2006(平成18)年8月の創刊から100号目を迎えた「東京IT新聞」。週に一回「IT」をテーマにした数々の出来事やトピックスを紙面に掲載してきました。「ドックイヤー」と言われるほどすさまじい速さで変化するのがIT業界。ここでは「東京IT新聞のDNA(遺伝子)」と銘打ち、これまで我々が紙面を通じ取り組んできた連載や記事について、担当編集者が語ります。
《その1 コラボ企画》
長期連載中「百式」筆頭に個性を放った約30企画群
東京IT新聞の魅力の1つは、コラボ企画にあると言えます。新聞は、パッケージメディアとして秀逸な媒体。新しいWebサービスはもちろん、音楽やショッピング&生活情報まで、インターネット上に溢れる多くの情報を選別しパッケージングすべく、「企業」もしくは「サービス」×「東京IT新聞」企画を多く立ち上げました。コラボレーションを意味する「×」印は他にはないオリジナル企画だと思っています。
継続中も含め、これまでに行ったコラボ先を挙げると「百式」「Gyao」「Livedoor」「ask.jp」「choix」「GIZMODO」「セミナーズ」「プレスリリース・エンジン」「amaz on」「楽天」「japan.internet.com」「マーズフラッグ」「アイ・アム」「社長TV」「ワークポート」「iza」「buzzurl」「マイ・スペース」など。なかでも、長期連載中の「百式」「ECナビ」「ListenJapan」「@press」などは、IT新聞の1コンテンツとしてしっかり読者をつかんでいます。 (井上佳国)

《その2 ウェブサービス》
「ネット」は差別化だけでなく内容に多様性を齎す要素に
ITを冠する本紙のこと、インターネットとの関わりは深い。これは、一般紙との差別化点であった一方で、ネットが何でも飲み込んでしまうものであり、関連しない事柄がむしろ珍しいほどであるような昨今の流れのため、ビジネス要素とともに一般的な関心を大切にしたこの媒体で、多岐の話題をカバーすることを可能にした。
SNSほかCGMサイトや動画配信、グーグルやヤフーやマイクロソフトやアップルなどは、「ニュースを厳選して伝える」本紙で頻出するのが当然と言えるほど、大きな話題を間断なく提供してきた。新たなビジネスモデルや広告手法、期待のベンチャー企業は積極的に紹介し、未来の展望が開けるような構想に興味を示した。それら定番の話題に次いだ、ロボット技術、アート系、面白ガジェット、海外IT事情などの記事は、媒体の個性となる「BtoBtoC」要素を成し、「選挙」「ガソリン高騰」「食品表示偽装」といった世相や「町工場」「不動産」といった一見無関係だが身近な話題も、ウェブと絡んだ本紙ならではの切り口で、紙面を彩った。(中澤始)

秀逸なプロモーションサイトも多くフィーチュア。チュッパチャップス50周年記事もそのひとつ
《その3 連載企画》
著名漫画家書下ろし4コマ、業界の枠を越えた「声」収録
数々の連載企画を立ち上げた中で人気ダントツは、花くまゆうさく氏の四コママンガ『ITの汁』(07年2月8日~)。「アフロヘアー」と「禿げ親父」が「クス笑いネタ」を提供してくれる。花くまさんいわく「私が工場長で、あとは2人が様々な場面でいろいろ仕事してくれるんです(笑)」。テーマはグーグル、ミクシィ、iPhoneといった旬のキーワードから、ネット難民、情報漏洩、裏サイトなどシュールな話題にも触れる。日々忙しいビジネスパーソンが、ほっと一息つけるショート・ショートだ。
一方、不定期連載で印象に残っているのが「IT新潮流」。サマンサタバサがバーチャルモール「WWCITY」を立ち上げる際には寺田和正社長にインタビュー。IT業界の人ではない、リアルなショップやブランド運営の発想からネットショッピングの未来象を熱く語ってくれ、紙面でも好評を得ました。また、映画監督からインタラクティブプランナーなど新進気鋭のクリエイターにインタビューする「NEW VISION」は話題を呼んだ。(井上佳国)

《その4 PJ》
特権的にではなく読者目線で ~パブリック・ジャーナリスト
比較的大きな枠を割いた記事の文末に付された署名――パブリック・ジャーナリスト。市民記者を指し、ライブドアやオーマイニュースでも用いられた名称だ。東京IT新聞のコンセプトに賛同し、あるいは興味を感じ、編集部の門を叩いてくれた彼らは、記事企画を立案し、取材・調査し、新聞のコンテンツ制作を担った、いわば同志である。
読者目線の分かりやすい媒体を標榜した本紙では、しばしば難解なIT関連の話題を、文脈とともに読者に伝えるよう努めた。新聞の命である記事を彼らに任せたのは、読者と同じ目線の高さ、そこから生まれる興味・関心やモチベーションの高さ、出自/経歴が産む多様性、といった特徴が、メディアの旧弊を破る起爆剤となり得ると考えたからだ。もちろん本紙は新聞パッケージの優秀性や信頼度の高さを大事にもしたが、一方で、東京IT新聞の構想時には既にブロガーの力を実感させられており、その後も、ブログや多くのCGMのメディア的な発展を見ることとなった。スキームが異なっても向いた方向は同じだと考えている。(中澤始)

0号トップ記事は「新聞メディアのWeb戦略」。Web2.0が促すユーザコンテンツメディアに言及
《その5 企画特集》
ITビジネスの課題解決への道筋示す
インターネット関連の「おもしろ系」の記事では好評を得てきた本紙ですが、さらに広い方々に読んで頂けるよう、ウィングを広げ、俗に言う「BtoB」「エンタープライズ」的な情報も手厚く掲載するようになりました。なかでも「メールセキュリティ」「ASP・SaaS」「ホスティング」「動画配信ソリューション」「モバイルマーケティング」などのテーマを定めた企画特集では、多くの識者や業界関係者、関連企業から大きな支援を頂いています。そのITビジネスの課題を浮き彫りにし、解決へのヒントや成功事例を数多く提示することができました。読者の皆さんからも「読んでためになる」「ソリューションが詳しく掲載されていて有り難い」「仕事で役に立った」などの声が多数寄せられるなど、今やIT新聞に欠かすことのできない中心的な存在です。広範囲・多分野にわたるITビジネス。今後も守備範囲を広く持ちながら、横たわる課題の解決に道筋を付け、IT業界の発展に寄与できる企画特集を展開してまいります。(西村健太郎)

※東京IT新聞100号紙面版(2008年9月24日発行)では「創刊100号への軌跡からIT業界の動きを振り返る」特集を掲載。1~99号までのトップ紙面と号外、各号の概要を紹介しています。
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