「イーココロ!」のビジネスモデル

クリックから始まる社会貢献

2008年03月04日(火)

[ 74 号]

 「クリックから世界が変わる!」―NGO/NPO募金ポータルサイト「イーココロ!」が今、注目されている。
 イーココロ!を使うと、自分の財布からは1円も支払わずに、ウェブ広告をクリックする、あるいはECサイトでショッピングするだけで社会貢献活動に寄付できる。
 ITを利用した社会起業(ソーシャルベンチャー)の先駆けともいえるこの取り組みを取材した。

イーココロ!ウェブサイトではインターネット募金の案内や最新レポート、スポンサー紹介などを見ることが出来る(http://www.ekokoro.jp/) ※携帯サイト:http://1556.jp/

イーココロ!ウェブサイトではインターネット募金の案内や最新レポート、スポンサー紹介などを見ることが出来る(http://www.ekokoro.jp/) ※携帯サイト:http://1556.jp/


 イーココロ!の募金システムは2つに大別できる。

 1つは同サービスに会員登録が必要な「ショッピング募金」。ログインして提携するECサイトで買い物をすると、購入金額の一部が自動的に寄付される。募金額は提携先によって異なる。ユーザは登録されている100件ほどのNGO/NPOから募金先を選べ、寄付方法も個人名または匿名を選択できる。マイページでは「募金通帳」が表示され、過去の募金実績が一目で分かる。

 もう1つは会員登録が不要な「クリック募金」。バナー広告を1日1回クリックする毎に1円が寄付される。また、イーココロ!オリジナルのブログパーツをブログに貼り付ければ、そこからもクリック募金が可能だ。既に約6000のブログがこのパーツを使用している。

 昨年の募金総額は996万円。今年の目標額は3000万円、2010年までには1億円の達成を目指す。

 同サイトを運営するのは横浜のユナイテッドピープル株式会社。この事業を立ち上げた経緯を、代表の関根健次氏はこう語る。

「学生時代にバックパッカーでパレスチナのガザ地区を訪れた。そこで出会った少年に将来の夢を訊ねたら『爆弾を作って多くの敵を殺すこと』と言われ、衝撃を受けた」

ユナイテッドピープル株式会社代表の関根健次氏。インターネット広告代理店を経て26歳の時に独立。環境や先住民族への意識が高い英国のバンド「ジャミロクワイ」は氏が特にリスペクトするグループだ

ユナイテッドピープル株式会社代表の関根健次氏。インターネット広告代理店を経て26歳の時に独立。環境や先住民族への意識が高い英国のバンド「ジャミロクワイ」は氏が特にリスペクトするグループだ


 世界には未来に希望を持てない現実がある事を知り、「自分にできることは何か」を自問した末、2003年5月にイーココロ!を立ち上げた。

「子供が子供らしい夢を描けるように社会が変わる事が必要」と話す関根氏。「WFP(世界食糧計画)の学校給食支援プログラムでは、わずか20円で1食分を提供できる。たったの1円、2円が海外では大変な重みを持つ。イーココロ!を利用することでお金への意識が変わる」とその意義を強調する。

 イーココロ!はスポンサー企業にとってはどのようなメリットがあるのか。

 リサイクルトナー販売大手のエコタクドットコムは、音楽家の坂本龍一氏らが立ち上げた森林再生プロジェクト「more Trees(モアトゥリーズ)」と組んで、「森づくり支援クリック募金」をこの2月より開始した。代表取締役の越智修次氏はその理由を、「環境に優しいリサイクルトナーを扱う自社を広くアピールすることと、CSR(企業の社会的責任)の達成が目的。『more Trees』をパートナーに選んだのはその知名度と、森を育てることでCO2を相殺して自社のカーボンオフセットを推進できるため」と説明する。

 クリック募金では、スポンサーは初期費用の5万円と1クリックにつき2円の基本料金を負担する。1円が寄付金、残りがイーココロ!の手数料となる。

 クリック募金の導入以降、エコタクドットコムのウェブサイトは1日のアクセス数が2000程増えたという。「導入の手応えを感じている」と越智氏は話す。

 関根氏はこうした現状について「CSR意識の高まりから、社会貢献事業を支援したい企業が増えている。しかし実際にはどこを支援すればよいのか分からない、と悩む企業も多い」と分析する。企業とNGO/NPOの橋渡しの役目を、同サイトが担っている形だ。

 イーココロ!のウェブサイトでは、NGO/NPOの活動報告が日々更新され、社会貢献活動のポータルサイトとしても機能している。また「知ることが変わる第一歩」との立場から、現在起きている紛争や環境問題等のトピックも掲載している。

 関根氏は取材の最後にこう語った。「消費は投票と同じ。どうお金を使うかは、どんな社会を作るかに通じる。自販機で買う缶ジュース1本の値段で、多くの命が救える。一人ひとりが世界を変えられる。自分の力を侮ってはいけない」

「そういえば最近の東京IT新聞で『発電床』の記事がありましたね。同じ原理でクラブの床も『発電』させちゃおうと思ってます」と関根氏。開催するイベント「発電ナイト」で、踏むとLEDが発光するパネルを敷き詰めるという

「そういえば最近の東京IT新聞で『発電床』の記事がありましたね。同じ原理でクラブの床も『発電』させちゃおうと思ってます」と関根氏。開催するイベント「発電ナイト」で、踏むとLEDが発光するパネルを敷き詰めるという


節電するより発電しよう!~遊び心満載のロハスなクラブイベント
「発電ナイト」
日時: 3月15日(土) 19時~
会場: TVKCAFE(横浜)
詳細: http://www.hatsuden.org/
( 斉藤円華 )

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