第3回 映画監督 山下敦弘

【Toprunner Interview NEW VISION】

2007年07月03日(火)

[ 43 号]

 広告会社やテレビ局主導の、プロモーション先行の日本映画が増え、邦画バブルともいわれている。しかしその中にあっても、持ち味を活かして自分の映画を作り続けている映画監督がいる。その代表格が山下敦弘監督だと思う。新作のことを中心に、インタビューさせてもらった。

山下敦弘…1976年、愛知県生まれ。大阪芸術大学映像学科の卒業制作『どんてん生活』が、2000年のゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門のグランプリを受賞。続く『ばかのハコ船』はテアトル新宿のレイトショーでロングラン・ヒット。脱力系のオフビートな世界が熱狂的な支持層を生む。

山下敦弘…1976年、愛知県生まれ。大阪芸術大学映像学科の卒業制作『どんてん生活』が、2000年のゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門のグランプリを受賞。続く『ばかのハコ船』はテアトル新宿のレイトショーでロングラン・ヒット。脱力系のオフビートな世界が熱狂的な支持層を生む。


和田: 新作の『天然コケッコー』おもしろかったです。今回の作品は、暴力、エロ、人間不信、脱力感などをモチーフにしてきた、『どんてん生活?松ヶ根乱射事件』の系譜からは、すこし違うものになっていたと思うのですが演出する上で、難しさや気をつけた点はありましたか。

山下: 意識したのは、自分の癖を残さないようにしよう、というところですね。脚本の渡辺あやさんが書き上げたものが原作からぶれてないものだったし、その方向に僕も賛成だったので。なおかつリンダリンダリンダとは違うものにしようと考えてました。

和田: 夏帆ちゃんを起用したのはどんなきっかけなんでしょうか。

山下: 年齢が原作と同じというところが一番大きかったですね。ほかにいろんな子に会って、芝居がうまい子とか僕が思う田舎くさい子とかもいたんですが、まだ小さい子役の子が暴走したりしたときに、動揺している夏帆がいたりして、そういうそのまんまのリアクションが「あ、これが中学2年生なのかな」と思って。

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会


和田: 今回の映画は、前回の山下トーンを比較的抑えた「リンダリンダリンダ」と比べて、長回しや独特の間が復活していたと思うのですが、役者さんが戸惑うところはなかったですか?

山下: 役者はやりずらいこともあったかもしれませんね。役者ってなにもない“間”って怖いじゃないですか。でも島根にロケに行く前からやりたいことは徐々に伝えてはいて、撮影するにしたがってだんだん言わなくてもよくなってきましたね。最初はもう少し間を空けてくれとか具体的なことを言ったりしてたんですが、だんだんキャラクターについてしゃべれるようになってきましたね。

和田: 夏帆ちゃん演じるそよが、修学旅行で東京を歩いているときに“都会の音”に耳を澄ませるシーンが印象的でしたね。

山下: あのシーンは、そよが苦手だと思っていた東京ともいつか友達になれるかも、というシーンですね。

和田: かわいいシーンでしたね。

山下: この映画のテーマは“かわいい”だったんですが、あのシーンは特にどうやったらかわいくみえるかとか、スタッフと話をしてましたね。

和田: 新作の『天然コケッコー』のここは見てほしいっていうところを教えてください。

山下: この映画の中で、夏帆がちょっと成長してると思ってて、あの歳の女の子ってちょっと時間がたっただけでも雰囲気がかわるじゃないですか。ほんと中三のときの一番いいときが撮れたなと思ってて。青春映画ってこともあるし、ひとりの少女の映画の一本、としてみてほしいなという気がしていますね。

和田: 今後こういうものを描いてみたいっていうものはありますか?

山下: 可能性広げていけるようないろいろなものを撮ってみたいですね。自分でも意外だなと思うような、SFとかホラーとかミステリーなんていうのもやってみたいですね。

和田: ありがとうございました。
クリエーター新作紹介
『天然コケッコー』
配給:アスミック・エース
7月28日、シネスイッチ銀座、渋谷シネ・アミューズ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会


インタビュアー 和田宗衛門
2006年、駄犬修一とクリエイティブユニット『LENS』結成。広告業界で実績を残しつつ、多方面での人脈をいかしアーティストとして活動。2007年、メディアアート作品DVD『東京ヌードル』リリース、好評発売中。

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