【ITビジネス法務】代理店契約 5つのポイント(2) | 東京IT新聞

【ITビジネス法務】代理店契約 5つのポイント(2)

エンタープライズ 経営

~代理店契約の2つのスタイル~

前回の記事から間が空いてしまったので、おさらいをしましょう。代理店契約は、メーカーが代理店を通じて顧客に商品・サービスを販売する手法です。メーカーとしては、他社(代理店)の販売チャネル、販売人材を活用できますし、代理店としても、商材ラインナップを充実させて、顧客へのアピール力を高めることができます。ただ、代理店契約のポイントを押さえていないと、リスクのあるビジネスになってしまうおそれがあります。

●違いを理解する

それでは、今回の記事では1番目のポイント、『ディストリビューター方式・エージェント方式の違いを理解する』を解説しましょう。

転売か仲介か……「ディストリビューター方式」とは、メーカーが代理店に商品を売り、それを代理店が顧客に転売する契約です。「エージェント方式」とは、代理店はあくまでもメーカーと顧客との契約を仲介するだけで、メーカーが顧客に商品を販売する契約です。ちょっとこれだけでは、よくわからないかもしれませんね。両者の違いを、具体的に見ていきましょう。

顧客と契約関係にあるのは誰か……まずは契約関係です。ディストリビューター方式の場合、代理店がメーカーから商品を購入し、それを顧客に転売します。つまり代理店と顧客が契約関係にあります。エージェント方式の場合、代理店がメーカーと顧客との契約を仲介するだけです。つまりメーカーと顧客が契約関係にあります。

売上が高くなるのはどちらか……次は売上です。ディストリビューター方式の場合、代理店の売上が高くなります。10万円で仕入れた商品を11万円で売るなら、粗利が1万円で、売り上げは11万円になります。エージェント方式の場合、代理店の売上が低くなります。11万円で商品を売って手数料が1万円なら、粗利が1万円で、売り上げも1万円になります。

顧客に責任を負うのは誰か……そして顧客に対する責任です。ディストリビューター方式の場合、代理店が売主なので、原則として代理店が責任を負います。エージェント方式の場合、メーカーが売り主なので、代理店は責任を負いません。

債権回収リスクを負うのは誰か……最後に顧客からの債権回収リスクです。ディストリビューター方式の場合、代理店が売主なので、代理店がリスクを負います。メーカーは、代理店に売った時点で債権回収完了です。エージェント方式の場合、メーカーが売主なので、メーカーが負担します。

●メリットとデメリット

以上、まとめますと、ディストリビューター方式であれば、代理店は売上が大きくなる一方、対顧客でのリスクを負います。一方、エージェント方式では、代理店は対顧客のリスクを回避できますが、手数料ビジネスになってしまいます。

両者の違いは以上ですが、大切なのは、どちらの方式が自社に有利か、不利かではなく、どちらの方式が自社のビジネスにマッチするのか、という点を理解することです。ちなみに、技術力のある中小企業の商品を大手企業が代理店販売する場合は、ディストリビューター方式になることが多いです。

気をつけないといけないのは、どちらの方式か不明確な契約はトラブルの元です。例えば、代理店として、顧客への販売価格を売上にしたいが、顧客に対する責任はメーカーに負わせたい、など。代理店契約書を作成する際は、どちらの方式なのかを明確にしましょう。
《藤井 総》

編集部のおすすめ

特集

page top