「初音ミク」 発売1ヶ月で8000本出荷

キャラクター・ボーカル・シリーズ

2007年10月10日(水)

[ 56 号]

 クリプトン・フューチャー・メディア株式会社(本社:札幌市中央区)が、 この8月31日にリリースした「キャラクター・ボーカル・シリーズ「初音ミク」が、音楽インストルメントソフトとしては異例の売上記録を伸ばしている。

クリプトン・フューチャー・メディアのホームページ(http://www.crypton.co.jp/)より特集ページ。「最先端テクノロジーは使う側の直感や創造性でどんどん進化する」(同社佐々木氏談)

クリプトン・フューチャー・メディアのホームページ(http://www.crypton.co.jp/)より特集ページ。「最先端テクノロジーは使う側の直感や創造性でどんどん進化する」(同社佐々木氏談)


 このソフトは、メロディと歌詞をピアノロール画面に入力するだけで、自由自在にオリジナルソングを女性の声の合成音で再生し歌ってくれるもので、「初音ミク」(はつねみく)とは、声優・藤田 咲さんが演じるポップでキュートなキャラクター・ボイスを元に作り上げられた、ボーカル・アンドロイド=VOCALOID(ボーカロイド)の名前。得意ジャンルはアイドルポップスやダンス系ポップス、得意な曲のテンポは70~150BPM、得意な音域A3~E5の16歳。身長や体重の設定もある、まさにバーチャル・アイドル歌手だ。

 ここまでの話で、「いわゆるオタクという人種にウケているのだろう」と思った方も少なくないと思うが、実は、音楽制作を生業とする人や、同じような先端技術開発者やその関係者にも非常に評判が良く、その売れ行きは、同社のヒット商品であるドラム音源ソフト『EZ drummer (イージードラマー)』の二倍数の出荷を約1ヶ月で達成したほどだ。

 これだけ売れるソフトの魅力を、企画・制作・広報担当、鈴木渉氏に尋ねたところ、「もともと古くからSFアニメが持っていた未来感を、IT技術の発展によって、より強く感じられることができる。アンドロイドという設定も時代にマッチしていたのだと思う」との話だった。

 音楽制作関係者から、仮歌を録る際に、人のコンディションに左右されずに思い描いた歌を忠実にコピーしてくれると重宝されているこの技術は、人間の声を元にリアルな歌声の合成音を作ることができるヤマハの技術「VOCALOID 2」を活用しており、「VOCALOID」が音声合成的で平坦だったものが改良され、より生の声に近く滑らかに再現する。

 ニコニコ動画から火がついたと言われている同ソフトだが、クリプトン・フューチャー・メディア関係者は念入りにチェックをせず、制作者として反響を楽しみながらその雰囲気・新しい使われ方を見て、今後の機能追加の参考にしている。

 声優を決める際、800ほど聞いたサンプルボイスの中から、単に声質の可愛いさではなく、「ベテランほど役作りはうまくないが、高音に特徴があったり、人間らしさや生命力を感じる」人を起用するなどのこだわりがあった。今年末に2作目、来年春頃には3作目とすでにリリースが予定されているものについても、同じポリシーで制作するというこのシリーズ……詳細発表に期待はふくらむ。
( 福士由紀 )

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