21世紀最初の「楽器」『TENORI-ON』、日本発売開始

2008年05月13日(火)

[ 82 号]

 4月25日、ヤマハは電子楽器の新製品「TENORI-ON」(以下テノリオン)の発表会を開催。かねてから話題を集めていた同製品の国内発売に際し、大々的にお披露目を行った。国内発売は、5月12日より、同社の製品公式ウェブサイト(※)でスタート。希望小売価格は12万1000円(税込)。

新しい演奏スタイルを持つ楽器「TENORI-ON(テノリオン)」

新しい演奏スタイルを持つ楽器「TENORI-ON(テノリオン)」


 テノリオンはメディアアーティストの岩井俊雄氏が「もう一度楽器の本質を見つめ直し」(同氏)、ヤマハと共に6年の開発期間を経て完成した。「ピアノやバイオリンなど後世に残る楽器は、音(音色)と(楽器の)形が切り離せない。そういうものを作ろうと思った」(同氏)ということで、独自の形と演奏スタイルを持つテノリオンは、21世紀最初の「楽器」だと言える。

 テノリオンは縦横約20センチの正方形の両面に16個×16個のLEDが並ぶマグネシウム合金製の独特なボディを持っている。操作面のLEDはスイッチにもなっていて、これを押すことで演奏する。基本的な演奏モードでは縦が音階、横が時間軸を表しており、ボタンを押して音を「置いていく」ことで、演奏パターンが繰り返される。複数の演奏モードで新たな音色を重ねていくことで、さまざまなパフォーマンスが可能だ。直感的なとっつきやすさだけでなく、偶然性も加味される多様な演奏モードや、フレーズ構成を記憶する「ブロック」機能など、使い込める要素も持っている。

 東京・青山のスパイラルホールで行われた今回の発表会では、同社の梅村充代表取締役とサウンドテクノロジー開発センター西堀佑氏が檀上に登場。「まだプロのアーティストが存在しない。これから生まれてくるであろう、ワクワクする製品」(梅村氏)、「視覚的かつ直感的に扱える、オールインワンな楽器」(西堀氏)と、それぞれの言葉で同製品について伝える一方、デモや解説で「使って」その魅力を披露していたのが印象的だった。

「コンセプトからの共同開発は珍しい。本当の意味でのアーティストコラボレーション第1作」(梅村社長・発表会にて)

「コンセプトからの共同開発は珍しい。本当の意味でのアーティストコラボレーション第1作」(梅村社長・発表会にて)


 二者に続いて岩井氏が、自身の歴代作品からの流れを受け継いだ同製品開発の経緯や背景を語り、その可能性を示唆した。テノリオンでは、演奏を「操作も含めて」ファイルに記録し、そのファイルを他のテノリオンで再生することもできる。つまり、音だけでなく奏者の操作ミスや音色選択に迷う様子まで再現されるのだ。岩井氏はこれを「演奏する《人の気配》も伝わる」と表現している。デジタル技術によって演奏以外の情報も伝えることができる、新しいメディアと言えるかもしれない。

「従来の楽器と似ても似つかないものにしようと考えた」(岩井氏)【TENORI-ONワールドツアー東京公演にて】

「従来の楽器と似ても似つかないものにしようと考えた」(岩井氏)【TENORI-ONワールドツアー東京公演にて】


 昨年9月にはロンドンでテストマーケティングが開始され、すでにビョークやコーネリアスなど、多くのアーティストが国内外のステージで活用している。発表会の同日夜には世界6ヶ国9都市を回るTENORI-ONワールドツアーを締めくくる東京公演が開催され、Jim O’Rourke、Atom Heartらによるライブが行われた。

ライブではテノリオン専用スタンドも登場【TENORI-ONワールドツアー東京公演にて】

ライブではテノリオン専用スタンドも登場【TENORI-ONワールドツアー東京公演にて】


 実機展示は東京・青山のスパイラルレコーズ、初台のICCほか、国内数カ所で行われる予定だ。
( 箱田雅彦 )

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