第2回 歌人 穂村 弘

【Toprunner Interview NEW VISION】

2007年06月05日(火)

[ 39 号]

 今年のはじめに穂村さんのエッセイを読んで、衝撃を受けた。村上春樹さんの「村上朝日堂」シリーズに匹敵する、ほのぼのしていて、そして鋭い エッセイだ。そこを入り口にして穂村さんの短歌集を読みはじめ、短歌のおもしろさをあらためて知った。巧みに時代性を短歌に詠みこんできた穂村さんが、いまの時代をどうみているのか。指定してもらった西荻窪のコージーコーナーでインタビューさせていただいた。

穂村 弘・・・1962年5月21日札幌生まれ。上智大学文学部英文科卒。歌集『シンジケート』でデビュー。斬新な口語体で同時代のリアルを巧みに詠みこんだ作品は熱烈な支持を集め、以降の短歌界に大きな影響を与える。歌集、短歌入門書、エッセイ、詩集、ショートストーリー集など、枠にとらわれない多才ぶりを発揮しており、「ほむらひろし」名義での絵本の翻訳も多い。

穂村 弘・・・1962年5月21日札幌生まれ。上智大学文学部英文科卒。歌集『シンジケート』でデビュー。斬新な口語体で同時代のリアルを巧みに詠みこんだ作品は熱烈な支持を集め、以降の短歌界に大きな影響を与える。歌集、短歌入門書、エッセイ、詩集、ショートストーリー集など、枠にとらわれない多才ぶりを発揮しており、「ほむらひろし」名義での絵本の翻訳も多い。

和田:何年も前からコミュニケーションが、メールやチャット、携帯などネットにシフトしていると思います。最近はそれだけではなくて、SNSやブログというコミュニケーションのツールが出てきています。

穂村:はい。そうですね。

和田:短歌ってザックリと言ってしまうと、人間同士の関係性を描くものだと思うのですが、表現上そこの描き方って変わってきていますか?

穂村:おそらく変わってるでしょうね。たとえば、昔ぼくらの世代の人が駅前とかでギターを弾いてたりしたのは、それこそ「有名になりたいから」で、もし一生そういう立場だったら、それは「トライアルが失敗した」という自意識だったと思うんです。周りからのみなされ方も。でも今、もしかしたら少し違うんじゃないかっていう感じもしてて。

和田:どういった違いなんでしょうか。

穂村:駅前で語り弾きすること、それ自体が目的とかね。もちろんプロとはいえないけど、そこでもファンは付くし、それでほんとに充足するということが今はあり得るんじゃないかと感じる瞬間があって。そこは今の若い人の短歌に、言語表現上あらわれてきているような気がしますね。

和田:なるほど。そういったメンタリティは、時代感覚として感じますね。

出版社:メディアファクトリー 1,365円(税込)

出版社:メディアファクトリー 1,365円(税込)


穂村:ある人間の音楽とか言語表現が、百人の人の心を打つためには、その人のテンションとか心の熱さとか才能が百人分ないといけないと仮に設定するとして。僕なんかは自分の魂が何人分のテンションや熱さを持っているのかというのをいつもビクビク考えるんだけど、そもそも今の空気ってそういう感じじゃなくて、極端なことをいうと、もうこの世の中の誰か一人がみてくれればいいとか、そういう発想があるかなって感じますね。

和田:いまウェブ上では、ブログやSNS、YouTubeをはじめとする動画共有サイトを使って、だれでも自分の発表の場を持てますね。

穂村:僕はカラオケもできないし、ブログに日記も書けない。自意識が強くて自己愛が強いからなんだけど。やるからにはミックジャガーみたいに歌いたいとか、文章書くならドストエフスキーみたいに書きたいとか思うわけ(笑)

和田:ドストエフスキー(笑)

穂村:でもみんながそういう考え方だったら、ブログに日記とか書けるわけがない。あんなにナチュラルに、人を驚かせようとか、人を感動させようとか、脅威をあたえようという下心のない文章が、ネット上にあるわけがないと思うんだよね。つまりあれは、なんだろう、一種の共感システムなんじゃないかと思いますね。読者側も、みたことのないものをみて驚きたいとか感動したいとか、そういう欲求はどんどん下がっていて、もう自分がすでに薄々わかっていることを再確認したいとか、そういう風に表現の位相がシフトしてると思いますね。

和田:そういう時代の感覚が短歌での現実の切り取り方にも反映されている、と。僕は今の若い歌人の短歌を読んだことがないので、少し楽しみになってきました。
クリエーター新作紹介
めくってびっくり短歌絵本
「納豆の大ドンブリ」(岩崎書店)刊行記念トークセッション
穂村 弘(歌人)寺門 孝之(画家)
■2007年6月24日(日)16:00~ ■会場:ジュンク堂書店新宿店8F喫茶にて ■入場料千円(ドリンク付き) ■定員30名 :ジュンク堂書店新宿店7Fカウンター ■電話(03-5363-1300)※定員になり次第予約締切り


インタビュアー 和田宗衛門
2006年、駄犬修一とクリエイティブユニット『LENS』結成。広告業界で実績を残しつつ、多方面での人脈をいかしアーティストとして活動。2007年、メディアアート作品DVD『東京ヌードル』リリース、好評発売中。

キーワード


記事についてのご意見・ご感想

関連記事

東京IT新聞 特集ラインナップ

専用サーバ・専用レンタルサーバーは at+link におまかせ!

Apple Store(Japan)

東京IT新聞HOTキーワード
東京ITイベント情報

イベントカレンダーを見る カレンダーを見る