし時間はかかる

 正美堂時計店では、店頭の販売のほかにネットでの通販も行なっている。動画が人気を呼ぶにつれ、店頭では他県からの顧客が増え、「動画見ました」と一言書いてくるお客さんが現われた。

「こういう反応があると、動画つくっててよかったと思います。ここ2、3年、本当にそういうお客さんが増えてきました。売り上げも伸びています」

 同店では、今年の2月に東京で「懐中時計展示会」を開催した。そのときも「動画見ています」と多くの人に言われたと、合田さんはうれしそうに語る。

「そのお客さんの年齢層も若い人から年配の方までいて、本当にバラエティに富んでいました。動画、そしてネットの力って幅広い人に訴求するんだとわかりました」

 動画プロモーションに必要なことをいくつか挙げてきたが、なかでもいちばん労力を必要とするのが「継続して動画を作成すること」だろう。1本つくるだけではなく、継続してつくっていく、この覚悟で動画プロモーションを続けることで、必ず効果がある。正美堂時計店の「日曜日勉強会」動画には、そう思わせる集客の成功事例があった。

【動画PRの成功術:5】6万人のファンを集めた“町の時計店”

《関口賢/HANJO HANJO編集部》

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