「に・よん・なな・みゅーじっく」 宮野氏、宇佐美氏に聞く

無料配信と著作権の関係性とは―

2007年10月02日(火)

[ 55 号]

 前号で、モジラジャパンが主催した24時間イベント、「モジラ24」をレポートした。そこでは、「オープンソース」という考え方をコアとして様々なイベントが開催されたが、中でも記者が気になった事柄が、新たな著作権管理方法「クリエイティブ・コモンズ(CC)」だ。「アーティスト自らが著作権の運用法を選定できる」とするCCの有効性とは何なのか。「モジラ24」で「ファイヤーフォックスロックフェスティバル」の制作に協力し、CCに賛同している音楽配信/制作会社「に・よん・なな・みゅーじっく」の宮野氏と宇佐美氏に、CCの可能性と、ネット時代の著作権管理のあり方について聞いた。

  「に・よん・なな・みゅーじっく」は、2年前に設立され、DRMなし/mp3形式での音源ダウンロードや、アーティストの出演するラジオをポッドキャスティング方式で配信するサイト「mf247」を、すべて無料で行なっている事業者である。社長は、かつて「プレイステーション」を生み出した元ソニーの丸山茂雄氏だ。
 「日本にマイスペースが入ってくる以前から、私たちは無料配信サービスを行なっています。当時はそれこそ、無料配信に対する理解などはほぼなかったので、何度もアーティストに交渉して、許可を得ていました」(宮野氏)

「に・よん・なな・みゅーじっく」の宮野氏。「“オープンソース”を伝えていこうとするモジラの人たちが、ピースフルな雰囲気を生み出してました」

「に・よん・なな・みゅーじっく」の宮野氏。「“オープンソース”を伝えていこうとするモジラの人たちが、ピースフルな雰囲気を生み出してました」


 「当初から著作権管理の手段のひとつとしてCCの採用を検討していたのですが、まずは無料配信の意義を説明するのが先だということで、採用は先送りしたんです」(宇佐美氏)

 だが、無料配信への理解がアーティスト、リスナーの側から急速に広がっていく中で、モジラジャパン側から「モジラ24」への協力要請があり、それを機に今年9月にはCCへの正式な賛同を表明。アーティスト自身が音源の複製・改変制限を「非営利」「改変禁止」「表示」など五つのマークで指定できるシステムを導入した。

 「最近は特に、ブログやSNSの流行による“クチコミ”の効果は大きいため、無料配信も注目を浴びています。しかしそのことで、著作権のないネットでの音源の取り扱いが無秩序になる可能性も出てきました。それを整備する手段として、アーティスト自身が著作権の運用を選定できるCCは、非常に時代に適合する考え方だと思います」(宮野氏)

 そこで問題となってくるのが、ジャスラックなど既存の著作権管理団体との共存だ。この点に関して、mf247としての立場からCCの現状での問題点を指摘しながら、今後の展望をこう語ってくれた。

 「CCはまだデータベースが少ない上、一旦リリースしたライセンスを変更したい場合、それを公式に紹介する場所がないんです。今後、そうした部分が整備されれば、CCライセンスだけでも困らない状況になると思いますし、既存の著作権管理団体との共存が可能になるかと思います」(宇佐美氏)

「mf247」ページ内、CCについてのページ(http://www.mf247.jp/cc_list.php)。CCのライセンスごとに楽曲が検索できる。ちなみにジャスラック登録曲は、「アーティストの好意」ということで無料配信可能に

「mf247」ページ内、CCについてのページ(http://www.mf247.jp/cc_list.php)。CCのライセンスごとに楽曲が検索できる。ちなみにジャスラック登録曲は、「アーティストの好意」ということで無料配信可能に


 非営利団体であるが故、CCに関してはまだまだ体力がないのが実情のようだ。しかし、ネットや携帯での音源ダウンロードが普及した日本において、CCによる円滑な著作権の運用法はマッチしていると言えるし、早急に整備を図る必要性があるのではないだろうか。
( 森樹 )


記事についてのご意見・ご感想

東京IT新聞 特集ラインナップ

専用サーバ・専用レンタルサーバーは at+link におまかせ!

Apple Store(Japan)

東京IT新聞HOTキーワード
東京ITイベント情報

イベントカレンダーを見る カレンダーを見る