#010 ウノウ株式会社(代表取締役社長 山田進太郎氏)

【pick up a start-up(注目ベンチャー探訪)】

2008年03月11日(火)

[ 75 号]

 新作映画紹介サイト「映画生活」や写真・動画共有サービス「フォト蔵」の運営会社として知られるウノウ株式会社。特に「映画生活」は新作映画のクチコミサイトとしては老舗にして日本最大級で、乱立気味だった同種サイトの中にあって独自の地位を築き上げている。ウェブデザインがスッキリと見やすいのも特徴だ。
 同社代表取締役社長の山田進太郎氏に起業の経緯や今後の展開などを縦横無尽に語ってもらった。

山田 進太郎◆早稲田大学在学中に早稲田リンクス代表、楽天株式会社にて楽天フリマオークションの立上げなどを経験。2000年3月卒業後、フリーのウェブ・ディレクター・プログラマーに。2001年8月有限会社ウノウとして法人化。日本から世界的サービスを作るため、2005年2月にウノウ株式会社に組織変更。主に新規ネットサービスの立上げを担当。

楽天での経験 IT業を決意

 早稲田大学在学中は数学を学んでいたという山田氏。早大生向けにウェブサイトなどを運営する学生団体「早稲田リンクス」の代表を務め、早くからウェブコミュニケーションの世界に関わっていた。大学4年の時に先輩の紹介で楽天株式会社にインターンとして参加。楽天フリマオークションの立ち上げなどを経験。

 「一から作るプロジェクトに関われたので、『ウェブビジネスってこうやるんだ』というのは勉強になりましたね。ITの仕事をずっとやっていきたい、とこの時思いました」

 大学卒業後、ネットベンチャー支援NPO「Zaiya.com」の立ち上げに関わり、ここで多くの知己を得たことが独立の礎となる。
 個人会社として起業後は、雑誌オンライン書店「富士山マガジンサービス」の立ち上げなど、営業と開発の間に入ってシステムを構築していくコーディネーター的な役割を担った。
 2004年から1年間、米国シリコンバレーで仕事の方向性を模索した後、帰国。05年2月にウノウを立ち上げる。
 同社のメインコンテンツである映画のクチコミサイト「映画生活」。主に30代から40代の女性ユーザに支持され、月間PVは約480万、レビュー投稿作品数1万本超、レビュー投稿数は10万5000件以上を数える。

【映画生活】 1999年2月開設。試写会や懸賞情報、ニュース、特集、クチコミ、メルマガなど豊富な情報量を誇る

【映画生活】 1999年2月開設。試写会や懸賞情報、ニュース、特集、クチコミ、メルマガなど豊富な情報量を誇る


 「当社のビジネスはCGMが中心で、ユーザ同士のコミュニケーションが主体となっています。なので、ごちゃごちゃと見にくかったり、書き込み辛かったりしてはいけない。どこに何を配置するかといったユーザビリティには非常に気を遣っています」

 またデザインについても「カッコ良過ぎて『敷居が高い』と敬遠されてはいけませんし、逆にダサダサだと『このサイト大丈夫?』って警戒されますし(笑)。その辺は誰でも参加しやすい雰囲気にしよう、と心掛けています」

 映画館に足を運ぶのはやはり女性が多い。女性ユーザの視点を重視してデザインしていることが窺える。ここからスピンアウトする形で、DVD作品のクチコミサービス「DVD生活」も立ち上がっている。

 「自分が使って便利と思えるサービスを作る、というのが動機の中心にありますね。『映画生活』だったら『マイナーな映画だったけどいい作品だね』というレビューを載せたり、『あの映画の結末が分からないんだけどどういう事なの?』と質問して回答が得られたり、実際に役立つサービスでありたい」
 「けれどもインフラ的と言うよりかは『なくてもいいけどあったら便利』というか(笑)、エンターテインメント、カルチャー面を重視したいな、とは思っています」

 この辺りの茶目っ気と言おうか、洒脱な所がウノウのオリジナリティに通じるのだろうか。

競って共有する「ウノウラボ」

 同社におけるエンジニアの比率は約7割。日本語プログラミング言語「なでしこ」開発者の酒徳峰章氏も在籍するなど、高い技術レベルを誇る。
 そんなエンジニア同士のアイデアや技術の共有の場になっているのが同社のブログ「ウノウラボ」。今やウェブエンジニアならほとんどの人が読んでいるとさえ言われるほど、有名になった。

 「社内では毎週持ち回りで勉強会をしたり、サイトレビューを行ったりしています。また、ウノウラボを見に来る人はレベルが高いですから、あやふやなことは書けない。アウトプット自体が勉強につながるし、ブログがオープンソース的な場として機能することで逆に情報が集まってきたりもします。みんな結構優秀なので、お互いが刺激して切磋琢磨できる仕組みづくりがしたいですね」

 単に技術だけでなく、何が必要かといったウォンツ、ニーズを掘り起こすアイデアを育む土壌を重視している。
 今後は写真・動画共有サービス「フォト蔵」の普及に力を入れたいと語る山田氏。最後にズバリ、ウノウの強みとは?

 「何かやろうと思った時にアジャイル(俊敏)に開発できること。他の会社で出来ない難易度の高いことでもウノウなら可能、というのは強みです」

【フォト蔵】 写真・動画1万点をウェブ上で共有できる。会員登録してログインするとマイページが開き、「画像SNS」として機能する

【フォト蔵】 写真・動画1万点をウェブ上で共有できる。会員登録してログインするとマイページが開き、「画像SNS」として機能する

( 文:斉藤円華、写真:岡部ユミ子 )

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