ユニバーサルデザインの『コミPenメール』

障害者の社会復帰や自立を支援

2007年09月04日(火)

[ 51 号]

 ここ数年、ユニバーサルデザイン(以下、UD)という言葉を頻繁に耳にするが、これは、老若男女・障害者・健常者問わず、出来るだけ多くの人が利用可能なデザインの製品や空間のことを指す。身近なところでは、UDのトイレや文字表示が大きい家電製品などがあるが、実際にはこの分野はまだまだ発展途上の段階だ。TOTO株式会社や富士通株式会社など各企業でも前向きな取り組みを行っており、市場は少しずつ広がってはいるが、コストがかかり、なかなか本腰を入れて取り組むことが難しい状態である。
タカラトミーと共同開発した『コミPen』で、メールを
 福祉用具等の販売を行っている株式会社ユーキ・トレーディングの佐野代表取締役は、
 「UD製品が、ツールとして開発され、利用されるようになったのは2000年代から。企業にとって利益が少ないので参入し難い分野。現在は、経済産業省や厚生労働省が後援している財団からの開発助成金があるが、流通や販促などその他の経費が出ないので、市場は広がり難い」と語る。

 そんな中、同社が販売を担当し、株式会社フェローが開発した『コミPenメール』を9月に発売する予定。この製品は、『コミPen』と呼ばれる特殊なペンで紙をタッチすれば、パソコンのキーボードを使用することなく、誰でもメールが出来る、というもの。フェローは2005年に高齢者やパソコン操作が苦手な方のデータ入力や検索入力、言語障害者のコミュニケーションツールとして、株式会社タカラトミーと『コミPen』を共同開発した。Excelで作成された専用紙に印刷された文字やイラストなどをコミPenでタッチすると、音声案内や動画再生が可能。この機能は、アンケート調査・集計や作業日報などビジネスにも利用出来るUDで、英語教材としても活用されている。

『コミPenメール』は、紙に印刷されたキーボードをタッチして文章を作成。文字の色や大きさなどを変更することも可能。円滑なコミュニケーションでフラストレーションを発散でき、“社会復帰・自立”という希望が持てる。個別対応あり。(※画像は『コミPen』)

『コミPenメール』は、紙に印刷されたキーボードをタッチして文章を作成。文字の色や大きさなどを変更することも可能。円滑なコミュニケーションでフラストレーションを発散でき、“社会復帰・自立”という希望が持てる。個別対応あり。(※画像は『コミPen』)


 今回、9月に販売が開始される予定の『コミPenメール』では、メール専用のシートをコミPenでタッチし、パソコンのOutlook Expressでメール文章を作成・送受信出来る。その他にMic rosoft WordやMicrosoft IEも操作可能。株式会社フェローの古市会長は、
 「脳梗塞などで倒れた方の社会復帰や自立支援に加え、高齢者の脳トレとしても活用出来る。電話などでの会話が困難な方もメールならコミュニケーションが取れる」と語った。

 もともと、就労支援など障害者の方との交流がある古市氏が、現場の要望からコミPenを開発し、佐野氏との協力で今回の『コミPenメール』発売に至った。現在、モニターとして製品を導入している病院やリハビリ施設の反響はかなり良いようだ。障害を負う前までパソコンを使用していた方が、作業療養士の元で使用し、昔の友人や孫にメールをしている、といった話が聞けた。

 これからの高齢化社会へ向けて、各企業でもUD製品の開発に目を向けざるを得ない時代を迎える。先日、安倍改造内閣が発足し、舛添要一氏が厚生労働相に就任した。問題が山積するが、UDなどの福祉関連製品の開発には、国のバックアップ体制の構築が必要不可欠だ。
( 石田絢子 )

記事についてのご意見・ご感想

東京IT新聞 特集ラインナップ

専用サーバ・専用レンタルサーバーは at+link におまかせ!

Apple Store(Japan)

東京IT新聞HOTキーワード
東京ITイベント情報

イベントカレンダーを見る カレンダーを見る