#007 株式会社パテントビューロ(代表取締役 永井 歩氏)
【pick up a start-up(注目ベンチャー探訪)】
2008年02月19日(火)
[ 72 号]
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インタビュー
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特許、商標、意匠(デザイン)などの「知的財産」は法律によって権利が守られている。これらは企業活動にとって極めて重要だ。
しかしこうした知財情報を扱うのは弁理士や企業の知財部門担当者に限られてきた。またその重要度に比べて社会の認知度は高いとは言えない。
株式会社パテントビューロは知的財産の障壁を取り払い、誰でも簡単に知的財産を創造できる環境を構築しようと取り組んでいる。
代表取締役社長の永井歩氏と、デザイン統括取締役の白木陽次氏に話を聞いた。

永井 歩◆2004年、大学在学中に株式会社さくらソフトでシステム開発に従事。翌年同社取締役に就任。社内ベンチャーとして知的財産関連事業を開始
起業の発端は永井氏が大学3年生の時に千葉市のソフトウェア開発会社「さくらソフト」でのアルバイト時代に溯る。
永井「さくらソフトは技術力が非常に高いのですが当時は受託開発が中心でした。そこで社内ベンチャーで新規事業を始める事になり、面白い分野はないだろうかと検討していた時に目をつけたのが知的財産でした。この分野が一番マーケットが広く、ゆくゆくは社会のインフラになるだろう、と」
折しも永井氏は弁理士に向けて勉強中だった。「マイクロソフトがOSで世の中のインフラを作ったように、次に世の中のインフラになるのは何かと考えたら知財でした」と振り返る。
元々起業志向だったこともあり、東京大学大学院修士課程1年の夏にパテントビューロを法人登記する。
永井「事業が社内ベンチャーの枠に収まり切らなくなった事もあります。独立してから1年間は勉強のために、毎日ひたすら弁理士を訪ねていました。これまでに合計で500人以上には会ったでしょうか。1日で5つの特許事務所に訪問した事もあります」
大変なバイタリティだ。勉強を重ねる中で、永井氏はあることに気付く。
永井「弁理士の資格も持っていない若者がこの業界に新規参入するには障壁が高過ぎました。そこで、知財情報と知財人材の二つのリソースを押さえる事で何とか潜り込もうと考えたんです」
特許・商標・意匠にまつわる公報・審決・判例等の知財情報の取扱いはこれまで特定の人に限られ、専門知識も求められた。
試しに特許庁のウェブサイトを見ると、特許や意匠自体の検索は容易だが、新製品開発の際の特許調査(既出の特許と競合しないか事前に調査すること)は難しく、判決・審決の閲覧には文献番号の入力が必要だ。
また、知財業界には有能な人材が求められるにもかかわらず、ニーズを満たす人材事業がこれまで存在しなかった。
-永井氏はここにメスを入れた。
永井「これまでは知財情報を閲覧するには有料の専門サイトに数万円支払わなければ閲覧できず専門家しか見る事が出来ませんでした。そこで当社は、経営者やエンジニアが直接見れるように、ほぼ全て無料化しました。また、知財情報を利用し、知財を活用できる人材も当社から提供できます」
国際化が進む知財分野で世界に
パテントビューロが提供する「知的財産データベース」では、キーワードを入力するだけで判例・審決を検索できる。例として特許についてand要素で「携帯電話 液晶」と検索すると8件の判例がヒットした。判決文のキーワードにはリンクが張られ、同じ語を含む他の判例がリスト表示される。
永井「エンジニアやデザイナーなどの知的財産を生み出す人たちが既出の特許・意匠を知らずに開発しているというのは、本来ならあり得ない事。技術はすばらしくても、それを生かす戦略がこれまでなかった。当社はそれを丸ごと支援します」
今後、技術者に向けて特許公報などの情報配信も構想している。
永井「エンジニアが知財情報を参照する際に出願番号や特許番号なんて必要ない。参考になるアイデアと図面・要約、利用している技術を見られれば十分」。なるほど。
一方、白木氏は社内のデザイン全般を統括しているが、何と現役の千葉大院生。
白木「永井の出したアイデアを具体化していく役割を担っています。知財を取り扱う会社ですから、やはり自社の知財をおろそかにする訳には行きません」

白木 陽次◆2005 年3月、株式会社さくらソフトにWEBデザイナーとして入社。新規事業部に所属。同年9月、株式会社パテントビューロ設立と同時に移籍
永井「常に世界中を参照しなくてはいけない知財分野は国際化が進んでいる。他方で日本の知財は言葉が壁になって海外からアクセスしにくい。その状況を逆手に取り、世界に打って出たいですね」
若き俊英は先の先まで見据えていた。
PatentBureau-株式会社パテントビューロ
(http://www.patentbureau.co.jp/)
●知財人材採用支援事業
知財関連実務の専門人材(弁理士、知財担当者)を採用するための、広告掲載、スカウト、人材紹介、採用コンサルティングなど、採用に必要なサービスをトータルにサポート。
●知財情報データベース事業
知財に関連する情報(審決、判例)の学習や集合知等を用いたインテリジェントな検索・配信サービスを提供。2008年夏期に公報も開始予定。
●知的財産啓蒙・プロデュース事業
特許ナビ、商標ナビなどの知的財産権のポータルサイト運営を始め、新規事業立上支援、技術移転など。
(
文:斉藤円華、写真:更科智子
)
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