【連載:地方×IT】地方企業の選択と集中にITを活用 | 東京IT新聞

【連載:地方×IT】地方企業の選択と集中にITを活用

エンタープライズ 市場動向

地方経済の主役ともいえる中小事業者の方々が、事業を成功へと導くためにどのようにITを活用したらいいのかをご紹介している本コーナー。今回は、「地方企業の選択と集中にITを活用」をテーマに、SNSなどを活用したダイレクトマーケティングで年商は1億円を超えるという北海道中富良野町のメロン農家『寺坂農園』さんの事例をご紹介します。

●小さいまま強くなる

IDETAIL本社がある「北海道」と言えば、皆さんは何をイメージしますか?どこまでも続く広い大地と青空……。そんなイメージの通り、北海道は国内耕地面積の25%を有する一大農業地帯です。広大な農地を生かして、規模の大きな農業経営をされている方が多いのが北海道農業の特徴。そんな農業における売上の方程式は「土地×労働力×資本」と言われ、土地を広げて農業従事者の数を増やし、農機具などに資金を投じることで生産効率を高めて売上を拡大させるのが定石と言われているそうです。しかし、それらの条件に恵まれない場合はどうしたら良いのでしょうか。

寺坂農園さんは、保有する耕地面積などで見ると決して大規模とは言えない農家さんです。「小さな農家が小さいまま強くなるにはどうしたら良いか?」その答えとして寺坂農園さんがたどり着いたのは、農業経営に「ランチェスター戦略」などのマーケティングの考え方を取り入れることでした。

●ランチェスター戦略

「ランチェスター戦略」はどうやって競争に勝つかを統計や数学的に解明したもので、前述の農業における売上の方程式はいわゆる『強者の戦略』。対する『弱者の戦略』は、いわゆる「人・物・金」の経営資源を、戦略的に狭い範囲に対して集中して使うことで差別化を図る戦略です。

「メロン農家の直販」という市場に狙いを定めた寺坂農園さんでは、栽培する農作物の絞り込みを行い、それまでに行っていた稲作やイチゴなどの多様な作物の栽培と販売をやめ、メロン栽培に人と投資を集中。その結果、メロン栽培に関するPDCAサイクルが高速回転し、栽培技術が飛躍的に向上。メロンに集中することによって浮いた経営資源を『直販』に注ぐことによって、全体の生産量は減少しても売上が伸びていく状態になりました。

直販の販促活動において活用されたのがITです。例えば、ビジネスの成長に伴い発生頻度が増えてしまった、受注/配送のミスの頻発は、受注販売管理のシステム導入により改善。プロモーションに関しては、SNSやメールマガジンなどをフル活用し、お客様との直接的なコミュニケーションを密に行うことで、ファンを増やされています。

●デメリットが付加価値に

2016年8月現在、 Facebookページでは約4万7000の「いいね!」。農家の方のアカウントでは圧倒的なファン数です。インターネットを通じたコミュニケーションが日常のものとなった現在、かつてのデメリットであった地方企業と顧客の物理的な距離の遠さは、今はむしろ「非日常」という付加価値として、強みの一つにできる時代と言えるかもしれません。

このように中小企業においてもITを活用することで、「経営資源の選択と集中」をこれまで以上に容易に実現することができます。コンピューターやテクノロジーに代替可能なことは任せ、大切な経営資源である「人」を有効に使うことが、ローカルビジネスの成功につながります。


筆者プロフィール
柴田久美子(しばた・くみこ)
株式会社INDETAIL 広報担当
INDETAIL
http://www.indetail.co.jp/

Growth Cloud
https://www.growth-cloud.com/

《柴田久美子》

編集部のおすすめ

特集

page top