日本エイサー株式会社 代表取締役社長 ボブ・セン 氏に聞く

世界第3位PCメーカー、その戦略とは

2008年05月20日(火)

[ 83 号]

 4月25日、日本エイサーは16:9のワイド画面やタッチセンサーを搭載したAVノートPC「Aspire 6920」の国内販売を大手家電量販店などにて開始。日本のコンシューマーPC市場への本格展開の第1弾と位置づけている。
 今後、同社はどのように日本向け戦略を展開していくのか、代表取締役社長のボブ・セン氏に話を聞いた。

日本エイサー株式会社・代表取締役社長 ボブ・セン氏

日本エイサー株式会社・代表取締役社長 ボブ・セン氏


国内メーカーが50%以上を占める市場

 2007年のGateway買収を機に世界シェア第3位のPCメーカーへと躍り出た台湾エイサーだが、じつは日本国内での知名度はあまり高くなく、むしろPCパーツや周辺機器のメーカーとして認識しているかつての自作ユーザー層が多いのではないだろうか。

 同社がPCメーカーとして大きく舵取りをしたのは2000年頃。それまではOEMを中心とした“製造のエイサー”だったところから、エイサーとしてのブランディングにシフトしていった。これにより“エイサーブランドのPC”が台頭してきたのである。そしてこの2008年、エイサーは日本のコンシューマーPC市場に向けた本格展開を開始した。

 日本市場における後発組として同社が成功するためには、(1)商品の差別化、(2)適切なローカライゼーション、(3)顧客満足度の向上、の3つの要素が重要だとボブ・セン氏は説明する。

 「日本のコンシューマーPC市場は、国内メーカーのみで50%以上が占められているという、先進国の中では非常に珍しいもの。こうした中で後発組の我々が成功するためには、思い切った商品の差別化が必要です。16:9の16インチワイド画面やタッチセンサーを搭載したAspire 6920もそのひとつ。従来のAVノートPCにはない付加価値が備わっています」

Aspire 6920「Gemstone Blue」は、ハイビジョンテレビと同じ比率の16:9の液晶パネルにBDドライブを搭載。「持ち運べるホームシアター」を打ち出したユニークなノートだ

Aspire 6920「Gemstone Blue」は、ハイビジョンテレビと同じ比率の16:9の液晶パネルにBDドライブを搭載。「持ち運べるホームシアター」を打ち出したユニークなノートだ

軽い指先タッチでマルチメディアを楽しめ、直感的に操作できるメディアコンソールを備える

軽い指先タッチでマルチメディアを楽しめ、直感的に操作できるメディアコンソールを備える


 実際、発売以来Aspire 6920の反応は上々だとボブ・セン氏。「ホームページへのアクセスは従来の1.7倍となっていますし、家電量販店の店頭でも多くの興味を惹いています。これまでの“低価格PCのエイサー という印象から、より付加価値の高いPCを提供するメーカーという評価へ変えるための、まさに試金石となる商品といえるでしょう」

マーケティングやサポートのローカライゼーション

 またボブ・セン氏は、商品そのものだけでなく、マーケティングや顧客サポートも含めての日本市場への対応が、今後の成否を左右すると説明。「たとえば日本のコンシューマー向けノートPC市場では、7割以上が15インチサイズの画面となっていますが、だからといってそこだけを押さえればいいというものではありません。15インチが売れているのは、本当にそのサイズが望まれているからなのか、あるいは価格がもっとも手頃だからに過ぎないのか、価格が見合えばより大型のものが好まれるのではないか。そうした市場ニーズをしっかりと調査して、商品を投入していく必要があります。4月からは、『エイサーご購入ホットライン』(購入前相談)を設置しており、消費者の潜在的な要望を汲み取る態勢も整いつつあります」

 顧客サポートのローカライゼーションも着々と進んでいる。4月21日からは24時間365日対応のコールセンターで日本語による応対を開始。「つながりやすく、1回の電話でほぼ解決できる」(ボブ・セン氏)態勢を用意している。エイサーはダイレクト販売を行わない、家電量販店やPCショップでの販路になるため、故障時などの窓口は多くのケースにおいてそれら店舗になると想定されるが、直接の問い合わせにも12分に対応できる態勢といえるだろう。また、修理期間が非常に短くてすむことも同社のサポートの特徴。「前年度の実績では、修理案件の91%が3営業日以内に修理して返送しています。コールセンターとあわせて、お客様に安心してご購入・ご利用いただける環境なのではないでしょうか」と、ボブ・セン氏は顧客満足度にも自信をのぞかせる。

 エイサーにはムダを省いて適切な価格を実現するノウハウがあり、そのためか“低価格”という印象がある向きはこれまで否めなかった。ここに“高付加価値”の商品ラインナップを加えていくことが、同社の日本戦略の根底にあるといえる。つまり、「商品セグメントと価格帯を拡大することであり、その中でいかに独自性を打ち出して差別化を図るか、あるいはこれまで市場になかったセグメントを開拓できるかが鍵」(ボブ・セン氏)となってくる。世界第3位のPCメーカーが満を持して展開する日本戦略がどのような方向に広がっていくのか、今後も注目したいところである。

2003年から07年にかけて5期連続で増収増益を達成。06年~07年には72%の成長を成し遂げ、今年は100%以上の成長を狙う

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( 文:森田亮、写真:岡部ユミ子 )

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