ホスティングサービスを語る。 【対談】 GMOホスティング&セキュリティ株式会社 代表取締役社長 青山満氏、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主幹研究員 新谷隆氏】

2008年05月27日(火)

[ 84 号]

 重要性とニーズの拡大に伴って多様化するホスティングサービス。専用サーバに加え、マネージド・ホスティングや、低価格ながら、高い自由度を持つ仮想専用サーバ(VPS=Virtual Private Server)と、選択肢も増え、多くの企業にとって自社でサーバを抱えるメリットが小さくなりつつある。一方、各ホスティングサービスの差異や特長が今ひとつ分かりづらいのも実状だ。「ホスティングプロ」の実行委員長や社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)ホスティング部会長を務めるなどホスティングビジネスに精通する、GMOホスティング&セキュリティ株式会社(東京・渋谷)の青山満代表取締役社長と、今年春、ホスティング事業の研究会を立ち上げた国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)の新谷隆主幹研究員に、業界の現状と潮流、専用サーバやマネージド・ホスティング、VPSのアウトソーシング化の利点、サービス選定のポイントなどを語ってもらった。


新谷 現在、ホスティング業界は堅調に成長していると思うのですが、どう見ていますか?

青山 成長状況は年率2割程。法人利用が順調です。これからお使いになる方と、既に安価なサービスを使われていて、上位サービスを使いたい、という2種のニーズがあり、マーケットが大きくなっていますし、成長スピードも速いですね。

新谷 伸び続けていきそうですか?

青山 もっと伸びると思います。(国別コードトップレベル)ドメイン累計登録件数は、日本はまだ100万ドメイン。対して、例えばドイツでは1000万、イギリスでは500万、中国でも既に1193万を超えています。価格も随分安くなってきていますし、普及にはホスティング自体を知らせていくことと、利用のしやすさが大事だと考えています。

新谷 VPSが好調との声が聞こえています。価格は共用サーバより高いけれど、専用サーバよりは安く、機能的には専用サーバと同程度を持つ訳ですよね。そうなると、専用サーバを使うメリットは?

青山 VPSで全て対応できるかというと、そうではない。VPSは専用サーバを分割して運用しますので、処理能力やディスク容量は小さくなります。アクセスの多いサイトや、高レベル処理が必要なサイト、安定性を求め、複数台の配列構成や、クラスタリング、個別のファイアウォールの設定、と高いセキュリティレベルを得たい場合は専用サーバの方が良いですね。


経営者層でもリスクを認識

新谷 マネージド・ホスティングも増えていますか?

青山 非常に増えています。マネージド・ホスティングの利点は運用面。専用サーバとサーバは同じでも、ネットワークとサーバの管理業務の一部を我々が行ないます。

新谷 セキュリティ面の不安や、リスクを解消するために利用したいですね。自社サーバからの乗り換えはありますか?

青山 中堅や大企業が積極的に移行されています。自社サーバを抱える物理的な困難さと、リスクを経営層が理解し始めたからでしょう。

新谷 日本はアウトソーシングに慎重で、その理由は二つの誤解が重なっていた。ひとつは自社の方が安全、という神話。もうひとつは、自社でシステムを抱えることが強みになる、との考え方。「神話」はかなり解け、ホスティング利用率、アウトソーシング化はますます高まってきているようですね。

青山 低リスクに加え、事業者に任せることで、本業に集中できる点も大きいですからね。

会社の信頼性や運用体制に注目

新谷 ホスティング会社を選ぶ時、様々なスペックや、付加サービスの充実度が重要になりますか?

青山 それよりも大事なのは会社の安定性や、しっかりしたセキュリティサービスの有無です。経営状況や、サービスの中核となるサーバの運用体制や信頼性がひとつ。二番目に、サービスの各機能やスペックをよく見ること。その表記が、各ホスティング会社でバラつきがありますので、社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)を通じて統一化していきたいと考えているところです。

JAIPA(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)でもホスティングに特化したページを設けて普及・啓発を図っている。(http://www.jaipa.or.jp/hosting/)

JAIPA(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)でもホスティングに特化したページを設けて普及・啓発を図っている。(http://www.jaipa.or.jp/hosting/)


新谷 サーバ運用は会社の足腰の部分で、頼んだ会社が潰れたら困るので、毎年黒字を出している会社が要件になりますね。法人としては、せめてVPSを使った方がいいですか?

青山 VPSに限る必要はなく、サーバを動かして何をしたいかですね。複雑なアプリケーションを動かしたりしないなら、共用サーバでもいいでしょう。

新谷 ところで、青山さんはJAIPAなど、積極的に業界活動に参加されていますが、その意義は?

青山 ホスティングは帯域や回線、転送量制限などが分かりづらく複雑化していますので、分かりやすくし、お客様自身でサービスを比較できる状況にしたい。レンタルサーバやホスティングの認知を高め、業界を活性化していければ。ただ、ASPやSaaSも出てきていますので、様々なデータアプリケーションのベースとなるインフラとして、レンタルサーバではなく、ホスティングという名称を知っていただきたいです。

新谷 お陰様で今年3月にGLOCOM内で発足した「ホスティングビジネス研究会」も多くの企業に参加いただいています。ホスティング事業者全体の利益を私も一緒に高めていきたいですね。

青山満(あおやま・みつる)、GMOホスティング&セキュリティ株式会社代表取締役社長。1996年に、国内において他社に先駆けホスティング事業を開始。現在、法人向けホスティング市場でNo.1のシェアを誇る。社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)理事兼「ホスティング部会」部会長も務める

青山満(あおやま・みつる)、GMOホスティング&セキュリティ株式会社代表取締役社長。1996年に、国内において他社に先駆けホスティング事業を開始。現在、法人向けホスティング市場でNo.1のシェアを誇る。社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)理事兼「ホスティング部会」部会長も務める


新谷隆(しんたに・たかし)、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員。今年3月に、ホスティング事業に特化した市場調査活動などを行なう「ホスティングビジネス研究会」発足。同研究会の主査として、活動を取りまとめる

新谷隆(しんたに・たかし)、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員。今年3月に、ホスティング事業に特化した市場調査活動などを行なう「ホスティングビジネス研究会」発足。同研究会の主査として、活動を取りまとめる

( 文:森村康久、写真:岡部ユミ子 )

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